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エンタープライズ営業の職務経歴書は件数が少ない?商談期間と決裁層で示す

執筆 営業の履歴書作成ツール 編集部 公開 最終更新

この記事の結論

エンタープライズ営業の職務経歴書は、年間の受注件数ではなく「担当アカウント数と年間取引額→1案件あたり受注額→3年通算の目標達成率→平均商談期間」の順で書きます。年1〜3件(記入例)でも、受注額のレンジと商談期間を添えれば規模が伝わります。受注はプリセールス・SE・上長を含む案件チームの成果なので、案件金額は担当した案件の規模として書き、自分が動かした部門数・決裁レイヤー・稟議の工程は別の行に分けます。

この記事は年1〜3件の大型案件を、商談期間・決裁レイヤー・関与部門数で実績化することを決めきるためのものです。職務要約から自己PRまでの全体の型、実績指標の対応表、数字で示せる実績がない場合の書き方、社名や売上を書いてよいかの判断は、営業職の職務経歴書にまとめています。様式そのものを探している方は、そちらの入力フォームからそのまま作れます。

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エンタープライズ営業・アカウントマネージャーとは(職務経歴書での扱い)

エンタープライズ営業とは、大手企業を対象に、複数の部門と複数の決裁レイヤー(決裁層)をまたぐ長期の商談を担当する営業です。同じ大手顧客を継続して受け持ち、取引部門や導入製品を広げていく役割は、アカウントマネージャー・キーアカウントマネージャーと呼ばれます。本記事は、1案件が数千万円以上、初回接触から契約までが半年〜2年、年間の受注が1〜3件という条件で書き方に詰まる場合を対象にします。

扱わない範囲を先に切り分けます。同じ大手顧客でも、受託開発・システム構築の案件そのものを売る立場はSIer・受託開発営業の職務経歴書、技術検証やデモを担当して営業と組む立場は技術営業・セールスエンジニアの職務経歴書、分業型で創出済みの商談を受け取って受注まで進める仕事はフィールドセールスの職務経歴書で扱います。社長決裁で即決・多件数になる中小企業向けの営業(SMB営業)は、行動量と件数で書く別の型なので、本記事の指標をそのまま当てはめないでください。

もう1つ注意が要るのは呼び名です。広告・メディア業界の「アカウントエグゼクティブ(AE)」は広告主を担当する営業を指し、本記事のアカウントマネージャーとは仕事の中身が違います。求人票に「アカウントマネージャー」とあるときは、担当社数・1案件の金額・商談期間の3点を確認し、数社を年単位で担当する仕事であれば本記事の書き方が合います。

職務経歴書の完成記入例(エンタープライズ営業・アカウントマネージャー)

先に完成形を示します。年間の受注が1〜3件しかない3年分を、件数ではなく担当規模・金額レンジ・通算達成率・商談期間で書いた例です。数値はすべて記入例で、年度別の合計と3年通算、率と分母が割り切れるようにそろえています。

記入例

職 務 経 歴 書
○○○○年○月○日 現在

職務要約

中小企業向けの業務パッケージソフト営業を経て、基幹業務システムを扱うITベンダーで法人営業として6年。うち直近4年はエンタープライズ営業部のアカウントマネージャーとして、従業員3,000〜20,000名規模の製造業・小売業5社を専任で担当しています。直近3年度は目標4億円に対し受注4億5,600万円、達成率114%(記入例)。1案件3,200万〜1億2,000万円・平均商談期間12か月の長期案件を、プリセールス・SEと組んだ案件チームで進め、担当5社の取引部門を7部門から15部門へ広げました(記入例)。

職務経歴

株式会社〇〇〇〇(ITベンダー・従業員約1,200名・東証プライム上場) ○○○○年○月〜現在 エンタープライズ営業部

  • 【所属】エンタープライズ営業部 アカウントマネージャー(部内9名)(記入例)
  • 【営業対象】従業員3,000〜20,000名規模の製造業・小売業 5社。窓口は情報システム部長、決裁は担当役員(CIO)および取締役会。1案件あたり平均4部門が関与(記入例)
  • 【商材】基幹業務システム(無形・1案件3,200万〜1億2,000万円、導入後は年額の保守・運用契約)(記入例)
  • 【営業手法】既存アカウントの深耕(未取引部門への横展開)と、指名・コンペによる大型案件の獲得。プリセールス・SE・上長と組む案件チーム制で、自分は全体設計と決裁者への説明を担当
  • 【実績・成果】直近3年度(記入例)
  • ・担当アカウント 5社(既存4社+新規1社)、5社の年間取引額 合計6億円(最大2億8,000万円・最小3,000万円)(記入例)
  • ・3年通算 目標4億円に対し受注4億5,600万円、達成率114%(記入例)
  • ・年度別 1年度目 目標1億2,000万円/受注1件・8,000万円(66.7%)、2年度目 目標1億3,000万円/受注3件・2億800万円(160%)、3年度目 目標1億5,000万円/受注2件・1億6,800万円(112%)(記入例)
  • ・受注6件の1件あたり金額 3,200万〜1億2,000万円、平均7,600万円(記入例)
  • ・商談期間(初回接触〜契約)中央値11か月・平均12か月(最短7か月・最長21か月)(記入例)
  • ・顧客の予算に載せた案件 20件、うち提案 15件(コンペ10件・単独指名5件)、受注 6件。コンペ勝率30%(10件中3件)、単独指名からの受注率60%(5件中3件)(記入例)
  • ・期末時点の進行中案件 8件・パイプライン総額5億2,000万円(記入例)
  • ・担当5社の取引部門 着任時7部門→15部門、導入製品 2種→5種(記入例)
  • ・最大顧客A社の年間取引額 1億6,000万円→2億8,000万円(3年で1億2,000万円増)(記入例)
  • ・更改対象20契約のうち19契約を更改(更改率95%)。1契約は顧客の拠点統合により終了(記入例)
  • ・大型案件(A社 生産管理領域への横展開・1億2,000万円):関与4部門(情報システム・生産管理・経理・購買)、決裁3層(部長→執行役員→取締役会)、商談期間13か月、案件チーム5名(自分+プリセールス2名・SE1名・上長1名)。自分は4部門の要件整理、役員向け説明資料の作成、稟議差し戻し2回への対応を担当(記入例)
  • ・担当5社への訪問・Web会議 年間240回(1社あたり月4回)(記入例)
  • ・3年間で面談した役職者 部長級32名・役員級11名、取締役会での説明2回(記入例)
  • ※取引先名は守秘義務のため、業種と従業員規模で記載しています。

株式会社〇〇〇(ITサービス業・従業員約300名・非上場) ○○○○年○月〜○○○○年○月 法人営業部

  • 【所属】法人営業部(部内12名)(記入例)
  • 【営業対象】従業員100〜500名規模の中小企業の情報システム担当・経営者(記入例)
  • 【商材】業務パッケージソフト(無形・1件200万〜800万円)(記入例)
  • 【営業手法】問い合わせ対応と電話・訪問による新規開拓を、提案から受注まで一貫して担当
  • 【実績・成果】新規受注 年間18件・年間売上7,200万円(平均単価400万円)、目標6,000万円に対し達成率120%(記入例)

活かせる経験・知識・スキル

  • 大手企業の稟議に合わせた提案設計(要件整理→比較表→投資対効果→段階導入計画の4点セット)
  • 情報システム部門・利用部門・経理/購買・役員の四者に対する説明の使い分け
  • 案件チーム(プリセールス・SE・上長)の役割分担と、社内の見積承認・与信手続きの取りまとめ
  • SFA(営業支援システム)での案件管理と、担当顧客ごとの取引部門・未取引部門を一覧にした計画書の更新
  • 製造業の生産管理・原価管理、小売業の在庫・発注業務の業務知識

資格

  • 応用情報技術者(○○○○年○月合格)
  • 普通自動車第一種運転免許(○○○○年○月取得)

記入例の数字は、3か所で検算できるように置いています。年度別の受注額は8,000万円+2億800万円+1億6,800万円=4億5,600万円、目標は1億2,000万円+1億3,000万円+1億5,000万円=4億円で、通算の達成率114%と一致します(記入例)。1件あたりの平均7,600万円も4億5,600万円÷6件です(記入例)。なお、年間取引額6億円は保守・運用を含む担当5社の取引総額で、新規に獲得した案件の合計である受注額とは別の指標です(記入例)。同じ欄に並べるときは、どちらの数字かが分かる語を添えてください。件数が少ない経歴ほど、面接では率の高さより数字どうしの整合が確かめられます。年度合計・通算・平均単価の3か所が食い違っていないかを、自分の数字に置き換えた直後に点検してください。

年1〜3件しか受注がないとき、何を実績として書くか?

件数の代わりに、担当アカウントの規模・1案件あたり受注額のレンジ・3年通算の目標達成率・平均商談期間の4つを先頭に置きます。

エンタープライズ営業の職務経歴書が薄く見えるのは、書き手の実力が低いからではなく、件数を主役にしているからです。年18件の中小企業向け営業と年2件の大型案件を、同じ「受注件数」という物差しに載せれば、後者が負けるのは当たり前です(いずれも記入例)。読み手が知りたいのは件数ではなく、どれだけ大きく複雑な取引を、どれだけ長く前に進められる人かという点にあります。指標を入れ替えれば、同じ経歴の見え方が変わります。

エンタープライズ営業の実績指標と書き方(記入例)
指標書き方(記入例)押さえどころ
担当アカウント数と年間取引額担当5社・年間取引額 合計6億円(最大2億8,000万円・最小3,000万円)件数の代わりに最初に置く行。社数が少ないことは1社あたりの大きさで補う
1案件あたり受注額3,200万〜1億2,000万円、平均7,600万円レンジと平均の両方を書く。平均だけだと最大案件の重さが消える
3年通算の目標達成率3年通算 目標4億円に対し受注4億5,600万円(114%)単年の凸凹を通算で受ける。年度別も併記して隠さない
平均商談期間初回接触〜契約 中央値11か月・平均12か月(最短7か月・最長21か月)月単位で書く。長さは弱点ではなく、案件の重さの証拠
パイプライン総額と進行中件数期末時点 進行中8件・総額5億2,000万円受注ゼロの年度を支える行。時点を必ず添える
提案件数と受注率提案15件に対し受注6件(40%)、コンペ勝率30%(10件中3件)分母を提案件数に固定する。コンペと単独指名は分けて書く
取引部門数・導入製品数担当5社の取引部門 7部門→15部門、導入製品 2種→5種受注件数に表れない深耕の成果。着任時との差で書く
契約更改率更改対象20契約のうち19契約を更改(95%)大型案件がない年度の主指標。終了した契約の理由も1行添える
関与した決裁レイヤー部長→執行役員→取締役会の3層、取締役会での説明2回金額の大きさを裏づける。役職名は一般的な呼称に直す

単年の達成率だけを書くと、記入例の1年度目のように66.7%の年が出ます(記入例)。大型案件は契約の月がずれるだけで年度の成績が入れ替わるため、通算で受ける形にします。「3年通算 目標4億円に対し受注4億5,600万円(114%)、年度別は66.7%・160%・112%」と並べれば、凸凹の理由が案件の期ずれだと読み手が自分で気づきます(記入例)。年度をまたいだ期ずれではなく、本当に届かなかった年の書き方は目標未達・成績が悪いときの職務経歴書にまとめています。

なお、受注率・平均単価・商談期間という同じ語でも、分業型のフィールドセールスでは日数単位の短い商談を指します。長さの桁が違うので、定義節で挙げたフィールドセールスの書き方と混ぜず、本記事では月単位でそろえてください。年額課金の商材でARR・ACVを使う場合の分子の取り方はSaaS営業の職務経歴書で扱っています。分母と期間を添えるという一般則は営業実績を数字でどう書くかのとおりです。

数千万円の案件金額は、どこまで自分の実績として書けるか?

案件金額はそのまま書いてよく、代わりに案件チームの座組と自分が担った工程を同じ行に添えます。

エンタープライズの受注は、ほぼ必ずチームの成果です。プリセールスが技術検証を行い、SEが導入計画を引き、上長が役員面談に同席し、法務と購買が契約条件を詰めます。この構造で「1億2,000万円を受注」とだけ書くと(記入例)、面接では金額の大きさがそのまま「あなたは何をした案件ですか」という疑いに変わります。金額を小さく書き直す必要はありません。必要なのは、金額と自分の工程を同じ行で結ぶことです。

大型案件の書き方(金額に添える4点)(記入例)
添える項目書き方(記入例)なぜ必要か
顧客の規模従業員約8,000名の製造業(既存アカウント)金額の妥当性が判断できる。社名は伏せてよい
案件チームの座組案件チーム5名(自分+プリセールス2名・SE1名・上長1名)一人で取った案件だと誤読されるのを防ぐ
自分が担った工程4部門の要件整理、役員向け説明資料の作成、稟議差し戻し2回への対応チームの中の自分の持ち場が確定する
商談期間と決裁レイヤー商談期間13か月、決裁3層(部長→執行役員→取締役会)難度の証拠になる。金額だけより信用される

改善前:大手製造業向けに1億2,000万円の基幹システムを受注し、全社の年間売上に大きく貢献しました。

金額しかないため、提案を組み立てた人なのか、同席していた人なのかが分かりません。金額が大きいほど「本当に自分の案件か」を確かめられるので、書き手にとって不利に働きます(数値は記入例)。

改善後:既存アカウント(従業員約8,000名の製造業)の生産管理領域へ横展開し、1億2,000万円を受注(記入例)。案件チーム5名(自分+プリセールス2名・SE1名・上長1名)のうち、自分は4部門(情報システム・生産管理・経理・購買)の要件整理、執行役員・取締役会向け説明資料の作成、稟議差し戻し2回への対応を担当。商談期間13か月(記入例)。

金額・座組・自分の工程・期間が1行にそろい、チームで取った案件であることを認めたうえで持ち場が分かります。差し戻し2回への対応まで書くと、長期案件を止めずに進める力が具体的に伝わります。

チーム全体の数字と自分の差分をどう分けるかという一般の型はチーム実績・個人の貢献が分けられないときの職務経歴書にあります。取引先名や契約金額を伏せる場合の置き換えの型と、伏せても特定される組み合わせの避け方は守秘義務・社名・数値が書けないときの職務経歴書にまとめています。エンタープライズ営業に固有の事情は、顧客が業界上位の数社に絞られるため、同じ帯で書いても候補が数社まで狭まる点です。業種と従業員規模を書く時点で範囲が狭いことを踏まえて、置き換えの粗さを決めてください。

稟議・RFP・コンペという受注前のプロセスは、どう数字にするか?

工程ごとに「いくつの関門を、いくつ通したか」を数え、分母と分子を同じ行に並べます。

商談期間が1年を超える仕事では、年度の大半が受注前の工程で埋まります。ここを「案件化から稟議通過まで推進」とだけ書くと、1年分の仕事が1行の業務説明に縮んでしまいます。受注前の工程も、通した数と分母を書けば実績になります。ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」でも、職務経歴書は履歴書では書ききれない具体的な職務内容と実績を伝える書類だとされています。長期商談における「具体的」とは、受注の1件だけでなく、そこに至る関門の通過数を残すことです。

受注前の工程と、その数え方(記入例)
工程数え方(分母と分子)書き方(記入例)
情報収集・関係構築面談した部門数と役職者の数3年間で部長級32名・役員級11名と面談、取締役会での説明2回
案件の立ち上げ顧客の予算に載せた案件数予算に載せた案件 3年で20件
提案依頼への回答提案件数と、その内訳提案15件(コンペ10件・単独指名5件)、予算化20件からの提案率75%
コンペ・相見積り参加件数に対する受注件数コンペ10件中3件受注(勝率30%)、単独指名5件中3件受注(60%)
試験導入・効果検証実施件数と本契約への転換試験導入4件、うち本契約3件(受注6件のうち3件)
顧客社内の決裁通した決裁層の数と差し戻し対応最大案件で3層(部長→執行役員→取締役会)を通過、差し戻し2回に対応
契約・法務調整した契約条件の項目数法務・購買との条件調整 1案件あたり平均8項目

20件を予算に載せ、15件で提案し、6件を受注した(記入例)という3段の並びは、受注件数が2件の年度でも1年分の仕事量を示します。数え方で迷いやすいのは案件の立ち上げです。自分が「案件になりそうだ」と判断した数ではなく、顧客側で予算と実施時期が確認できた数を分子にしてください。前者は社内の見込みにすぎず、面接で根拠を聞かれたときに答えられません。

もう1つの壁は語です。エンタープライズの現場で使う言葉は、そのまま書くと人事や別業界の営業責任者に通じません。工程の数字を書く前に、語を一般語へ直します。

エンタープライズ営業の社内語と、職務経歴書での書き方
社内語職務経歴書での書き方
案件化提案の機会として社内に登録した段階。「商談として立ち上げた件数」
与件化・予算化顧客側で予算と実施時期が固まった状態。「顧客の予算に載せた案件」
稟議通過顧客社内の決裁が下りたこと。「顧客の社内決裁が完了」
ベンダー選定顧客が発注先を選ぶ社内手続き。「複数社の比較検討」
RFI・RFP情報提供依頼書・提案依頼書。初出で正式名称を添える
PoC本契約前の試験導入と効果検証。「試験導入(PoC)」
ホワイトスペースその顧客の中でまだ取引のない部門・業務領域。「未取引部門」
アカウントプラン担当顧客ごとの取引状況と開拓方針をまとめた計画書
エスカレーション上位者へ引き上げて判断を仰ぐこと。「上長・役員への引き上げ」

改善前:大型案件の案件化から稟議通過、ベンダー選定までを推進し、ホワイトスペースの開拓にも取り組みました。

4つとも社内語で、件数も分母もありません。読み手には仕事の大きさが見えず、業務の列挙として流されます。

改善後:顧客の予算に載せた案件は3年で20件、うち提案に進んだ15件(コンペ10件・単独指名5件)に対し受注6件(受注率40%)(記入例)。コンペは10件中3件(勝率30%)、単独指名は5件中3件(60%)。最大案件では部長・執行役員・取締役会の3層の決裁を通し、稟議の差し戻し2回に対応しました(記入例)。担当5社の未取引部門を洗い出し、取引部門を7部門から15部門へ広げています(記入例)。

社内語が一般語に直り、20件→15件→6件という分母つきの並びで1年分の仕事量が見えます。決裁層と差し戻しの回数が、受注1件の裏側にある工程の重さを示します。

社内語を見分けて一般語に直す手順そのものは社内用語・社内KPIを翻訳する職務経歴書にまとめています。本記事では、エンタープライズ営業で頻出する語だけを扱いました。

決裁レイヤーと関与部門数は、入力フォームのどの欄に書くか?

決裁レイヤーは【営業対象】に、関与部門数と横展開の結果は【実績・成果】に分けて書きます。

「業務内容と実績・成果」の欄は、【所属】【営業対象】【商材】【営業手法】【実績・成果】の5ブロックを1つの欄に続けて書く形です。エンタープライズ営業では、この5ブロックのうち【営業対象】と【実績・成果】に固有の情報が集中します。決裁レイヤーを実績の欄に書くと「誰と会ったか」の自慢に見え、関与部門数を営業対象の欄に書くと成果として読まれません。置き場所を分けるだけで、同じ事実の伝わり方が変わります。

入力フォームの5ブロックに書くこと(エンタープライズ営業)(記入例)
ブロック書く内容記入例
【所属】部門名と役割、部内人数、専任か兼任かエンタープライズ営業部 アカウントマネージャー(部内9名)
【営業対象】顧客の業種・従業員規模・社数、窓口の役職、決裁のレイヤー、1案件の関与部門数従業員3,000〜20,000名規模の製造業・小売業5社。窓口は情報システム部長、決裁は担当役員および取締役会。1案件あたり平均4部門が関与
【商材】商材の種類、1案件の金額レンジ、契約の形(一括・年額)基幹業務システム(無形・1案件3,200万〜1億2,000万円、導入後は年額の保守・運用契約)
【営業手法】既存深耕と新規獲得の比率、指名かコンペか、案件チームの座組と自分の役割既存アカウントの深耕と、指名・コンペによる大型案件の獲得。プリセールス・SE・上長と組む案件チーム制
【実績・成果】担当規模→通算達成率→年度別→金額レンジ→商談期間→工程の通過数→部門数の順担当5社・年間取引額6億円、3年通算114%、取引部門 7→15部門

改善前:【営業対象】大手企業/【実績・成果】経営層への提案を行い、大型案件を受注しました。

「大手企業」には従業員500名の会社も5万名の会社も含まれ(記入例)、「経営層」も部長なのか取締役なのか分かりません。決裁の重さが伝わらないため、大型案件という語も裏づけを失います。

改善後:【営業対象】従業員3,000〜20,000名規模の製造業・小売業5社。窓口は情報システム部長、決裁は担当役員(CIO)および取締役会。1案件あたり平均4部門が関与(記入例)/【実績・成果】3年間で部長級32名・役員級11名と面談し、取締役会での説明2回。担当5社の取引部門を7部門から15部門、導入製品を2種から5種へ拡大(記入例)

決裁の層が営業対象の欄で確定し、実績の欄では面談した役職者数と部門の増加という結果が数字で残ります。応募先は、自社の顧客に同じ攻め方が通じるかを判断できます。

取引部門を広げる仕事は、多数の既存顧客を回るルート営業の職務経歴書とは分母が違います。ルート営業が担当社数と維持率で示すのに対し、エンタープライズ営業は数社の中の部門数と取引額の伸びで示します。職務要約の組み立て方や、営業対象・商材・営業手法の4点をそろえる一般則は営業職の職務経歴書の書き方を参照してください。「活かせる経験・知識・スキル」の欄には、稟議に合わせた提案設計、四者への説明の使い分け、案件チームの取りまとめのように、応募先で再現できる項目を1行ずつ置きます。

金融機関など審査が重い顧客を担当した場合、何を足すか?

商談期間を「提案期間」と「審査期間」に分け、審査の工程で自分が担った作業を書き足します。

ここで言う金融機関向け営業とは、銀行・証券会社・保険会社を顧客としてシステムやサービスを売る仕事です。銀行や証券会社に勤めて金融商品を売る営業(金融営業)とは別なので、求人票や職務経歴書の冒頭で「金融機関を顧客とする法人営業」と1行断ると誤解が消えます。構造はエンタープライズ営業の極端形で、決裁が本部稟議に加えてシステムリスクや外部委託先の審査を通るため、商談期間がさらに伸びます。

この長さは、そのまま書くと弱点に見えます。しかし内訳を分ければ、待たされていた期間ではなく、顧客社内の審査を通すために動いていた期間だと分かります。金融機関では、システムを外部に委託する際の管理体制が監督上の要請として求められています(2026年時点)。審査の項目や進め方は顧客ごとに違うので、職務経歴書には制度の説明ではなく、自分が対応した工程だけを書きます。次の表の数値は、前半の完成記入例とは別に、金融機関4社を担当した場合を想定した記入例です。

審査が重い顧客を担当した場合に足す行(記入例)
足す項目書き方(記入例)押さえどころ
担当先の種類と数担当4社(地方銀行3行・証券会社1社)メガバンク・地銀・証券で審査の重さが違うため、種別まで書く
商談期間の内訳初回接触〜本契約 中央値20か月(提案期間 中央値8か月+審査期間 中央値12か月)審査期間を分けると、長さの理由が説明できる
提案依頼への対応提案依頼(RFP)への回答10件、うち受注4件(40%)入札に近い選定になるため、参加件数を分母にする
試験導入の転換試験導入6件、うち本契約3件(50%)試験導入で終わった案件も分母に残す
審査対応の工程外部委託先評価の回答書作成、セキュリティ要件の確認、監査部門との面談に対応作業名で書く。項目数や基準の中身は書かない
守秘の扱い顧客名は「地方銀行3行」「証券会社1社」までで止める地方銀行は都道府県名を添えると1行に絞られるため、地域は広域で書く

審査の中身そのもの(基準・項目・指摘内容)は顧客の内部情報なので書きません。書けるのは、自分が作成した書類の種類と、通過までに要した期間です。「外部委託先評価の回答書を作成し、監査部門との面談に対応。初回接触から本契約まで20か月(うち審査期間12か月)」という形であれば(記入例)、守秘に触れずに難度が伝わります。インフラ・医療・官公庁など、審査や入札が重い顧客を担当した場合も同じ分け方が使えます。

よくある質問

求人票に「アカウントマネージャー」とあれば、この記事の書き方でよいですか?

担当社数・1案件の金額・商談期間の3点で判断します。数社を年単位で担当し、1案件が数千万円以上であれば本記事の書き方が合います。一方、広告・メディア業界のアカウントマネージャーやアカウントエグゼクティブは、広告主を担当して出稿を回す仕事を指し、指標が予算消化額や継続出稿率になります。求人票の業務内容に「複数部門の合意形成」「稟議」「RFP」があるかどうかが、いちばん早い見分け方です。

受注がゼロだった年度は、職務経歴書に書かないほうがよいですか?

期間を飛ばすと経歴に空白ができるので、その年度に進めた工程を書きます。予算に載せた案件数、提案件数、期末時点のパイプライン総額、面談した役職者数が材料です。「期末時点 進行中8件・パイプライン総額5億2,000万円(記入例)」のように時点を添えると、翌年度の受注につながる仕込みだと読まれます。受注ゼロの期間に何を数えるかという一般の考え方は実績が数字にできないときの職務経歴書にまとめています。

中小企業向けの営業からエンタープライズ営業に応募するとき、何を前に出しますか?

件数の多さではなく、単価の上位帯と決裁者の高さです。担当した案件のうち金額が大きかった数件を抜き出し、金額・関与部門数・決裁者の役職・商談期間を書きます。社長決裁で即決してきた経験は、複数部門の合意形成とは別の力なので、無理に読み替えずそのまま書きます。加えて、複数案件を並行して管理していた件数を添えると、長期案件を同時に抱える仕事への適性が伝わります。

社内表彰や営業順位は、担当が数社でも書いてよいですか?

書けますが、分母と評価期間を必ず添えます。エンタープライズ営業は母数が小さく、「部内9名中1位」(記入例)でも大型案件が1件当たったかどうかで入れ替わります。順位だけを書くと面接で根拠を確かめられるので、通算の達成率や受注額と並べて置いてください。表彰の名称の書き方や、社内制度が伝わらない場合の補い方は表彰歴・順位の職務経歴書で扱っています。

新規の大型案件がなく、契約更改と保守の維持だけだった年はどう書きますか?

更改率と、更改の条件を守った事実を主指標にします。「更改対象20契約のうち19契約を更改(更改率95%)、1契約は顧客の拠点統合により終了(記入例)」のように、失った契約の理由まで書くと数字の信頼度が上がります。あわせて、値下げ要求への対応、契約範囲の見直し、未取引部門の洗い出しといった、翌年度の案件につながる動きを1行ずつ添えます。維持は成果として読まれますが、維持だけの行が3年続くと停滞に見えるため、部門数や導入製品数の変化を必ず並べてください。

商談期間と決裁レイヤーまで書けたら、あとは入力するだけです

ここまでの内容は、入力フォームの該当欄にそのまま書けます。登録なしで、PDFまで作れます。

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記事内の数値について 売上・件数・達成率・順位などの数値はすべて記入例です。当社サービスの実績や、特定の個人の経歴ではありません。

制作方法 構成と下書きに生成AIを使い、当社の担当者が数値の検算、入力フォームの欄名・並びとの整合、参照情報との照合を行っています。詳しくは編集方針に記載しています。

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