SIerの大型案件は営業の実績になる?職務経歴書は金額・工数・勝率で示す
この記事の結論
SIer・受託開発営業の職務経歴書は、年間受注額だけでなく、1案件の金額と工数(人月)、コンペ勝率を組にして書きます。大型案件はSE・PMとの共同なので、案件金額は自分が提案責任者だった案件に限って積み上げ、案件の中では要件ヒアリング・提案書作成・見積・条件交渉という工程で自分の担当を示します。粗利率と原価は自社の収益構造にあたるため実数では書かず、契約形態の内訳と保守運用への移行件数に置き換えます。
この記事はSIer・受託開発営業の実績欄(案件金額・工数・コンペ勝率の書き分けと、SE・PMとの帰属)を決めきるためのものです。職務要約から自己PRまでの全体の型、実績指標の対応表、数字で示せる実績がない場合の書き方、社名や売上を書いてよいかの判断は、営業職の職務経歴書にまとめています。様式そのものを探している方は、そちらの入力フォームからそのまま作れます。
入力フォームへSIer・受託開発営業とは(職務経歴書での扱い)
SIer・受託開発営業とは、顧客企業のシステム開発やインフラ構築を一括請負または準委任で受注し、要件のヒアリングから提案・見積・契約・納品後の追加提案までを担当する法人営業です。1件の受注が数百万円から数千万円になる一方、その1件は社内のSE・PM(プロジェクトマネージャー)と組んで進めるため、受注額のどこまでを自分の実績として書けるのかが決めにくくなります。年度の売上が数件の大型案件で決まる年もあり、件数の少なさをどう見せるかも詰まりどころです。
本記事では、自社またはグループの技術者が開発・構築を担い、成果物を納める受託型のIT法人営業を対象にします。インフラ構築・クラウド移行・セキュリティ製品の営業も、商材が違うだけで同じ型に収まるため、本記事の中の一節で扱います。自社プロダクトを継続課金で売る場合はSaaS営業の職務経歴書、成果物ではなくエンジニアの稼働を準委任で提供する場合はSES営業の職務経歴書、Webサイト・アプリの制作受託はWeb制作営業の職務経歴書で扱います。営業に同行して技術の説明と要件の詰めを担う立場は技術営業・セールスエンジニアの職務経歴書、大手1社を全社アカウントとして担当する立場はアカウントマネージャー・エンタープライズ営業の職務経歴書が近い型です。
職務経歴書の完成記入例(SIer・受託開発営業)
先に完成形を示します。独立系のシステムインテグレーターで、製造業・流通業の情報システム部門を担当してきた設定です。数値はすべて記入例で、件数・単価・合計額・率が互いに割り切れるようにそろえています。1枚全体の構成と職務要約の一般的な書き方は営業職の職務経歴書の書き方にまとめているため、本記事では実績欄の中身に絞ります。
記入例
職務要約
独立系のシステムインテグレーターで、製造業・流通業の情報システム部門を対象に、業務システムの受託開発とインフラ構築の法人営業を通算11年(現職5年)担当しています(記入例)。直近年度は開発・構築の受注額 2億4,000万円(目標2億円・達成率120%)、見積提出30件に対する受注12件(コンペ勝率40%)(記入例)。RFP(提案依頼書)の受領から契約まで平均7か月(記入例)を要する案件を、社内のSE・PMと組んで進める提案責任者の立場です。
職務経歴
株式会社〇〇〇〇(システムインテグレーター・従業員約600名・非上場) ○○○○年○月〜現在 ソリューション営業部 主任(記入例)
- 【所属】ソリューション営業部 第二グループ 主任(部内14名・グループ5名)。提案責任者として、案件ごとにSE2〜4名(大型案件はPM1名+SE最大8名)とチームを組成(記入例)
- 【営業対象】従業員300〜3,000名規模の製造業・流通業の情報システム部門長、経営企画部門、工場の生産管理責任者(記入例)
- 【商材】業務システムの受託開発(一括請負・1件300万〜8,000万円)、インフラ構築とクラウド移行、納品後の保守運用(月額20万〜150万円)(記入例)
- 【営業手法】既存顧客の定期訪問とRFP対応が中心。展示会・パートナー経由の紹介から新規開拓も並行。要件ヒアリング、提案書作成、SEと組んだ工数見積、条件交渉、契約までを一貫して担当
- 【実績・成果】直近年度(記入例)
- 開発・構築の受注額 2億4,000万円(目標2億円・達成率120%)、受注12件・平均2,000万円(記入例)
- 受注の内訳:新規顧客 3件・6,000万円/既存顧客の追加開発 6件・7,200万円/既存顧客のシステム更改 3件・1億800万円(記入例)
- 案件規模 1件300万〜8,000万円。最大案件は生産管理システムの刷新で8,000万円(工数は30人月超)(記入例)
- 見積提出 30件に対し受注12件(コンペ勝率40%)。内訳は相見積あり18件→受注6件(約33%)、指名・随意契約12件→受注6件(50%)(記入例)
- RFP受領から契約締結まで 平均7か月(最長14か月:8,000万円の更改案件)(記入例)
- 担当顧客 18社(製造業11社・流通業5社・その他2社)、うち継続取引5年以上 12社(記入例)
- 保守運用契約 12社・年額合計8,640万円(月額平均60万円×12社×12か月。開発・構築の受注額とは別計上)(記入例)
- 当年度に更新時期を迎えた保守運用10社のうち8社が更新(更新率80%)(記入例)
- 当年度の納品12件のうち4件が保守運用契約へ移行(記入例)
- 契約形態の内訳:一括請負10件・準委任2件。全12件が検収完了、追加費用の発生は1件(2人月分を顧客承認のうえ追加受注)(記入例)
- 部内14名中2位(受注額。評価期間は年度)(記入例)
- ※取引先名・粗利率・人月単価は守秘義務のため、業種と規模、件数、金額帯で記載しています
株式会社〇〇〇(ソフトウェア開発・従業員約80名・非上場) ○○○○年○月〜○○○○年○月 営業部(記入例)
- 【所属】営業部(部内4名)(記入例)
- 【営業対象】関東圏の中小企業(従業員50〜300名)の総務・情報システム担当と経営者(記入例)
- 【商材】業務システムの受託開発、パッケージソフトの導入支援(1件100万〜1,500万円)(記入例)
- 【営業手法】電話と問い合わせフォームからの反響対応、既存顧客からの紹介による新規開拓
- 【実績・成果】年間受注額 8,000万円・受注20件・平均400万円、新規取引先 年6社(記入例)
活かせる経験・知識・スキル
- RFP対応の一連の実務(要件の読み解き、提案書の構成、SEと組んだ工数見積、質疑応答書の作成)
- 製造業の生産管理・在庫管理の業務知識と、基幹システム更改時の移行計画の説明
- 情報システム部門・利用部門・経営層の三者に分けた説明資料の作り分け
- SFA(案件管理ツール)での受注予測と、四半期ごとのパイプラインレビュー
- 納品後の保守運用契約への接続と、年次の運用報告会の運営
資格
- 応用情報技術者試験 合格(○○○○年○月)
- 普通自動車第一種運転免許
読み手が最初に確かめるのは、金額と件数と率が互いに合っているかどうかです。受注12件で2億4,000万円なら平均2,000万円、内訳の6,000万円+7,200万円+1億800万円は2億4,000万円、見積提出30件に対する受注12件はコンペ勝率40%、相見積18件と指名12件を足せば30件で受注も6件+6件で12件になります(いずれも記入例)。1行でも合わない数字があると、案件金額の大きさそのものが疑われます。
案件金額・工数・粗利のうち、実績欄に書けるのはどれか
案件金額と工数(人月)は書けますが、粗利率と原価、人月単価は自社の収益構造そのものなので実数では書かず、契約形態の内訳や保守運用への移行件数といった外に出せる形へ置き換えます。SIerの営業は社内では粗利で評価されることが多く、その感覚のまま「粗利率○%を維持」と書いてしまう例がありますが、粗利率は原価の裏返しであり、応募先が同業なら価格の作り方まで読めてしまいます。
| 指標 | 扱い | 書き方(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|---|
| 年間受注額 | 書ける | 開発・構築の受注額 2億4,000万円(目標2億円・達成率120%) | 受注ベースか売上計上ベースかを1語で添える |
| 受注件数・平均単価 | 書ける | 受注12件・平均2,000万円 | 年間受注額と掛け算で合わせる |
| 1案件の金額 | 帯で書く | 1件300万〜8,000万円、最大案件8,000万円 | 顧客名と並べない。案件名も伏せる |
| 工数(人月) | 書ける | 最大案件 30人月超(PM1名+SE最大8名) | 案件の重さが金額だけより正確に伝わる。金額を実数で書いた案件では帯にする |
| 人月単価 | 書かない | (記載しない) | 金額と工数の両方を実数で並べると逆算される |
| 粗利額・粗利率・原価 | 書かない | (記載しない) | 自社の収益構造。面接でも数字では触れない |
| 契約形態の内訳 | 書ける | 一括請負10件・準委任2件 | 請負の比率が高いほど見積責任の重さが伝わる |
| 検収・追加費用 | 書ける | 全12件が検収完了、追加費用の発生1件(2人月) | 納品まで見届けた営業だと分かる |
| 保守運用の年額 | 書ける | 12社・年額合計8,640万円(月額平均60万円) | フロー(受注額)と別計上にする |
金額と工数の関係には、もうひとつ注意が要ります。仮に最大案件を「8,000万円・40人月」と両方実数で書くと、割り算で人月単価200万円が出てしまいます(記入例)。自社が単価表を公開していないなら、実数で書くのは金額か工数のどちらか一方にし、もう一方は「30人月超の案件」「数千万円規模」(記入例)のように帯へ広げます。完成記入例が最大案件を「8,000万円(工数は30人月超)」と書いているのも、同じ線引きに合わせたためです(記入例)。実数をいくつまで並べてよいかという線引きそのものは守秘義務で社名・数値が書けないときの職務経歴書に整理しています。
粗利率の代わりに置ける指標は3つあります。契約形態の内訳(一括請負と準委任の件数)、納品後に保守運用契約へ移行した件数、更改案件を勝ち切った件数です。いずれも金額を伏せたまま「利益が残る売り方をしていたか」を示せます。一括請負の比率が高ければ見積と工数の管理に責任を負っていた証明になり、保守運用への移行はストック収益を作った実績として読まれます。
一括請負と準委任は民法上の契約類型が異なり(2026年9月時点)、請負は仕事の完成に対して報酬が生じる形、準委任は事務の処理に対して報酬が生じる形とされています。職務経歴書では、法律論を書くのではなく「どちらの契約で受注していたか」を件数で示せば十分です。見積工数を外すと自社が損をする立場だったのか、稼働時間で精算する立場だったのかで、営業に求められていた責任の重さが変わるためです。
SE・PMと組んだ案件で、営業の貢献はどこまで書けるか
案件金額は自分が提案責任者だった案件に限って積み上げ、案件の中では自分が担った工程を動詞で書きます。受託開発の受注は、営業の折衝力だけでなくSEの技術検証とPMの体制設計に支えられているため、「8,000万円の案件を受注」とだけ書くと、同じ案件を担当したSEの職務経歴書にも同じ8,000万円が並びます(記入例)。読み手はどちらの書類も判断できなくなります。
| 工程 | 営業が担うこと | 書き方(記入例) |
|---|---|---|
| 情報収集・RFI対応 | 投資計画と予算時期の把握、情報提供依頼への回答 | 年度の投資計画を情報システム部門長から聞き取り、RFI回答を年8件作成 |
| 要件ヒアリング | 利用部門の業務課題の整理、SEが見積れる粒度への翻訳 | 工場4拠点の在庫管理の運用差異を整理し、要件一覧に落として提示 |
| 提案書作成 | 課題整理・比較軸・導入計画・費用対効果の構成 | 提案書30件を作成(うち役員向けプレゼン12件) |
| 工数見積 | SEの見積工数の前提確認、スコープの線引き、リスク分の織り込み | SEと工数見積を作成し、スコープ外の作業を契約書の前提条件に明記 |
| 体制確保 | 開発部門との要員調整、着手時期の交渉 | 着手2か月前に開発部門と要員を確保し、納期を1か月前倒し |
| 条件交渉・契約 | 価格・納期・検収条件・瑕疵対応の合意、法務との調整 | 検収条件と追加作業の扱いを事前に合意し、全12件で検収完了 |
| 納品後 | 保守運用契約への接続、追加開発の提案 | 納品12件のうち4件を保守運用契約へ接続 |
工程で書くと、金額を分け合わずに済みます。SEが技術で勝った案件でも、営業が予算の時期を押さえて競合より早く提案していたなら、その事実が営業の再現性です。逆に、要件整理も見積もSEに任せて同席していただけなら、その案件の金額を自分の実績欄の中心に置くのは避けます。
大手製造業の基幹システム刷新プロジェクト(8,000万円)を受注。SE・PMと連携し、顧客の要望を丁寧にヒアリングしてプロジェクトを成功に導きました(記入例)。
8,000万円がチーム全体の成果なのか本人の受注なのかが分かれず、SE側の書類にも同じ文が書けます。「連携」「丁寧に」「成功に導く」はいずれも工程でも数字でもないため、何をした人か読めません。
生産管理システムの刷新(8,000万円・工数は30人月超)で提案責任者を担当(記入例)。工場4拠点の在庫管理の運用差異を要件一覧に整理してSE4名と工数見積を作成し、スコープ外の作業を契約書の前提条件に明記。競合2社との比較プレゼンを経て受注し、検収まで追加費用なく完了(記入例)。体制はPM1名・SE最大8名で、自身は要件整理・見積・条件交渉・契約を担当。
金額と工数に加えて、自分が担った工程が動詞で並んでいます。SEの職務経歴書には書けない内容だけが残るため、同じ案件を別の人が書いても重なりません。
チームの数字しか手元にない場合や、担当規模と自分の差分を分けて書く考え方はチーム実績しかない営業の職務経歴書にまとめています。分母と期間をそろえる一般則は営業実績を数字でどう書くかを参照してください。
RFPから受注まで1年かかる案件は、何を数字にするか
受注が翌年度にずれる案件があるため、受注額とは別に「提案件数・コンペ勝率・商談期間」を書き、進行中の案件は工程だけを書きます。受託開発は、投資の意思決定が年度予算に紐づくうえ、社内稟議と相見積の比較に時間がかかるため、1年の実績が数件の受注に集約されます。受注額だけを並べると、年度によって数字が大きく振れ、実力の判断材料になりません。
| 段階 | 期間の目安(記入例) | 営業の成果物と書き方(記入例) |
|---|---|---|
| RFI対応・予算の把握 | 受注の6〜12か月前 | 年度の投資計画を把握し、RFI回答 年8件 |
| RFP受領〜提案書提出 | 1.5か月 | 提案書30件(うち役員向けプレゼン12件) |
| 社内見積・体制確保 | 0.5か月 | SEと工数見積を作成、開発部門と要員を仮押さえ |
| 比較・プレゼン・質疑 | 2か月 | 競合2社との比較プレゼン、質疑応答書の提出 |
| 条件交渉・稟議・契約 | 3か月 | 価格・納期・検収条件の合意、契約締結12件 |
| 合計 | 平均7か月(最長14か月) | RFP受領から契約締結までの平均期間を1行で示す |
コンペ勝率を書くときは、分母の定義を同じ行に置きます。「打診を受けた件数」を分母にするか「見積を提出した件数」を分母にするかで、率は大きく変わるためです。見積提出30件に対する受注12件なら勝率40%ですが、打診段階の50件を分母にすれば24%になります(記入例)。どちらが正しいということはなく、書いた側が定義を明示していれば読み手は同じ物差しで比べられます。
勝率は、案件の入り方でも分けて書けます。相見積のある公開コンペ18件で受注6件(約33%)、指名や随意契約12件で受注6件(50%)と分けると、既存の信用で取っている案件と競り合って取っている案件の比率が伝わります(記入例)。指名の比率が高いことは弱点ではなく、継続取引の厚さの証明として読まれます。
進行中の案件は、金額を書かず工程だけを書きます。「従業員2,000名規模の製造業に対し、基幹システム更改の提案書を提出済み(記入例)」のように、確定していない受注を実績欄の数字に入れません。在職中に確定値だけを書く考え方は守秘義務で社名・数値が書けないときの職務経歴書で扱っています。年度の受注額が目標に届かなかった年の書き方は目標未達・成績が悪い営業の職務経歴書にまとめています。
既存顧客の追加開発が大半のとき、新規開拓の薄さをどう補うか
既存の金額を小さく見せようとせず、「新規・追加開発・更改」の3分類で内訳を出し、継続取引年数と更改を勝ち切った件数を新規開拓と同じ重さの実績として書きます。受託開発は一度基幹システムを納めると数年単位の取引になり、売上の大半が既存顧客から生まれます。内訳を書かずに受注額だけを示すと、読み手には「既存にぶら下がっているだけの営業」に見えてしまいます。
| 受注の種類 | 件数・金額(記入例) | 読み手が見るところ |
|---|---|---|
| 新規顧客 | 3件・6,000万円(平均2,000万円) | ゼロから取引を作れるか。入口の経路も添える |
| 既存顧客の追加開発 | 6件・7,200万円(平均1,200万円) | 納品後に次の課題を見つけて提案できるか |
| 既存顧客のシステム更改 | 3件・1億800万円(平均3,600万円) | 再コンペで他社に取られずに守り切れるか |
| 保守運用(ストック) | 12社・年額8,640万円 | 納品で終わらせず月額に接続できるか |
| 合計 | 開発・構築12件・2億4,000万円+保守運用8,640万円 | フローとストックが別計上になっているか |
更改案件は、既存顧客であっても他社との比較にさらされます。長く使われたシステムほど「今回は別のベンダーで」という判断が出やすく、守り切ることは新規を1件取るのと同じ難度になります。更改3件・1億800万円のうち、再コンペを経て受注した件数を添えると、既存の実績が惰性ではないと伝わります(記入例)。
既存顧客を中心に年間2億4,000万円を受注。長年の信頼関係をもとに、追加のご依頼を多数いただきました(記入例)。
新規と既存の内訳がなく、「多数」に件数がありません。信頼関係が前任者から引き継いだものか自分で作ったものかも読めず、応募先での再現性が判断できません。
受注12件・2億4,000万円の内訳は、新規顧客3件・6,000万円(展示会2件、パートナー紹介1件)、既存顧客の追加開発6件・7,200万円、システム更改3件・1億800万円(うち2件は競合2社との再コンペを経て受注)(記入例)。担当18社のうち継続取引5年以上が12社、納品12件のうち4件を保守運用契約へ接続(記入例)。
新規の入口、既存の伸ばし方、守り切った件数が分かれています。既存中心であることを隠さず、再コンペを勝った事実で「守る力」を示しています。
新規開拓の件数が少ない年は、受注に至らなかった活動も書けます。新規訪問社数、RFI回答件数、初回提案まで進んだ社数は、翌年度の受注につながる工程の数字です。新規開拓そのものの書き方は新規開拓営業の職務経歴書、既存顧客を深耕する営業の指標はルート営業・既存深耕の職務経歴書にまとめています。数字が手元に残っていない場合の復元のしかたは数字で示せる実績がない場合を参照してください。
インフラ・クラウド・セキュリティの案件は、同じ書き方でよいか
同じ型で書けますが、初期構築(フロー)と月額(ストック)を必ず分け、対応領域と資格を1行足します。インフラ構築、クラウド移行、セキュリティ製品、運用監視は、受託開発と比べて初期の金額が小さく月額が長く続く構造なので、受注額だけを書くと規模が小さく見えます。月額の年額換算と契約社数を並べると、積み上げてきた収益が可視化されます。
| 商材 | フロー(初期)の書き方(記入例) | ストック(月額)の書き方(記入例) |
|---|---|---|
| 業務システムの受託開発 | 受注12件・2億4,000万円、1件300万〜8,000万円 | 保守運用12社・年額8,640万円 |
| インフラ構築・クラウド移行 | 移行構築 1件1,200万円(サーバー約40台の移行) | クラウド利用料・運用の月額45万円 |
| セキュリティ製品 | 導入 100ID・年額120万円(1IDあたり年1万2,000円) | 更新1年ごと。更新率を年単位で書く |
| 運用監視・MSP(運用の受託) | 初期設定費用は金額帯で示す | 契約5社・月額合計150万円(平均30万円) |
商材の説明では、製品名やクラウドの銘柄を並べるだけにせず、「誰の・どの業務を・何から置き換えたか」を1文で書きます。「オンプレミスのサーバー約40台をパブリッククラウドへ移行し、月次のバッチ処理時間を短縮(記入例)」のように業務で説明すると、業界外の読み手にも案件の難度が伝わります。資格は「応用情報技術者試験 合格」「クラウドベンダーの認定資格(アソシエイト相当)」のように、公的資格は正式名称で、ベンダー資格は水準が分かる書き方にします。
社内でしか通じない略語は、初出で一般語に置き換えます。SIerの現場では「一次請け・二次請け」「オンプレ」「要件定義」「PoC」「WBS」といった語が日常的に使われますが、人事担当が読む前提なら括弧で定義を添えるほうが安全です。翻訳の手順そのものは社内用語・社内KPIを翻訳する職務経歴書で扱っています。
ここまでの内容は、入力フォームの「業務内容と実績・成果」欄にそのまま書けます。欄は1つで、【所属】【営業対象】【商材】【営業手法】【実績・成果】の5ブロックを続けて書く形です。ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」でも、職務経歴書は履歴書では書ききれない具体的なキャリアを伝える書類と位置づけられています。受託開発でいう「具体的」とは、案件の重さと自分の工程が読み手に伝わる状態を指します。
- 【所属】部署名と役職、部内・グループの人数、案件ごとに組むSE・PMの人数。「ソリューション営業部 主任(部内14名)。案件ごとにSE2〜4名とチーム組成」(記入例)のように1行で書きます。
- 【営業対象】顧客の業種と従業員規模、接触する部門(情報システム部門・利用部門・経営層)。決裁の重さを決める情報です。
- 【商材】受託開発・インフラ・セキュリティ・保守運用の区別、契約形態(一括請負・準委任)、1件の金額帯。案件金額を読む前提になります。
- 【営業手法】新規と既存の比率、案件の入り方(RFP・指名・紹介・展示会)、自分が担う工程。ツール名は名前だけを置き、使い方は「活かせる経験・知識・スキル」の欄へ回します。
- 【実績・成果】受注額→受注件数・平均単価→内訳(新規・追加開発・更改)→コンペ勝率→商談期間→保守運用の順に、各行に分母と期間を添えます。粗利率と人月単価は書かず、末尾に伏せた項目の注記を1行だけ置きます。
よくある質問
一括請負と準委任で、実績の書き方は変わりますか?
金額の書き方は同じですが、添える情報が変わります。一括請負は成果物の完成に責任を負う形なので、見積工数と検収の結果(追加費用の有無)を添えると、見積の精度を管理していた営業だと伝わります。準委任は稼働に対して報酬が生じる形なので、契約人数と契約期間、更新の回数を添えます。件数の内訳を1行置くだけでも、どちらの責任を負っていたかが読み手に伝わります。
アカウント担当と提案担当が分かれていて、受注額が自分に付きません。何を書きますか?
受注額は「担当アカウントの年間受注額」として規模を示し、自分の行には担った工程と件数を置きます。アカウント担当なら訪問頻度、投資計画の把握件数、案件化した件数、提案担当なら提案書の作成件数とコンペ勝率です。担当規模と自分の差分を上下2段で書く考え方は、チーム実績しかない営業の職務経歴書にまとめています。
官公庁や自治体の入札案件が中心です。民間案件と同じ書き方でよいですか?
骨格は同じですが、入札特有の工程を足します。入札公告の把握件数、参加資格の取得・更新、仕様書に対する質問書の提出、応札件数と落札件数、落札率(応札に対する落札の割合)です。金額は公告で公開されていることが多いため、伏せる必要は薄い一方、積算の内訳や社内の応札価格の決め方は書きません。入札に特化した書き方は、官公庁・自治体営業を扱う記事で別に整理します。
二次請け中心で、エンドユーザーが見えません。営業実績として弱く見えませんか?
取引の位置を隠さず、元請けとの関係を実績にします。「元請け3社から年間20件の引き合い、うち受注8件(記入例)」のように、窓口の数と引き合い件数を分母にすれば、営業として取ってきた仕事の量が示せます。エンドユーザーの業種と規模だけを書き、案件名と元請け名は伏せる形が基本です。技術者の稼働そのものを売る立場なら、SES営業の職務経歴書の型が近くなります。
SIerからSaaS企業や事業会社の情報システム部門へ応募するとき、何を前に出しますか?
応募先が受託でない場合、案件金額よりも「要件を整理して合意を作る力」が読まれます。利用部門と情報システム部門の要求を1つの要件一覧にまとめた経験、スコープの線引きを契約前に合意した経験、複数決裁者の稟議を通した経験を前に出します。指標は受注額より、コンペ勝率と商談期間、更改の継続率のほうが伝わります。SaaS特有の指標への言い換えは、SaaS営業の職務経歴書を参照してください。
参照した情報
- ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」 — 確認日 2026年9月6日
運営 オルグロー株式会社(運営会社)。この記事は、当社が運営する履歴書・職務経歴書作成ツール「営業の履歴書作成ツール」の編集部が制作し、当社が編集責任を負います。外部ライターへの委託や、他社記事の転載はしていません。
記事内の数値について 売上・件数・達成率・順位などの数値はすべて記入例です。当社サービスの実績や、特定の個人の経歴ではありません。
制作方法 構成と下書きに生成AIを使い、当社の担当者が数値の検算、入力フォームの欄名・並びとの整合、参照情報との照合を行っています。詳しくは編集方針に記載しています。
更新 公開 /最終更新 。記入例・表・結論を変えたときだけ最終更新日を上げています。募集要項に指定がある場合は、そちらが優先されます。