海外営業の職務経歴書は円換算で書く?為替を除いた成長率で示す
この記事の結論
海外営業の職務経歴書は、現地通貨の売上と円換算額を並べ、適用したレートを括弧で添えて書きます。米ドル建てUS$8,400,000(社内レート1米ドル=140円で11億7,600万円)のように書けば、為替で動いた分と自分が伸ばした分が分けて読めます(記入例)。さらに前年のレートで換算し直した成長率111.9%を1行足すと、円安の年でも実力が伝わります(記入例)。代理店経由の売上は、自社の出荷額と現地での販売額を別の行にします。
この記事は海外営業の実績を、建値通貨・適用レート・為替影響を分けた形で書き切ることを決めきるためのものです。職務要約から自己PRまでの全体の型、実績指標の対応表、数字で示せる実績がない場合の書き方、社名や売上を書いてよいかの判断は、営業職の職務経歴書にまとめています。様式そのものを探している方は、そちらの入力フォームからそのまま作れます。
入力フォームへ海外営業とは(職務経歴書での扱い)
海外営業とは、海外の企業や現地の代理店を顧客として、自社の製品・サービスを国境をまたいで販売する営業です。求人票では「海外営業」「輸出営業」「グローバルセールス」「海外事業部」と書かれます。引き合いの受付から見積、取引条件の詰め、出荷手配、入金の確認までを一人で通しで担当することが多く、国内営業なら別部署が持つ工程まで守備範囲に入るのが特徴です。
国内営業と決定的に違うのは、売上の金額そのものが、自分の働きとは関係のない為替相場で上下する点です。職務経歴書で手が止まるのも、実績欄の1行目に置く金額の単位でつまずくからです。現地通貨で書くか円で書くか、円で書くならどの時点のどのレートで換算したのか、円安の年に増えた売上を自分の成果として出してよいのか。売った相手が現地代理店であるために売上の帰属も曖昧になり、担当国の数と駐在の期間をどこに置くかも決まりません。
本記事は、建値通貨と適用レート、為替の影響を除いた成長率、インコタームズと支払条件、輸出管理と製品認証、担当国の粒度、語学力の示し方、駐在と帰任の並べ方という、海外に固有の変数だけを扱います。売上と粗利(口銭)の書き分け、与信枠や在庫回転といった商社機能の書き方は商社営業の職務経歴書が所有します。代理店が売った売上を自分の実績として書けるかという帰属の考え方と、稼働代理店率・勉強会や同行の回数といった代理店運営の一般的な指標は代理店営業・パートナーセールスの職務経歴書、素材や市況で売上が動いた年度の説明はメーカー営業の職務経歴書にまとめています。本記事が引き受けるのは、売上の帰属や市況の説明に「通貨」という変数が1枚重なった場合だけです。
記入例は、産業用機器メーカーの海外営業部で、東南アジア5か国とオーストラリアを担当し、現地代理店経由の販売と一部の直販を持った想定で置いています。海外の旅行会社やOTAを顧客として訪日客を送客する営業も、通貨・言語・海外の決裁者という構造が同じなので、担当国を扱う節の中で受けます。
職務経歴書の完成記入例(海外営業)
先に完成形を示します。海外営業9年(うち駐在3年)の経歴で、直近1年の数字を中心にまとめた例です。数値はすべて記入例で、通貨別・国別・チャネル別の内訳が、いずれも合計と一致するようにそろえています。
記入例
職務要約
産業用機器メーカーの海外営業として9年間、東南アジア5か国とオーストラリアの6か国を担当してきました。うち3年はタイの現地法人に駐在し、営業6名の運営と現地代理店の開拓にあたりました(記入例)。直近1年の担当売上は円換算で14億円(米ドル建て84.0%・円建て12.0%・ユーロ建て4.0%)、円建て目標12億6,000万円に対し達成率111.1%です。売上は円安の影響を受けているため、前年のレートで換算し直すと13億1,250万円・前年比111.9%で、為替による押し上げ分8,750万円(7.5ポイント)を除いた伸びとして記載しています(すべて記入例)。
職務経歴
株式会社〇〇〇〇(産業用機器メーカー/従業員約1,200名・海外売上比率38.0%) ○○○○年○月〜現在 海外営業部 アジア・オセアニア課 係長(記入例)
- 【所属】海外営業部 アジア・オセアニア課(課員5名) 係長(○○○○年○月〜)。うち○○○○年○月〜○○○○年○月はタイ現地法人へ出向・駐在(従業員45名/営業6名を統括)(記入例)
- 【営業対象】東南アジア5か国(タイ・ベトナム・インドネシア・マレーシア・フィリピン)とオーストラリアの計6か国。現地代理店10社と、直販の現地法人2社。エンドユーザーは食品・樹脂・電子部品の製造工場(記入例)
- 【商材】産業用の計測・搬送機器(1台80万〜1,200万円)と、消耗部品・年間保守(1件3万〜60万円)。建値通貨は米ドルが中心、一部を円建て・ユーロ建てで取引(記入例)
- 【営業手法】現地代理店経由の間接販売が中心で、一部を現地法人へ直販。引き合い受付、仕様の擦り合わせ、英文見積、取引条件(インコタームズ・支払条件)の交渉、輸出管理の該非確認、出荷手配、入金確認まで一貫担当。Web商談と年6回の現地出張を併用(記入例)
- 【実績・成果】(直近1年・すべて記入例)
- 担当売上 円換算14億円(社内レート 1米ドル=140円・1ユーロ=160円で換算)。内訳は米ドル建てUS$8,400,000=11億7,600万円(84.0%)、円建て1億6,800万円(12.0%)、ユーロ建てEUR350,000=5,600万円(4.0%)(記入例)
- 円建て目標12億6,000万円(社内レート 1米ドル=130円・1ユーロ=150円で策定)に対し達成率111.1%。同じ策定レートで実績を換算し直すと13億1,250万円・達成率104.2%(記入例)
- 前年 11億7,300万円に対し円ベース119.4%。前年レートで換算した13億1,250万円で見ると111.9%で、為替による押し上げ分は8,750万円(7.5ポイント)(記入例)
- 国別:タイ4億2,000万円(30.0%)/ベトナム2億8,000万円(20.0%)/インドネシア2億2,400万円(16.0%)/マレーシア1億8,200万円(13.0%)/オーストラリア1億5,400万円(11.0%)/フィリピン1億4,000万円(10.0%)(記入例)
- チャネル別:代理店経由11億2,000万円(80.0%)/直販2億8,000万円(20.0%)。代理店向け出荷11億2,000万円に対し、代理店からエンドユーザーへの販売報告は10億3,600万円(差額8,400万円は代理店在庫の増加)(記入例)
- 代理店の新規開拓3社(駐在中2社・帰任後1社)で7社から10社へ。新規3社の直近年度売上は1億500万円(全体の7.5%)(記入例)
- 取引条件:FOB 55.0%/CIF 25.0%/DDP 12.0%/EXW 8.0%。うち2社をDDPからCIFへ変更し、輸入通関と関税の手配を買主側へ戻したことで、納期に関する連絡の往復が年24件から6件へ(記入例)
- 支払条件:L/C一覧払40.0%/T/T前払25.0%/T/T後払(船積後60日)35.0%。4社と条件を見直し船積後90日を60日へ短縮、入金までの平均日数78日→62日(16日短縮)(記入例)
- 輸出管理・認証:輸出管理の該非確認 年48件(うち追加確認となったもの6件)、依頼から出荷可否の確定まで平均3営業日。仕向国の製品認証取得 年5件、申請から取得まで平均4.5か月(記入例)
- 語学:商談の使用言語は英語80.0%・日本語15.0%・通訳同席5.0%。英語でのWeb商談 年168回(月平均14回)、英文の見積・提案書 年120件、英文契約書の一次確認 年8件、現地出張 年6回・延べ42日(記入例)
- 駐在中(3年間)の担当国売上は着任時2億5,000万円から帰任時3億5,000万円へ(140.0%)。営業6名(うち現地採用5名)の体制を運営(記入例)
- ※取引先名・単価表・代理店マージン率は、守秘義務のため国名・業種・単価帯で記載しています
活かせる経験・知識・スキル
- 米ドル・ユーロ・円の複数建値での英文見積の作成(年120件)と、社内レート改定時の価格改定交渉(記入例)
- 現地代理店の開拓と運営(10社/新規3社・年間の代理店別計画と在庫報告の運用)(記入例)
- 取引条件の設計(インコタームズ4条件・L/CとT/Tの使い分け・入金までの平均日数を16日短縮)(記入例)
- 輸出管理の該非確認と仕向国の製品認証の社内調整(該非確認 年48件・認証取得 年5件)(記入例)
- 英語での商談・契約実務(Web商談 年168回・英文契約書の一次確認 年8件)(記入例)
- 海外現地法人での営業運営(営業6名・現地スタッフの育成と月次計画の運用)(記入例)
資格
- TOEIC Listening & Reading Test 860点(○○○○年○月 受験)
- 通関士試験 合格(○○○○年○月)
- 普通自動車第一種運転免許(○○○○年○月 取得)
記入例の数字は、通貨別・国別・チャネル別のどの内訳を足しても円換算14億円になるように置いています。11億7,600万円+1億6,800万円+5,600万円=14億円、代理店経由11億2,000万円+直販2億8,000万円=14億円という足し算です(いずれも記入例)。面接で最初に確かめられるのは金額の大きさではなく、その金額がどの通貨のどのレートで出た数字かを本人が説明できるかどうかです。
職務経歴書は、履歴書では書ききれない具体的な職務内容と実績を伝える書類だと、ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」でも位置づけられています。海外営業でいう「具体的」とは、担当国を並べることではなく、金額の前提(通貨・レート・時点)を読み手が復元できる状態にすることです。入力フォームの「業務内容と実績・成果」は【所属】【営業対象】【商材】【営業手法】【実績・成果】の5ブロックを1つの欄に続けて書く形なので、海外営業の情報は次のように振り分けます。
- 【所属】部署名、課の人数、役職と就任時期。駐在があれば「○○○○年○月〜○○○○年○月 タイ現地法人へ出向・駐在」(記入例)と期間つきで同じ欄に入れます。
- 【営業対象】担当国と地域、代理店数と直販先の数、エンドユーザーの業種。国名は最大でも6〜8か国までで、それ以上は地域名でまとめます。
- 【商材】製品の単価帯に加えて、建値通貨を1行入れます。建値が書いてあるだけで、価格交渉の当事者だったかどうかが読み手に伝わります。
- 【営業手法】間接販売か直販か、そのうえで引き合いから入金までのどの工程を自分が持ったかを並べます。輸出管理や出荷手配まで持っていた場合は、そこも工程として書きます。
- 【実績・成果】円換算の売上と適用レートを1行目に置き、目標と達成率、為替を除いた成長率、国別、チャネル別、取引条件、輸出管理、語学の順に並べます。
職務要約の組み立て方そのものは営業職の職務経歴書の書き方、数字にできる実績が手元にない期間の扱いは数字で示せる実績がない場合にまとめています。
現地通貨の売上は、円に換算して書くか
円換算額を主に置き、括弧の中に現地通貨の金額と適用したレートを添えます。日本の採用担当が規模を判断する物差しは円なので、現地通貨だけを書くと読み手が電卓を叩くことになり、レートの前提も分かりません。逆に円だけを書くと、円安の年に自動的に増えた分まで自分の成果に見えます。両方を1行に置くのが、海外営業の実績欄で最初に決めるべき形です。
| 項目 | 書き方(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 円換算の担当売上 | 14億円(社内レート 1米ドル=140円・1ユーロ=160円) | 1行目に置く。レートを外に出さず括弧で同じ行に入れる |
| 建値通貨別の内訳 | 米ドル建てUS$8,400,000(84.0%)/円建て1億6,800万円(12.0%)/ユーロ建てEUR350,000(4.0%) | 建値が複数あるなら通貨ごとに分ける。合計と一致させる |
| 適用レートの種類 | 社内レート(年度初に決めた予算用の固定レート) | 社内レート・期中平均・出荷日レートのどれかを明記する |
| 現地通貨だけの記載 | (1行目には置かない) | 読み手が規模を判断できない。括弧の中に回す |
| 円だけの記載 | (レート無しでは置かない) | 為替で増えた分と自分の伸びが混ざる |
| 現地法人の現地通貨売上 | THB 87,500,000(駐在最終年度のタイ売上・1バーツ=4.0円で3億5,000万円) | 駐在期間は現地法人の通貨が主。換算レートを同じ行に置く |
| 取引先ごとの単価 | (書かない) | 代理店マージンや仕切価格が逆算される |
適用レートの種類は3つに分かれます。年度初に会社が決めて予算にも実績にも使う社内レート(予算レート)、期中の平均為替レート、出荷日や検収日の実勢レートです。どれを使ったかで同じ売上の円換算額は数千万円単位で変わるため、種類の名前を1語添えるだけで数字の信頼度が上がります。「社内レート(1米ドル=140円)で換算」(記入例)と書けば、期中平均でも実勢でもないことが1行で伝わります。
複数通貨が混ざる場合は、通貨ごとに分けたまま合計を出します。米ドル・ユーロ・円の3建値をすべて円に寄せてから1つの金額だけ書くと、通貨別のリスクを理解している人かどうかが読めません。記入例では米ドル建て84.0%・円建て12.0%・ユーロ建て4.0%という構成比を添え、為替の影響を受けるのが売上の88.0%であることまで示しています(いずれも記入例)。円建て12.0%は、日本側で価格を固定して売っていた分なので、為替の説明からは外れます。
社内でしか通じない略語は、初出で一般語に直します。「建値」「仕切」「シッパー」「フォワーダー」といった語は、輸出の現場では日常語でも、人事や他業種の読み手には伝わりません。「建値通貨(契約上の価格を表示する通貨)」(記入例)のように括弧で説明を添えます。社内KPIや業界語を一般語へ直す手順そのものは社内用語・社内KPIを翻訳する職務経歴書で扱っています。
東南アジア・オセアニア地域を担当し、年間売上14億円を達成しました。(記入例)
通貨もレートも無いため、14億円が何を換算した数字か分かりません。円安の年に前年と同じ数量を売っただけでも同じ行が書けてしまい、読み手は金額を実力の証拠として使えません。
担当売上 円換算14億円(社内レート 1米ドル=140円・1ユーロ=160円)。内訳は米ドル建てUS$8,400,000=11億7,600万円(84.0%)、円建て1億6,800万円(12.0%)、ユーロ建てEUR350,000=5,600万円(4.0%)(記入例)
円換算額・現地通貨額・適用レート・通貨別構成比が1か所にそろい、US$8,400,000×140円=11億7,600万円と行の中で検算できます。為替の影響を受ける範囲が88.0%であることまで読めるため、次の行の成長率の説明に無理なくつながります(いずれも記入例)。
為替で売上が動いた年度は、達成率をどう書くか
円ベースの実績と、前年のレートで換算し直した実績を2行並べ、差を為替の影響として明示します。円安の年に売上が伸びた海外営業の書類は、そのままでは「相場に乗っただけの人」と読まれる危険があり、円高の年に落ちた書類は「未達の人」と読まれます。どちらの年も、為替を固定した数字を自分から足すことで、読み手の判断材料がそろいます。
| 見せる数字 | 計算(記入例) | 結果(記入例) | 職務経歴書での意味 |
|---|---|---|---|
| 当年の円ベース売上 | US$8,400,000×140円+1億6,800万円+EUR350,000×160円 | 14億円 | 規模を示す行。1行目に置く |
| 前年の円ベース売上 | US$7,500,000×130円+1億5,000万円+EUR320,000×150円 | 11億7,300万円 | 比較の基準。前年のレートも書く |
| 円ベースの前年比 | 14億円÷11億7,300万円 | 119.4% | 会社の決算に載る数字。ここで止めない |
| 前年レートで換算した当年 | US$8,400,000×130円+1億6,800万円+EUR350,000×150円 | 13億1,250万円 | 為替を固定した実績。自分の伸びに最も近い |
| 為替を除いた前年比 | 13億1,250万円÷11億7,300万円 | 111.9% | 面接で必ず聞かれる数字。先に書く |
| 為替による押し上げ分 | 14億円−13億1,250万円 | 8,750万円(7.5ポイント) | 自分の成果でない分を自分から差し引く行 |
| 数量ベースの伸び | 出荷台数 420台→462台 | 110.0% | 通貨をまたがない指標。最も疑われにくい |
為替を固定する計算は、当年の現地通貨建て数量に前年のレートを掛け直すだけです。記入例では米ドル建てUS$8,400,000に前年の130円を掛けて10億9,200万円、円建て1億6,800万円はそのまま、ユーロ建てEUR350,000に前年の150円を掛けて5,250万円、合計13億1,250万円としています(いずれも記入例)。特別な知識は要らず、社内レートの改定履歴さえ手元にあれば1枚の書類の中で完結します。
円高で売上が落ちた年度も、同じ2行で説明できます。「円ベース売上 9億8,000万円(前年比83.5%)。前年レートで換算すると12億1,000万円・前年比103.2%」(記入例)と並べれば、数量では伸ばしていた事実が残ります。目標に対して未達だった場合は、未達の金額と達成率を書いたうえで、為替を固定した達成率を添えます。未達だった年度そのものの書き方は目標未達・成績が悪いときの職務経歴書にまとめています。
目標側のレートにも触れておくと、達成率の意味が変わります。多くの会社は年度初の社内レートで予算を組むため、期中に相場が動くと、実績だけが新しいレートで換算されて達成率が跳ねます。記入例では、円建て目標12億6,000万円に対し実績14億円で達成率111.1%ですが、目標と同じ策定レート(1米ドル=130円・1ユーロ=150円)で実績を換算し直すと13億1,250万円・達成率104.2%になります(いずれも記入例)。111.1%と104.2%の両方を書ける人は、自社の予算の仕組みを理解して仕事をしていたと読まれます。予算の策定レートは経理部門か海外事業の企画部門が持っているので、在職中に1度確認しておくと、退職後でも同じ数字を再現できます。
前年比119.4%と過去最高の売上を達成し、目標を大きく上回りました。(記入例)
円安局面では、数量が前年並みでも円ベースの前年比は二桁伸びます。読み手はそれを知っているため、為替に触れていない高い伸び率はかえって割り引かれ、面接の冒頭で「為替の影響はどれくらいですか」と確認から入られます。
担当売上 円換算14億円(前年比119.4%)。前年レート(1米ドル=130円・1ユーロ=150円)で換算し直すと13億1,250万円・前年比111.9%で、為替による押し上げ分は8,750万円(7.5ポイント)。出荷台数は420台から462台(110.0%)(記入例)
円ベース・為替固定ベース・数量ベースの3つが並び、自分の働きで伸びた範囲が読み手にそのまま渡ります。押し上げ分を自分から差し引いているため、数字を大きく見せようとしていないことも同時に伝わります(いずれも記入例)。
インコタームズ・支払条件・輸出管理は、営業の実績として書けるか
書けます。インコタームズの構成比、支払条件の構成比、輸出管理と製品認証の件数と所要期間という形にすれば、いずれも数えられる実績になります。海外営業の商談は、価格を決めて終わりではありません。どこまでの費用と危険を自社が負うか、代金をいつどう受け取るか、その貨物と技術を輸出してよいか。3つの条件が決まらなければ1台も出荷できず、そこを詰めるのが営業の仕事だという点は、国内営業の書類には現れない差分です。
| 項目 | 書き方(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| インコタームズの構成 | FOB 55.0%/CIF 25.0%/DDP 12.0%/EXW 8.0%(売上構成比) | 条件名だけ並べず構成比にする。合計を100%にそろえる |
| 条件の変更交渉 | 2社をDDPからCIFへ変更し、輸入通関と関税の手配を買主側へ | 変更後に何が減ったかを1行足す(納期連絡 年24件→6件) |
| 支払条件の構成 | L/C一覧払40.0%/T/T前払25.0%/T/T後払(船積後60日)35.0% | 後払は日数まで書く。前払比率は交渉力が出る指標 |
| 回収までの日数 | 4社と条件を見直し、入金までの平均日数78日→62日(16日短縮) | 短縮日数と対象社数を組にする。金額換算はしない |
| 輸出管理の該非確認 | 年48件(うち追加確認6件)、依頼から出荷可否の確定まで平均3営業日 | 件数と所要日数の2つ。判定の可否そのものは書かない |
| 仕向国の製品認証 | 年5件、申請から取得まで平均4.5か月 | 認証名の羅列より件数と期間。取得までの工程を1行 |
| 与信枠・粗利率 | (本記事では扱わない) | 商社機能の指標。書き方は商社営業の記事にそろえる |
インコタームズは、国際商業会議所(ICC)がまとめている貿易条件の規則で、FOB・CIF・DDP・EXWといった略号で費用と危険の移転点を示します。2020年版が現行版として広く使われています(2026年9月時点)。職務経歴書に規則の解説を書く必要はなく、書くのは自分が扱った条件の構成比と、条件を動かした交渉です。DDPからCIFへ1社動かしただけでも、輸入通関と関税の手配が自社から離れ、納期の遅れをめぐる往復が減ります。条件の変更は、値引きをせずに自社側の負担を軽くする数少ない手なので、営業の交渉力として読まれます。
支払条件は、前払・後払・信用状(L/C)の3つの構成比で書きます。T/T前払の比率が高い担当は、価格以外の条件でも押せる人だと読まれ、L/Cの比率が高い担当は、書類要件の細かい取引を回してきた人だと読まれます。後払の日数は必ず書きます。「T/T後払35.0%」(記入例)とだけ書いても、30日なのか120日なのかが分からず、抱えていたリスクの大きさが伝わりません。なお、与信枠の設定や在庫の回転といった商社機能の指標は本記事では扱いません。回収について書くのは、入金までの平均日数と、条件を見直した社数までにとどめます。
輸出管理は、件数と所要日数で書きます。貨物や技術の中には、外国為替及び外国貿易法にもとづく輸出の許可・承認の対象になるものがあり(2026年9月時点)、該当するかどうかの確認を営業が起点で回している会社もあります。条文はe-Gov法令検索の外国為替及び外国貿易法で確認できます。制度側の定めは記入例の数字とは別のものとして扱い、書類に載せるのは「輸出管理の該非確認 年48件、依頼から出荷可否の確定まで平均3営業日」(記入例)という、自分が回した件数と所要日数までにします。判定の結果や取引先名を書き込むと、守秘の面でも制度の理解の面でも減点になります。主力商材が半導体・電子部品だった場合は、半導体・電子部品営業の職務経歴書のよくある質問でも同じ論点に触れています。
貿易実務全般(インコタームズ、L/C、輸出通関書類)に対応可能です。(記入例)
対応できる範囲の申告だけで、量も結果もありません。研修で用語を習っただけの人と、年48件の該非確認を回してきた人が同じ行になってしまい、経験の深さが伝わりません。
取引条件はFOB 55.0%/CIF 25.0%/DDP 12.0%/EXW 8.0%(売上構成比)。うち2社をDDPからCIFへ変更し、納期に関する連絡の往復を年24件から6件へ。支払条件はL/C一覧払40.0%/T/T前払25.0%/T/T後払(船積後60日)35.0%で、4社と条件を見直し入金までの平均日数を78日から62日へ短縮(記入例)
扱った条件の幅が構成比で示され、そのうえで自分が動かした2社・4社という件数と、動かした後に減った数字が並んでいます。用語の知識ではなく、条件を交渉して結果を変えた経験として読まれます(いずれも記入例)。
担当国と代理店経由の売上は、どの粒度で書くか
担当国は6〜8か国までなら国名で、それを超えるなら地域名と国数で書き、代理店経由の売上は自社の出荷額と現地での販売額を別の行にします。海外営業の職務経歴書でよくあるのは、担当したことのある国を15か国並べて1行が埋まってしまう書き方です。読み手が知りたいのは国の数ではなく、どの国でいくら売り、その売上が誰の手を経由したかです。
| 状況 | 書き方(記入例) | 添える情報 |
|---|---|---|
| 担当が8か国以下 | タイ・ベトナム・インドネシア・マレーシア・フィリピン・オーストラリアの6か国 | 国別の売上と構成比。上位3か国だけでもよい |
| 担当が9か国以上 | ASEAN・オセアニア12か国(うち売上上位3か国で72.0%) | 地域名と国数、上位集中度。全部の国名は並べない |
| 出張ベースの担当 | 年6回・延べ42日の出張で6か国を巡回(駐在なし) | 回数と日数。駐在との違いを自分から書く |
| 代理店経由(間接販売) | 代理店経由11億2,000万円(80.0%)/代理店10社 | 自社から代理店への出荷額であることを明記 |
| 現地での販売額 | 代理店からエンドユーザーへの販売報告10億3,600万円 | 出荷額との差額8,400万円は代理店在庫の増加 |
| 直販 | 直販2億8,000万円(20.0%)/現地法人2社 | 誰と契約したかを1語(現地法人・エンドユーザー直) |
| 新規代理店の開拓 | 3社(7社→10社)、新規3社の直近年度売上1億500万円(7.5%) | 社数だけでなく、開拓後に立ち上がった売上まで |
代理店経由の売上で最も誤解を招くのは、出荷額と現地の販売額を1つにまとめることです。自社から代理店へ出荷した金額は自社の売上ですが、それが現地でエンドユーザーに渡ったかどうかは別の話で、代理店の倉庫に積み上がっているだけの年もあります。記入例では、代理店向け出荷11億2,000万円に対し、代理店からエンドユーザーへの販売報告を10億3,600万円と別の行にし、差額8,400万円を代理店在庫の増加として置いています(いずれも記入例)。2行にしておくと、押し込み販売をしていないことが自分の書類から読めます。
海外の代理店に固有なのは、在庫を買い取って自国で再販する立場だという点です。価格改定の交渉相手が代理店になり、代理店の在庫水準が翌年の受注をそのまま左右します。「代理店別の年間計画(数量・在庫上限)を10社と合意し、四半期ごとに販売報告を受領」(記入例)のように運用まで書くと、契約して放任していたのではないことが伝わります。為替が動いた年に代理店側の仕入価格が上がる局面では、価格改定の交渉が実績になります。「円安局面で現地通貨建ての価格を3社と改定(平均6.0%)、うち2社は数量条件との交換で合意」(記入例)のように、条件の交換までを1行に入れます。
顧客が海外の旅行会社やOTAで、日本国内に送客してもらう立場の営業も、通貨・言語・海外の決裁者という構造は同じです。主指標だけが入れ替わり、契約旅行会社数(国別)、送客の人泊数、平均客室単価、MICEの誘致件数が実績の中心になります。「契約旅行会社18社(6か国)、年間送客4,800人泊、平均客室単価2.4万円、送客売上1億1,520万円。MICE誘致 年4件・延べ参加者1,200名」(記入例)のように、人泊数と単価と売上を1行に組にする形は、輸出の売上と同じ考え方です。国内の旅行会社を顧客とする法人営業の書き方は旅行会社営業の職務経歴書で扱います。需要が途切れて実績が残らない期間があった場合は、件数のない年度を空欄にせず、契約の維持と再開の準備に充てた活動を件数で書きます。
語学力と駐在・帰任は、経歴のどこにどう書くか
語学は点数ではなく使用場面と量で書き、駐在は出向の期間と現地法人の規模を職務経歴の中に置きます。TOEICのスコアは資格欄に1行あれば足りる情報で、そこだけを根拠にすると、点数は高いが商談を回した経験が薄い人と区別がつきません。読み手が知りたいのは、英語で何をどれだけやったかです。
| 示すもの | 書き方(記入例) | 置き場所 |
|---|---|---|
| 商談の使用言語比率 | 英語80.0%/日本語15.0%/通訳同席5.0% | 【実績・成果】の語学の行 |
| 商談の量 | 英語でのWeb商談 年168回(月平均14回) | 【実績・成果】。回数と頻度を組にする |
| 書く力 | 英文の見積・提案書 年120件、英文契約書の一次確認 年8件 | 【実績・成果】。読む・書くは件数で示す |
| 対面の量 | 現地出張 年6回・延べ42日(1回平均7日) | 【営業手法】または【実績・成果】 |
| 第二外国語 | タイ語(日常会話・現地スタッフとの業務指示) | 資格欄ではなくスキル欄。到達度を用途で書く |
| スコア | TOEIC Listening & Reading Test 860点(○○○○年○月 受験) | 資格欄に1行。受験時期を必ず添える |
| スコアだけの記載 | (実績欄には置かない) | 使用場面が無いと商談経験の裏づけにならない |
スコアの受験時期は必ず添えます。10年前の点数をそのまま置くと、直近の運用能力が読めません。受験が古い場合は、点数を資格欄に残したうえで、直近1年の使用実績を実績欄に置く形にすると、現在の力が伝わります。スコアの書き方や資格欄での並べ方そのものは営業職の履歴書の資格欄の書き方にまとめています。第二外国語は、点数のない言語でも「タイ語(日常会話・現地スタッフへの業務指示)」(記入例)のように到達度を用途で書けば、現地で使っていた事実が残ります。
| 項目 | 書き方(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 駐在の期間 | ○○○○年○月〜○○○○年○月(3年)タイ現地法人へ出向・駐在 | 【所属】に期間つきで。年数を括弧で添える |
| 現地法人の規模 | 従業員45名/営業6名を統括 | 規模が無いと役割の重さが読めない |
| 現地の営業体制 | 営業6名(うち現地採用5名)の体制を運営し、月次計画と代理店別の担当を割り付け | 国籍や出身ではなく、人数と役割で書く |
| 駐在中の成果 | 担当国売上 着任時2億5,000万円→帰任時3億5,000万円(140.0%) | 着任時と帰任時の2点を置く。期間を明記 |
| 帰任後の担当 | 帰任後3年、本社で6か国を担当(タイは4億2,000万円へ) | 駐在で作った売上のその後まで書けると強い |
| 出張ベースの海外担当 | 駐在なし。年6回・延べ42日の出張で6か国を巡回 | 駐在経験が無いことを隠さず、量で書く |
| 帰任の理由 | (原則として書かない) | 任期満了が通例。書くのは会社都合の組織変更のときだけ |
駐在は、職歴を1社増やす出来事ではありません。多くの場合は出向という形で在籍が続いているため、会社名の行は日本の会社のまま置き、【所属】の中に出向・駐在の期間を入れます。出向元と出向先をどう並べるか、転籍で在籍が切れた場合にどう書くかという、所属の器が動いたときの書き方そのものは社名変更・合併・出向・転籍の職務経歴書が所有します。本記事で足すのは、駐在中の現地法人の規模と、着任時から帰任時までの売上の動きです。
帰任後の応募でつまずくのは、駐在中の実績が数年前で止まって見えることです。記入例では、帰任時3億5,000万円だったタイの売上が、帰任後3年で4億2,000万円(120.0%)まで伸びたことを本社側の実績として別の行に置いています(いずれも記入例)。自分が現地で作った仕組みが、帰任後も動いて数字を伸ばした事実は、再現性の説明として最も強い材料になります。駐在の経験が無い場合は、出張の回数と延べ日数を書けば十分で、無い経験を大きく見せる必要はありません。
TOEIC860点。英語を使った業務経験があり、タイに3年間駐在していました。(記入例)
点数と滞在年数だけで、量も役割も成果もありません。駐在していた事実は、現地で何人を動かしていくらの売上を作ったかとセットにならないと、住んでいたという情報にとどまります。
商談の使用言語は英語80.0%・日本語15.0%・通訳同席5.0%。英語でのWeb商談 年168回(月平均14回)、英文の見積・提案書 年120件、英文契約書の一次確認 年8件。○○○○年○月から3年間タイ現地法人へ出向・駐在し、従業員45名の拠点で営業6名を統括、担当国売上を2億5,000万円から3億5,000万円へ(140.0%)(記入例)
語学が使用場面と件数に変換され、駐在も期間・拠点規模・統括人数・売上の変化まで置かれています。TOEICの点数は資格欄に回してあるため、実績欄が商談の実務だけで構成され、読み手が力量を直接判断できます(いずれも記入例)。
よくある質問
担当国の売上が会社の機密にあたり、金額を書けません。
金額を伏せたまま、構成比・数量・件数で書けます。「担当6か国/全社の海外売上に占める担当地域の構成比32.0%」「出荷台数 年462台(前年420台・110.0%)」「代理店10社・新規3社」(いずれも記入例)のように、比率と数量に置き換えれば規模と伸びが伝わります。金額を書けない理由は1行で断ります。「取引条件と単価に関わるため、金額は構成比と台数で記載しています」(記入例)と添えれば、隠したのではなく守秘義務を守ったと読まれます。守秘義務と社名の扱い全般は守秘義務・社名が書けない職務経歴書にまとめています。
担当していた国が20か国以上あります。全部書くべきですか。
書きません。地域名と国数、売上上位3か国、上位集中度の3つに圧縮します。「ASEAN・南アジア・オセアニア22か国(売上上位3か国で68.0%)」(記入例)のように書けば、広さと重心の両方が1行で伝わります。国名を20個並べた行は、読み手にとっては情報量ゼロの装飾になり、応募先が力を入れている国が含まれていても埋もれます。応募先が特定の国や地域を狙っているなら、その国だけを別行に立てて売上・代理店数・訪問回数を書くほうが届きます。
国内営業から海外営業に移りたい場合、何を書けばよいですか。
海外の経験を無理に作らず、国内で持っていた工程のうち海外営業でもそのまま使えるものを前に出します。代理店・販売店を経由した間接販売の経験、価格改定の交渉、納期調整、複数拠点の在庫を見ながらの受注管理は、国境をまたいでも同じ仕事です。そのうえで、英語の使用場面が少しでもあれば量で書きます。「海外拠点からの英文問い合わせ対応 年24件」(記入例)でも、ゼロとは違います。職種をまたぐときの実績の翻訳の型は営業未経験(異職種から営業へ)の職務経歴書にまとめています。
為替の影響を除いた数字を、会社が集計していません。
自分で計算して、計算したと分かる形で書きます。必要なのは、当年の現地通貨建て売上と、前年の社内レートの2つだけです。「当年US$8,400,000に前年の社内レート130円を掛けて10億9,200万円、円建て分1億6,800万円とユーロ建て分5,250万円を足して13億1,250万円(前年レートで換算した参考値・記入例)」のように、計算式と参考値であることを添えれば、会社の公式集計と混ざりません。社内レートの改定履歴が手元にない場合は、数量ベースの伸びだけを書きます。分母と期間をそろえる一般的な考え方は営業実績を数字でどう書くかにまとめています。
英文レジュメと日本語の職務経歴書は、同じ内容にすべきですか。
数字・期間・役職・担当国は完全に一致させ、構成と粒度は書類ごとの様式に合わせます。英文レジュメは職務ごとの箇条書きで成果を先頭に置く形式が一般的で、日本語の職務経歴書は会社ごとに【所属】【営業対象】【商材】【営業手法】【実績・成果】を続けて書く形です。様式が違っても、担当売上14億円、担当6か国、駐在3年といった事実が食い違えば、どちらの書類も確認の対象になります(記入例)。先に日本語で数字を確定させ、そこから英文へ写す順番にすると、ずれが起きにくくなります。
現地代理店とは年に数回しか会えません。運用していたことを数字にできますか。
できます。訪問の回数ではなく、離れた場所から回していた仕組みを数えます。「主要代理店5社とWeb定例を月1回(年60回)、10社から四半期ごとの販売・在庫報告を受領(10社×年4回=年40件)、現地語版の製品資料・価格表を年18件整備」(いずれも記入例)のように書けば、年6回の出張の合間に何をしていたかが残ります。出張そのものも「1回7日・平均4社を訪問、うち2社は代理店に同行してエンドユーザーを訪問」(記入例)と密度で書くと、回数の少なさが弱点になりません。時差のある相手とのやり取りは、受信当日中に一次回答を返すといった自分が守っていた基準を1行足すと、遠隔でも止めずに回していたことが伝わります。
参照した情報
- ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」 — 確認日 2026年9月6日
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