社名変更・合併・出向の職務経歴書は2社に見える?在籍の連続性で示す
この記事の結論
社名変更・合併・出向の職務経歴書は、在籍していた会社を1社として立て、会社名の行に旧社名と現社名、変わった理由と年月を1行で添えます。「株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に△△株式会社へ吸収合併/現:△△株式会社)○○○○年○月〜現在(11年3か月)」(記入例)と書けば、勤続が切れていないと会社名の行だけで伝わります。雇用主が変わらない在籍出向は出向元を1社として立て、出向先を期間の入れ子で書きます。
この記事は所属の器が動いた経歴を、在籍の連続と実績の帰属で書き切ることを決めきるためのものです。職務要約から自己PRまでの全体の型、実績指標の対応表、数字で示せる実績がない場合の書き方、社名や売上を書いてよいかの判断は、営業職の職務経歴書にまとめています。様式そのものを探している方は、そちらの入力フォームからそのまま作れます。
入力フォームへ社名変更・合併・出向・転籍とは(職務経歴書での扱い)
社名変更・合併・出向・転籍とは、自分が働き続けているあいだに、所属していた会社そのものが名前を変えたり、他社と一つになったり、就業する場所がグループの別会社へ移ったりする出来事です。仕事の中身は変わっていないのに、経歴を書く器のほうが動いてしまうため、会社名の行をどう立てるかで手が止まります。読み手にとっては、在籍が続いていたのか、途中で辞めて入り直したのかが判別できるかどうかが最初の関門です。
本記事は、在籍中に会社の名前・法人格・就業先が動いた経歴を対象にします。商号変更、吸収合併、経営統合と持株会社化、分社化と事業譲渡、在籍出向と転籍、海外の現地法人への駐在、そして勤務先の倒産・事業撤退までを、同じ「所属の器が動いた」型として扱います。営業として何を売り、どんな数字を残したかは変わらないので、書き分けるのは会社名の行と、実績をどちらの会社の数字として立てるかの2点です。
同じ会社の中で部署・役職・担当が変わっただけの経歴は、器は動いていないため部署異動・昇進・降格・兼務の職務経歴書で扱います。実際に複数の会社を渡ってきた経歴を何社としてまとめ、どう見せるかは転職回数が多い営業の職務経歴書の範囲です。出向先や合併相手の社名そのものを書けない事情があるときの置き換えは守秘義務で社名・数値が書けないときの職務経歴書にまとめています。派遣会社に雇用されて他社で働いた経歴は、雇用主が派遣元のまま就業先が動く点は似ていますが、契約の型が違うため本記事では扱いません。
職務経歴書の完成記入例(社名変更・合併・出向を含む経歴)
先に完成形を示します。産業用資材メーカーに新卒で入社し、在籍中に吸収合併で社名が変わり、その後2年間は販売子会社へ在籍出向して帰任した11年3か月を、1社として立てた例です。数値はすべて記入例で、期間の合計と売上の内訳が割り切れるようにそろえています。
記入例
職務要約
産業用資材メーカーの法人営業として11年3か月、同じ会社に在籍したまま、吸収合併による社名変更、販売子会社への出向、帰任を経験してきました(記入例)。入社した株式会社〇〇〇〇は入社から4年後に△△株式会社へ吸収合併され、以後は統合後の製品群を担当しています(記入例)。うち2年は販売子会社□□株式会社へ在籍出向し、販売店24社の担当として2年目に担当売上2億1,600万円・前年比120.0%を残しました(記入例)。帰任後の直近1年は担当売上3億5,200万円、目標3億2,000万円に対し達成率110.0%、営業本部12名中2位です(記入例)。メーカー本体と販売子会社の両側から同じ製品群を扱った経験を、販売店との取引条件の設計に活かしています。
職務経歴
株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に△△株式会社へ吸収合併/現:△△株式会社。産業用資材メーカー・従業員約1,200名) ○○○○年○月〜現在(11年3か月) 営業本部 第二営業部 主任(記入例)
- 【所属】(在籍は継続。所属の変遷を期間で分けて記載)(記入例)
- 株式会社〇〇〇〇 〇〇営業部(○○○○年○月〜/4年0か月)(記入例)
- △△株式会社 営業本部 第二営業部(吸収合併により社名変更。○○○○年○月〜/3年0か月)(記入例)
- □□株式会社 〇〇支店 営業課(△△株式会社の販売子会社・従業員約120名へ在籍出向。○○○○年○月〜/2年0か月)(記入例)
- △△株式会社 営業本部 第二営業部 主任(帰任。○○○○年○月〜現在/2年3か月・営業本部の営業12名)(記入例)
- 【営業対象】機械商社・資材商社などの販売店24社(従業員30〜300名)の営業・仕入担当と、直接取引のある製造業のエンドユーザー32社(従業員100〜2,000名)の購買・生産技術部門(記入例)
- 【商材】産業用資材(1件20万〜300万円の継続発注品)。合併後は旧△△株式会社の製品群を加えた統合ラインを担当(記入例)
- 【営業手法】販売店経由の間接販売とエンドユーザーへの直販の併走。出向中は販売子会社の営業として、同じ製品群を販売店側の立場で扱いました
- 【実績・成果】(すべて記入例)
- 直近1年(帰任後):担当売上 3億5,200万円(目標3億2,000万円・達成率110.0%)、粗利 8,800万円(粗利率25.0%)。営業本部12名中2位(記入例)
- 出向先で担当した販売店24社のうち9社を帰任後も継続担当し、9社の売上 1億560万円(担当売上3億5,200万円の30.0%)(記入例)
- 出向中(□□株式会社 〇〇支店 営業課・2年0か月):1年目 担当売上1億8,000万円 → 2年目 2億1,600万円(前年比120.0%)、支店7名中1位。担当販売店24社(うち新規開拓6社)(記入例)
- 合併の前後:合併前年度 担当売上1億8,000万円(旧〇〇株式会社の製品のみ)→ 合併初年度 2億4,000万円(統合後の製品群、うち旧△△株式会社由来の製品6,000万円)。合併前から担当していた製品だけで比べた前年比100.0%、担当範囲を含めた単純比較では133.3%(記入例)
- ※出向中の売上は出向先である□□株式会社に計上された数字で、△△株式会社の担当売上には合算していません(記入例)
- ※出向先の取引先名・製品名は守秘義務のため、業種と規模で記載しています
活かせる経験・知識・スキル
- 合併に伴う製品群の統合対応(価格表・型式の読み替えを販売店24社へ説明、切替期間3か月)(記入例)
- 販売子会社への出向で得た販売店側の実務(在庫・与信・納期調整の段取り)
- メーカー本体と販売子会社の両側から見た商流の設計と、取引条件の交渉
- 帰任時の引き継ぎ(担当販売店24社のうち9社を継続担当、15社を後任3名へ移管)(記入例)
- 主任として部員3名の同行・同席指導(年48回)(記入例)
資格
- 普通自動車第一種運転免許(○○○○年○月 取得)
記入例の期間は、4年0か月+3年0か月+2年0か月+2年3か月=11年3か月で会社名の行と一致します。売上も、1億8,000万円+6,000万円=2億4,000万円、1億8,000万円×120.0%=2億1,600万円、3億5,200万円×30.0%=1億560万円という関係で閉じています(いずれも記入例)。器が動いた経歴では、実績の高さより先に、期間の足し算が合っているかどうかが見られます。
職務経歴書は、履歴書では書ききれない具体的な職務内容と実績を伝える書類だと、ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」でも位置づけられています。器が動いた経歴でいう「具体的」とは、いつ何が起きて、そのとき自分の雇用主と就業先がどう動いたかを、読み手が数えられる形にすることです。入力フォームの「業務内容と実績・成果」は【所属】【営業対象】【商材】【営業手法】【実績・成果】の5ブロックを1つの欄に続けて書く形なので、器の動きは次のように振り分けます。
- 【所属】所属の変遷を期間で分けて入れ子にします。社名変更・出向・帰任はこの欄で受けると、会社名の行が短く保てます。
- 【営業対象】合併や出向で担当先が入れ替わった場合は、変わった後の姿を書き、増減は【実績・成果】の行で受けます。
- 【商材】合併で製品群が広がったのなら、統合前と統合後のどちらを書いているかを1語で示します。売上の分母が変わった根拠になります。
- 【営業手法】出向でメーカー側から販売店側へ立場が変わったなど、同じ商材を別の立場で扱った経験はこの欄に1行で置きます。
- 【実績・成果】数字は在籍していた会社ごとに閉じ、期間を先頭に書きます。合算していない旨の注記も同じ欄に入れます。
職務要約の組み立て方そのものは営業職の職務経歴書の書き方、数字にできる実績が手元にない期間の扱いは数字で示せる実績がない場合にまとめています。
会社名の行は、旧社名と現社名をどう並べるか
入社したときの社名を先に書き、現在の社名と、社名が変わった理由・年月を括弧に入れて1行に収めます。読み手が会社名の行で確かめているのは、在籍が途切れていないかどうかの1点です。現社名だけを書くと入社時の社名と食い違い、旧社名だけを書くと現在どの会社かが分からなくなります。両方を1行に置き、間に何が起きたかを1語添えると、その行だけで判断が済みます。
| 起きたこと | 会社名の行(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 商号変更(社名だけ変わった) | 株式会社〇〇〇〇(現:△△株式会社) | 法人格は同じ。理由の説明は不要で、括弧1つで閉じる |
| 吸収合併(自社が消滅した) | 株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に△△株式会社へ吸収合併/現:△△株式会社) | 合併の年月を入れると、退職と入社ではないと読める |
| 吸収合併(自社が存続した) | 株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に□□株式会社を吸収合併) | 会社名は変わらない。担当範囲が広がった事実は実績側で受ける |
| 合併で新会社になった | 株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に□□株式会社と合併し、△△株式会社となる) | どちらが存続会社かを気にせず「〜となる」で書ける |
| 経営統合・持株会社化 | 株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に△△ホールディングス株式会社の傘下となる) | 雇用主が事業会社へ移ったかどうかを別途1行で書き分ける |
| 分社化(会社分割)で移った | 株式会社〇〇〇〇 〇〇事業部(○○○○年○月に分社し、株式会社□□へ転籍) | 分社後も在籍出向の形なら1社のまま。雇用主が移る転籍なら2社に分けて立てる |
| 事業譲渡で移籍した | 株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に〇〇事業を株式会社□□へ譲渡)/株式会社□□(同事業の移管に伴い入社) | 譲渡先での入社年月を別の行で立て、間を空けない |
| 屋号・ブランド名だけ変わった | 株式会社〇〇〇〇 | 法人格が変わっていなければ会社名の行には書かない |
括弧に入れる語は、「現:」「〜へ吸収合併」「〜となる」「〜の傘下となる」の4つで足ります。合併の背景や統合の狙いを書く欄ではないので、1行に収まらないときは【所属】の入れ子へ落とします。社名が2回以上変わっている場合は、入社時の社名と現在の社名を会社名の行に置き、途中の社名は【所属】の期間ごとの行に年月とともに残すと、行が長くなりません。
履歴書と職務経歴書で表記が食い違うと、同じ経歴が別々の会社の話に見えます。厚生労働省の履歴書様式例(A4版)の職歴欄は年月ごとに1行を書く形なので、履歴書では「株式会社〇〇〇〇 入社」「株式会社〇〇〇〇が△△株式会社へ吸収合併され、△△株式会社となる」を年月の順に分けて書き、職務経歴書では括弧で1行にまとめます。書く場所と分量は違っても、社名の綴りと年月は完全にそろえます。2つの書類の役割の違いは履歴書と職務経歴書の違いにまとめています。
△△株式会社 ○○○○年○月〜現在 営業本部 第二営業部(記入例)
入社したのは株式会社〇〇〇〇なのに現社名だけが書かれているため、履歴書の職歴欄と社名が食い違います。書類選考の段階で経歴の確認が必要な応募として扱われ、面接の最初の時間が事実確認に使われます。
株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に△△株式会社へ吸収合併/現:△△株式会社。産業用資材メーカー・従業員約1,200名) ○○○○年○月〜現在(11年3か月) 営業本部 第二営業部 主任(記入例)
入社時の社名、合併の年月、現在の社名、在籍年数が1行にそろい、勤続11年3か月が切れていないと読めます。合併後の従業員規模まで添えたことで、いま在籍している会社の大きさも同時に伝わります(いずれも記入例)。
出向と転籍は、どちらの会社の経歴として立てるか
雇用主が変わらない在籍出向は出向元を1社として立てて出向先を期間の入れ子で書き、雇用主が変わる転籍は出向元の退職と転籍先の入社を別の行で立てます。分かれ目は、労働契約を結んでいる相手が動いたかどうかの1点です。在籍出向は出向元との労働契約を残したまま働く場所が変わる形で、給与や社会保険をどちらの会社が負担するかは出向契約の定め方によりますが、経歴としては1社です。転籍は出向元との契約が終わり、転籍先と新たに契約を結ぶ形なので、経歴としては2社になります。
| 形 | 労働契約の相手(雇用主) | 職務経歴書での立て方 | 経歴上の会社数 |
|---|---|---|---|
| 在籍出向 | 出向元のまま | 出向元を1社として立て、出向先を【所属】の期間で入れ子にする | 1社 |
| 転籍(移籍出向) | 転籍先に移る | 出向元の行を退職年月で閉じ、転籍先の行を入社年月で立てる | 2社 |
| 分社化に伴う移籍 | 新会社に移る | 元の会社の行に分社の事実を書き、新会社の行を別に立てる | 2社 |
| 海外現地法人への駐在 | 多くは出向元のまま | 出向元の入れ子。現地法人の規模と自分の役職を添える | 1社 |
| 出向から帰任 | 出向元のまま | 帰任の年月を入れ子の次の行に立て、期間を閉じる | 1社 |
| 出向先へそのまま転籍 | 途中で転籍先に移る | 出向期間と転籍後の期間を年月で区切り、2社に分ける | 2社 |
入れ子で書くときは、出向先の行の頭に「在籍出向」と置き、出向元の名前を括弧で添えます。「□□株式会社 〇〇支店 営業課(△△株式会社の販売子会社・従業員約120名へ在籍出向。○○○○年○月〜/2年0か月)」(記入例)のように書けば、雇用主と就業先が違うことと、出向先がどれくらいの規模の会社かが1行で伝わります。出向先が親会社の販売子会社なのか、取引先なのか、共同出資の会社なのかで、経験の中身は大きく変わるため、資本関係を1語で示します。メーカーから販売会社への出向は珍しい経歴ではなく、商流の両側を見た経験として読まれます。商流そのものの書き方はメーカー営業の職務経歴書にまとめています。
社内で「応援」「派遣」「兼務」と呼ばれていた異動が、契約上は出向にあたることがあります。呼び名をそのまま書かず、雇用主が動いたかどうかで判断し、動いていなければ在籍出向、まったく動いていなければ社内の異動として書きます。社内だけで通じる呼び名を一般語へ直す手順は社内用語・社内KPIを翻訳する職務経歴書で扱っています。出向先の社名が契約上書けない場合は、「同業の販売会社(従業員約120名)へ在籍出向」(記入例)のように業種と規模へ置き換えます。
□□株式会社 ○○○○年○月〜○○○○年○月 〇〇支店 営業課/△△株式会社 ○○○○年○月〜現在 営業本部(記入例)
在籍出向なのに2社として並べたため、11年3か月の在籍が3つに割れ、2回転職したように見えます。労働契約の相手は出向元のままなので、入社日と在籍期間を確認された時点で書類と事実が食い違います。
株式会社〇〇〇〇(現:△△株式会社) ○○○○年○月〜現在(11年3か月) /【所属】□□株式会社 〇〇支店 営業課(△△株式会社の販売子会社・従業員約120名へ在籍出向。○○○○年○月〜/2年0か月)→ △△株式会社 営業本部 第二営業部 主任(帰任。○○○○年○月〜現在/2年3か月)(記入例)
会社は1社のまま、就業先が2年動いて戻ったことが期間で読めます。出向先の規模と資本関係があるため、どんな環境に置かれた2年だったかも同時に伝わります(いずれも記入例)。
所属が動いた年の実績は、どちらの会社の数字として書くか
数字は在籍していた会社ごとに閉じ、担当範囲が変わった年は範囲をそろえた前年比を併記します。器が動いた年は、売上が増えても減っても、その原因が自分の働きなのか組織の都合なのかが読み手に分かりません。分母が変わったことを先に書いてから数字を出すと、伸びの理由を聞き返される前に説明が済みます。
| 場面 | 書き方(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 社名だけ変わった年 | 数字はそのまま連続で書く | 会社も担当も変わっていない。注記も不要 |
| 合併で担当範囲が広がった年 | 合併初年度 担当売上2億4,000万円(うち旧△△株式会社由来の製品6,000万円) | 増えた分の内訳を括弧で出す。伸びの中身が読める |
| 合併年の前年比 | 同一範囲で100.0%/範囲を含めた単純比較で133.3% | 2通り並べる。片方だけだと過大にも過小にも見える |
| 在籍出向中の売上 | 出向先□□株式会社での担当売上として書き、出向元の担当売上には合算しない | 計上先が違う数字を足すと、面接で足し算が合わなくなる |
| 帰任した年 | 出向先で担当した販売店24社のうち9社を継続担当、9社で1億560万円(担当売上の30.0%) | 出向が現在の数字につながった証拠になる |
| 転籍した年 | 転籍前は前の会社の行、転籍後は新しい会社の行に置き、通算の数字は書かない | 雇用主が違う期間の合計は根拠を示せない |
| 分社化で担当が外れた年 | 分社前 担当売上2億4,000万円 → 分社後 1億8,000万円(分社で外れた製品群6,000万円を除く) | 減った理由を括弧で先に出す |
| 評価制度が変わった年 | 目標の置き方が売上から粗利へ変わった旨を1行添える | 達成率の意味が変わるため、率だけを並べない |
所属が変わっても職務が続いたことは、3つの行で示せます。1つ目は職務要約の1文で、「同じ会社に在籍したまま、吸収合併による社名変更、販売子会社への出向、帰任を経験してきました」(記入例)と器の動きをまとめること。2つ目は会社名の行で、入社から現在までを1本の期間で閉じること。3つ目は実績の行で、担当先や商材が動いた前後をつなぐ具体を出すことです。記入例では、出向先で担当した販売店24社のうち9社を帰任後も継続担当し、その9社が現在の担当売上3億5,200万円の30.0%にあたる1億560万円を占めている、という行が3つ目にあたります(いずれも記入例)。
器が動いた年に目標へ届かなかった場合は、届かなかった事実を先に書き、統合や引き継ぎで動いた分を後ろに置きます。未達年度の書き方は目標未達・成績が悪いときの職務経歴書にまとめています。合併直後は担当が班単位に組み替えられ、個人の数字が切り出せないこともあります。切り出し方はチーム実績しかない営業の職務経歴書で扱っています。
合併初年度は担当売上2億4,000万円、前年比133.3%を達成しました。(記入例)
伸びの多くが合併で担当製品が増えたことによるものなのに、行の中に分母の変化がありません。面接で内訳を聞かれた時点で数字の信用が下がり、実際に自分で積んだ分まで割り引いて読まれます。
合併初年度 担当売上2億4,000万円(統合後の製品群。うち旧△△株式会社由来の製品6,000万円)。合併前から担当していた製品だけで比べると前年と同じ1億8,000万円で前年比100.0%、担当範囲を含めた単純比較では133.3%(記入例)
分母が変わった事実と、そろえて比べた結果の両方が1か所にあります。1億8,000万円+6,000万円=2億4,000万円と行の中で検算でき、統合作業に追われながら既存分を落とさなかった年だと読めます(いずれも記入例)。
海外駐在・現地法人への出向は、何を足して書くか
在籍出向であることを示したうえで、現地法人の規模、自分の役職と決裁の範囲、管理した現地スタッフの人数、売上の通貨と換算レートの4つを足します。海外駐在は国内の出向と同じ「所属の器が動いた」経歴ですが、数字の単位が変わる点だけが違います。現地通貨のまま書くと日本の読み手が規模を測れず、円換算だけで書くと為替の動きが自分の成果に混ざります。
| 項目 | 書き方(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 出向の形 | △△株式会社から現地法人へ在籍出向(○○○○年○月〜/2年0か月) | 駐在か現地採用かで雇用主が変わる。形を先に書く |
| 現地法人の規模 | 従業員約60名、うち日本人駐在員3名 | 規模と日本人の人数で、任された範囲が読める |
| 役職と決裁の範囲 | 営業マネージャー。値引きの決裁は1件50万円まで | 肩書きだけでは権限が伝わらない |
| 管理した人数 | 現地スタッフ8名(営業6名・事務2名) | 国内では持たない経験になりやすい |
| 担当エリア | 〇〇国および周辺3か国 | 国数と移動の頻度で活動範囲が測れる |
| 売上(現地通貨) | 240万〇〇ドル(前年200万〇〇ドル・前年比120.0%) | 自分の成果は現地通貨の数字で示す |
| 売上(円換算) | 1億800万円(社内の換算レート1〇〇ドル=45円で換算) | 換算レートを必ず添える。レートが無いと検算できない |
| 商談の言語 | 英語(商談の約80%)、現地語は通訳同席 | 「英語力」ではなく使った場面と比率で書く |
円換算だけを書くと、為替が動いた年に成果が実際より大きく、あるいは小さく見えます。記入例では、現地通貨建ての売上が200万〇〇ドルから240万〇〇ドルへ120.0%伸びた年に、社内の換算レートが1〇〇ドル=40円から45円に変わったため、円換算では8,000万円から1億800万円へ135.0%になっています。200万×40=8,000万、240万×45=1億800万という関係で、伸びの15ポイント分は為替によるものです(いずれも記入例)。どちらか一方しか手元にない場合は、書ける側を書き、換算レートが不明である旨を1行添えます。
帰任後の職務経歴書では、駐在の2年を空白にせず、帰任の年月を入れ子の次の行に立てて期間を閉じます。駐在中の経験のうち、応募先で再現できるのは、現地スタッフのマネジメント、代理店との契約条件の交渉、国をまたぐ在庫と納期の調整といった実務です。滞在した国名や語学の資格より、そうした実務を件数と人数で書いたほうが、読み手が仕事の中身を測れます。
海外駐在中、担当売上を前年比135.0%に伸ばしました。(記入例)
円換算の数字だけが置かれているため、伸びのどこまでが自分の働きなのかが読めません。為替が逆に動いた年に同じ書き方をすれば、成果を出していても前年割れとして読まれます。
現地法人(従業員約60名・うち日本人駐在員3名)へ在籍出向し、営業マネージャーとして現地スタッフ8名を管理。担当売上は現地通貨建てで前年200万〇〇ドル → 240万〇〇ドル(前年比120.0%)。円換算では社内レートが1〇〇ドル=40円から45円に変わったため8,000万円 → 1億800万円(135.0%)(記入例)
現地通貨での伸びと円換算での伸びが分かれ、為替の影響を自分から開示しています。換算レートが書いてあるため、読み手がその場で検算でき、数字の扱いに慎重な人だと伝わります(いずれも記入例)。
倒産・事業撤退で会社が無くなったときは、どこまで書くか
会社名の行に事業停止・撤退の事実と年月を、退職の行に「会社都合により退職」と書き、実績は撤退が決まる前の年度まで含めて並べます。会社が無くなったこと自体は本人の成績とは別の話ですが、書かずにおくと、短い在籍や直前年度の落ち込みが本人の問題として読まれます。事実を1行で出し、落ち込みの理由を括弧で添えるほうが早く伝わります。
| 起きたこと | 会社名・退職の行(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 倒産(事業停止) | 株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月 事業停止)/会社都合により退職 | 事業停止の年月と在籍の終わりをそろえる |
| 事業撤退・部門閉鎖 | 会社都合により退職(〇〇事業からの撤退に伴う部門閉鎖のため) | 会社は存続している。撤退したのは事業だと分かる書き方にする |
| 希望退職に応じた | 会社都合により退職(希望退職の募集に応じたため) | 自分の意思と会社の都合の両方があった事実を1行で |
| 買収されて社名が消えた | 株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に△△株式会社の完全子会社となる/現:△△株式会社) | 倒産ではない。在籍が続いたなら1社として立てる |
| 撤退直前の実績 | 最終年度 担当売上1億2,000万円(前年1億6,000万円の75.0%。撤退決定に伴い新規受注を停止した6か月を含む) | 落ち込みの理由を数字と同じ行に置く |
| 撤退時の引き継ぎ | 既存顧客40社のうち35社(87.5%)を後継の取扱店へ引き継ぎ | 終わらせ方も営業の仕事として読まれる |
退職理由の区分は、会社が作成する離職証明書をもとにハローワークが判断して離職票に記載される仕組みで、職務経歴書に書くのは「会社都合により退職」という事実の1行です。会社の経営判断を批判する説明や、当時の経営陣への評価は書きません。読み手が知りたいのは、その会社で何を売り、いくらの数字を残し、終わるときに顧客をどう扱ったかです。記入例の40社中35社を後継の取扱店へ引き継いだ行は、撤退という不利な場面で顧客との関係を保った実績として読まれます(記入例)。
会社が無くなると、社内の資料も評価シートも手元に残りません。給与明細や賞与の支給明細、名刺、当時の手帳から復元できる範囲で数字を出し、復元した数字であることを「概算」と添えます。数字がまったく残っていない期間の埋め方は実績が数字にできない職務経歴書にまとめています。
株式会社〇〇〇〇 ○○○○年○月〜○○○○年○月 〇〇営業部(記入例)
在籍が2年で終わっている理由が書かれていないため、短期離職として読まれます。最終年度の売上が前年を下回っていれば、成績不振で辞めたという読み方まで加わります。
株式会社〇〇〇〇(〇〇機器の製造・販売/従業員約80名。○○○○年○月に〇〇事業から撤退し部門閉鎖) ○○○○年○月〜○○○○年○月 〇〇営業部/会社都合により退職。最終年度は担当売上1億2,000万円(前年1億6,000万円の75.0%。撤退決定に伴い新規受注を停止した6か月を含む)、既存顧客40社のうち35社(87.5%)を後継の取扱店へ引き継ぎ(記入例)
在籍が終わった理由と、前年割れの理由が同じ場所にそろっています。1億2,000万円÷1億6,000万円=75.0%、35社÷40社=87.5%と検算でき、撤退の半年間に何をしていたかまで読めます(いずれも記入例)。
よくある質問
履歴書の職歴欄にも、同じように括弧で書いてよいですか?
履歴書は年月ごとに1行を書く様式なので、「株式会社〇〇〇〇 入社」「株式会社〇〇〇〇が△△株式会社へ吸収合併され、△△株式会社となる」のように、起きた順に行を分けて書きます。職務経歴書は括弧で1行にまとめてかまいません。書く形は違っても、社名の綴りと年月は2つの書類で完全にそろえます。片方が旧社名、もう片方が現社名だけになっていると、同じ在籍が別の会社の話として扱われます。
出向していたことを書かず、出向先を勤務先として書いてはいけませんか?
在籍出向は雇用主が出向元のままなので、出向先だけを書くと入社日と在籍期間が事実と食い違います。入社日は選考の途中で確認されることがあり、そこで食い違えば、意図がなくても不正確な書類として扱われます。出向先での仕事を前に出したいのであれば、会社名の行は出向元で立て、【所属】の入れ子で出向先を大きく書き、実績の行を出向期間から始める形にします。
在籍中に社名が3回変わりました。全部書きますか?
会社名の行には入社時の社名と現在の社名の2つを置き、途中の社名は【所属】の期間ごとの行に年月とともに残します。「株式会社〇〇〇〇(○○○○年○月に□□株式会社、○○○○年○月に△△株式会社へ商号変更/現:△△株式会社)」(記入例)と3つ並べても読めますが、行が長くなるほど在籍の長さが伝わりにくくなります。読み手が最初に確かめるのは入社時と現在の対応なので、その2つを優先します。
合併後に評価制度が変わり、達成率の意味が変わりました。どう書きますか?
目標の置き方が変わった年に1行を足し、前後の達成率を同じ行に並べません。「合併後は目標が売上から粗利へ変わったため、達成率は粗利ベース」(記入例)と書けば、率の断絶が制度の変更によるものだと分かります。制度が変わった年だけ実額を併記する方法もあります。担当売上3億5,200万円・粗利8,800万円(粗利率25.0%)(記入例)のように実額を置けば、どの制度で測っても規模が伝わります。
持株会社化で、雇用主が持株会社から事業会社に移りました。1社ですか2社ですか。
労働契約の相手が移っているなら経歴としては2社ですが、実務では組織再編に伴う移籍として扱われることが多く、行を分けたうえで「グループ内再編に伴い転籍。担当業務は継続」(記入例)と1語添えると連続性が伝わります。分けずに1社として書くと在籍期間が事実と合わなくなるので、期間は正確に分け、続いていたことは職務要約と担当先の継続で示します。
参照した情報
- ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」 — 確認日 2026年9月6日
- 厚生労働省 履歴書様式例(A4版・PDF) — 確認日 2026年9月6日
運営 オルグロー株式会社(運営会社)。この記事は、当社が運営する履歴書・職務経歴書作成ツール「営業の履歴書作成ツール」の編集部が制作し、当社が編集責任を負います。外部ライターへの委託や、他社記事の転載はしていません。
記事内の数値について 売上・件数・達成率・順位などの数値はすべて記入例です。当社サービスの実績や、特定の個人の経歴ではありません。
制作方法 構成と下書きに生成AIを使い、当社の担当者が数値の検算、入力フォームの欄名・並びとの整合、参照情報との照合を行っています。詳しくは編集方針に記載しています。
更新 公開 /最終更新 。記入例・表・結論を変えたときだけ最終更新日を上げています。募集要項に指定がある場合は、そちらが優先されます。