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メーカー営業の職務経歴書は売上だけ?代理店経由の商流と粗利で示す

執筆 営業の履歴書作成ツール 編集部 公開 最終更新

この記事の結論

メーカー営業の職務経歴書は、担当製品の年間売上だけでなく、誰を経由して誰に売ったかの商流を1行で示し、売上と粗利を並べて書きます。代理店・商社経由の間接販売は売上が販売店の力にも左右されるため、経由売上と直販売上を分け、同行訪問144件・採用品目14件(記入例)を添えて自分の関与を示します。既存深耕が中心なら、担当売上の前年比と採用品目数、価格改定の実現額を主指標に置きます。

この記事はメーカー営業の実績を、商流の1行・売上と粗利の選択・既存深耕の指標で書き切ることを決めきるためのものです。職務要約から自己PRまでの全体の型、実績指標の対応表、数字で示せる実績がない場合の書き方、社名や売上を書いてよいかの判断は、営業職の職務経歴書にまとめています。様式そのものを探している方は、そちらの入力フォームからそのまま作れます。

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メーカー営業とは(職務経歴書での扱い)

メーカー営業とは、自社が製造した製品を、販売代理店や専門商社を経由して、あるいは工場・事業所へ直接販売する営業です。求人票では法人営業、直需営業、特約店営業、販社営業とも呼ばれます。すでに取引のある販売経路と顧客を引き継ぎ、担当製品の売上と粗利を維持・拡大することが仕事の中心で、扱う製品の性能と自社工場の供給力が成果の前提になります。

職務経歴書で手が止まるのは、担当売上を1行書いたあとです。その売上は代理店が売った分なのか自分が売った分なのか、製品が良かっただけではないのか、新規開拓の件数が書けないが何を実績にすればよいのか。本記事はメーカー営業の総論として、商流を1行に圧縮する書き方、売上と粗利のどちらを主指標に置くかの決め方、既存深耕型の実績の並べ方を扱い、素材・化学の市況変動は節で受けます。

販売代理店を開拓し、稼働させ、支援する活動そのものが評価対象の職種は代理店営業・パートナーセールスの職務経歴書で扱います。引き継いだ既存顧客の売上をどの年を基準に前年比とするか、横ばいの年をどう書くかはルート営業・既存深耕の職務経歴書の範囲です。営業担当と組んで受注前の技術面を担う立場は技術営業・セールスエンジニアの職務経歴書にまとめています。メーカーから仕入れて売る商社営業は、取扱高と粗利額の書き分けという別の型を持つため、本記事では扱いません。

食品・消費財、自動車部品・建設機械、半導体・電子部品、産業機械・工作機械、OEM・受託製造は、いずれも本記事の型に業界固有の指標を1つ足す形になります。足す指標は後半の節で1業界1行にまとめます。

職務経歴書の完成記入例(メーカー営業)

先に完成形を示します。生産ライン向けの機器を、販売代理店・専門商社経由と工場への直販の両方で扱った8年間を、直近1年の数字を中心にまとめた例です。数値はすべて記入例で、商流別と商材別の合計がどちらも担当売上・粗利と一致するようにそろえています。

記入例

職 務 経 歴 書
○○○○年○月○日 現在

職務要約

産業用機器メーカーの法人営業として8年間、生産ライン向けの検査機器と交換部品を担当し、売上の70.0%は販売代理店・専門商社24社を経由する間接販売、30.0%は工場への直販です(記入例)。直近1年は担当売上4億8,000万円(目標4億5,000万円に対し達成率106.7%)、粗利1億4,400万円(粗利率30.0%)、営業所9名中2位です(記入例)。原材料費と物流費が上がった年度は、対象28社のうち24社と価格改定に合意し(合意率85.7%)、粗利率を前年の29.0%から30.0%へ引き上げました(記入例)。

職務経歴

株式会社〇〇〇〇(産業用機器・部品メーカー/従業員約900名・東証プライム上場) ○○○○年○月〜現在 営業本部 第一営業部 東日本営業所 主任(記入例)

  • 【所属】東日本営業所(営業9名・所長1名) 主任(○○○○年○月〜)(記入例)
  • 【営業対象】販売代理店・専門商社 24社(機械商社・電材商社、従業員30〜300名)と、直接取引のあるエンドユーザー 32社(食品・自動車部品・電子部品の工場、従業員100〜3,000名)の生産技術・設備保全・購買部門(記入例)
  • 【商材】生産ライン向けの検査機器と交換部品・消耗品(本体1台80万〜600万円、交換部品は年間の定期発注)(記入例)
  • 【営業手法】自社(メーカー)→ 販売代理店・専門商社24社 → エンドユーザー約180工場の間接販売が売上の70.0%、工場への直販が30.0%。代理店の営業担当への製品説明と、エンドユーザーへの同行訪問・仕様打合せ・立会いまで担当(記入例)
  • 【実績・成果】(直近1年・すべて記入例)
    • 担当売上 4億8,000万円(目標4億5,000万円・達成率106.7%)、粗利 1億4,400万円(粗利率30.0%、粗利目標1億3,500万円・達成率106.7%)。営業所9名中2位(記入例)
    • 前年(売上4億4,000万円・粗利1億2,760万円・粗利率29.0%)に対し、売上109.1%・粗利112.9%(記入例)
    • 商流別:代理店・商社経由 3億3,600万円(構成比70.0%・粗利率25.0%=8,400万円)/直販 1億4,400万円(構成比30.0%・粗利率41.7%=6,000万円)(記入例)
    • 商材別:本体 3億6,000万円(粗利率24.0%=8,640万円)/交換部品・消耗品 1億2,000万円(構成比25.0%・粗利率48.0%=5,760万円)(記入例)
    • 採用品目:顧客の設備仕様書・購買図面に自社型式が採用された品目 年14件、うち定期発注に至った品目 9件(採用14件の64.3%)(記入例)
    • 価格改定:原材料費と物流費の上昇分について対象28社(代理店・商社18社/直販10社)に申し入れ、24社と合意(合意率85.7%)。通期の粗利押し上げ額 2,160万円(記入例)
    • 取引の継続:担当代理店・商社24社のうち前年から継続 22社(継続率91.7%)。新たに取扱いを始めた口座 2社(初年度売上 1,200万円・1社平均600万円)(記入例)
    • エンドユーザーへの同行訪問 年144件(月平均12件)、うち仕様打合せを伴う訪問 60件(記入例)
    • 供給対応:自社工場・技術部門との調整による欠品回避 年12件。品質不具合の一次対応 年18件、是正報告書の提出まで平均5営業日(記入例)
    • ※取引先名・製品型式・製品別の原価と値引き率は、守秘義務のため業種・規模・単価帯・比率で記載しています。粗利は社内の評価指標として開示されている項目のため記載しています

活かせる経験・知識・スキル

  • 販売代理店・専門商社を経由する間接販売(担当24社・経由売上3億3,600万円/年)(記入例)
  • 工場の生産技術・設備保全・購買の三者に対する仕様提案と見積調整
  • 原材料費の上昇局面での価格改定交渉(対象28社・合意24社)(記入例)
  • 自社工場・技術部門との納期調整と、代替品への切替提案による欠品回避
  • 顧客の設備仕様書・購買図面への自社型式の登録(年14件)(記入例)

資格

  • 普通自動車第一種運転免許(○○○○年○月 取得)
  • 危険物取扱者 乙種第4類(○○○○年○月 取得)

記入例の数字は、商流別の合計と商材別の合計が、どちらも担当売上4億8,000万円・粗利1億4,400万円に一致するように置いています。商流別の売上は経由3億3,600万円+直販1億4,400万円=4億8,000万円、その粗利は8,400万円+6,000万円=1億4,400万円。商材別の売上は本体3億6,000万円+交換部品1億2,000万円=4億8,000万円、その粗利は8,640万円+5,760万円=1億4,400万円という関係です(いずれも記入例)。粗利率は1億4,400万円÷4億8,000万円=30.0%、達成率は4億8,000万円÷4億5,000万円=106.7%です(記入例)。面接で最初に確かめられるのは率の高さではなく、切り口を変えても合計が動かないことです。

職務経歴書は、履歴書では書ききれない具体的な職務内容と実績を伝える書類だと、ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」でも位置づけられています。メーカー営業でいう「具体的」とは、製品名を細かく書くことではなく、どの経路で誰に届いたかと、その売上が粗利でいくらだったかを読み手が追える状態にすることです。入力フォームの「業務内容と実績・成果」は【所属】【営業対象】【商材】【営業手法】【実績・成果】の5ブロックを1つの欄に続けて書く形なので、メーカー営業の情報は次のように振り分けます。

  • 【所属】営業所・支店名(または担当エリア)、営業人数、役職と就任時期。「東日本営業所(営業9名)主任」(記入例)のように、順位の分母になる人数まで書きます。
  • 【営業対象】直接の取引先(代理店・商社)と、その先のエンドユーザーの両方を書きます。業種・規模に加えて、生産技術・設備保全・購買のどの部門と話したかまで入れます。
  • 【商材】製品の種別と単価帯、本体と交換部品・消耗品の別。粗利率の差が生まれる場所なので、単価帯だけでなく構成が分かるように書きます。
  • 【営業手法】商流の1行を置きます。「自社→販売代理店24社→エンドユーザー約180工場」(記入例)のように矢印でつなぎ、間接と直販の比率を添えます。
  • 【実績・成果】売上と粗利を組にした行から始め、商流別・商材別、採用品目、価格改定、取引の継続、供給対応の順に並べます。各行に分母と期間を添えます。

職務要約の組み立て方そのものは営業職の職務経歴書の書き方、数字にできる実績が手元にない期間の扱いは営業職の職務経歴書(数字で示せる実績がない場合)にまとめています。

代理店・商社を経由した売上は、誰に売った実績として書くか

「自社→販売経路→エンドユーザー」を矢印1行に圧縮し、経由売上と直販売上を別の行に分けて書きます。メーカー営業の職務経歴書が読みにくくなる原因は、直接の取引先(代理店・商社)と、製品を実際に使う相手(工場・事業所)という2種類の顧客が、1つの「担当顧客」という言葉に押し込まれていることです。読み手は、請求書を出す相手と、仕様を決める相手のどちらとも話せる人を探しています。両方を書かないと、代理店の窓口業務だけをしていた人にも、工場を回っていただけの人にも見えます。

商流の型と「1行」の書き方(記入例)
商流の型職務経歴書での1行(記入例)押さえどころ
直販自社 → 食品・自動車部品の工場32社(売上構成比30.0%)決裁部門(生産技術・設備保全・購買)まで書く
一次代理店・専門商社経由自社 → 機械商社・電材商社24社 → エンドユーザー約180工場(構成比70.0%)取引先と使い手を矢印で分ける。両方の社数を書く
特約店+二次店の2段自社 → 特約店4社 → 販売店約60社 → 工事会社自分が日常的に接するのが何段目かを添える
卸・量販店本部経由自社 → 卸2社 → 量販チェーン8社(約1,200店)店舗数まで書くと、配荷や導入店舗数の分母になる
OEM・受託製造自社 → 相手先ブランドの企業3社(最終市場は一般消費者)供給先とブランドの持ち主を分けて書く
グループ販社経由自社 → 国内販社(グループ会社)→ エンドユーザー社内取引か社外取引かを明示する
輸出(商社・現地代理店経由)自社 → 輸出商社1社 → 東南アジアの代理店5社担当国と取引通貨を添える

矢印の1行を置いたら、売上は経由と直販で必ず分けます。まとめて「担当売上4億8,000万円」(記入例)と書くと、直販で自分が売った金額と読まれるか、代理店の実績を自分の数字にしたと読まれるかのどちらかになります。分けたうえで、経由売上には粗利率を、直販には決裁部門を添えると、2つの売上の性格の違いが1行ずつで伝わります。記入例では経由3億3,600万円(粗利率25.0%)と直販1億4,400万円(粗利率41.7%)に分け、間接のほうが粗利率が低いという商流の事実まで見えるようにしています。

経由売上を書くときの注意は、代理店の販売力と自分の関与を混ぜないことです。メーカー側の担当者としてできるのは、代理店の営業担当に製品を覚えてもらうこと、エンドユーザーの現場に同行して仕様を固めること、供給と価格の条件を通すことです。記入例では、同行訪問144件のうち仕様打合せを伴う訪問60件、採用品目14件という行で関与を示しています(記入例)。稼働代理店率や代理店向け勉強会など、代理店を動かす活動そのものを主指標にする書き方は代理店営業・パートナーセールスの職務経歴書の範囲なので、メーカー営業の書類では商流の1行と経由売上の分割までにとどめます。

メーカー営業として、担当エリアで年間4億8,000万円の売上を担当しました。(記入例)

誰に売った4億8,000万円なのかが読めません。代理店経由なのか直販なのか、製品が使われている現場を知っているのかも分からず、面接で「実際に何をしていたか」を一から説明することになります。

【営業手法】自社(メーカー)→ 販売代理店・専門商社24社 → エンドユーザー約180工場の間接販売が70.0%、工場への直販が30.0%(記入例)
・担当売上 4億8,000万円のうち、代理店・商社経由 3億3,600万円(粗利率25.0%)/直販 1億4,400万円(粗利率41.7%)(記入例)
・エンドユーザーへの同行訪問 年144件、うち仕様打合せを伴う訪問 60件、顧客の設備仕様書への自社型式の採用 年14件(記入例)

請求先と使い手が矢印で分かれ、売上も2本に割れています。同行訪問と採用品目の行があるため、代理店に任せきりではなく現場の仕様に踏み込んでいたことが読めます。3億3,600万円+1億4,400万円=4億8,000万円と足し算も合います(いずれも記入例)。

部やチームの経由売上しか手元になく、自分の担当分を切り出せない場合は、担当社数と担当エリアで割る方法を先に決めます。分け方の考え方はチーム実績しかない営業の職務経歴書にまとめています。

売上と粗利は、どちらを主指標にするか

勤務先が自分を評価していた指標を主に置き、もう一方を同じ行の括弧に添えます。メーカーの営業には、売上(受注金額)で評価される会社と、粗利(売上高から売上原価を引いた売上総利益)で評価される会社があります。値引きの裁量や仕切価格の決定権が営業側にある会社ほど粗利で評価され、価格が本社で決まる会社ほど売上と数量で評価されます。自分がどちらで評価されていたかを書かないまま数字だけを並べると、読み手は自社の物差しで読み替え、面接で食い違いが出ます。

売上系・粗利系の指標と、主指標にする場面(記入例)
指標書き方(記入例)主指標にする場面
担当売上4億8,000万円(目標4億5,000万円・達成率106.7%)価格が本社決めの会社。規模を示す1行目には必ず置く
担当粗利額1億4,400万円(粗利目標1億3,500万円・達成率106.7%)値引き・仕切価格の裁量が営業にある会社
粗利率30.0%(前年29.0%)評価指標として開示されている場合に限る。社外秘なら達成率と前年差に置き換える
商材別の粗利率本体24.0%/交換部品・消耗品48.0%粗利の高い商材へ構成を動かした実績があるとき
売上構成比交換部品・消耗品 1億2,000万円(構成比25.0%)継続発注の売上を積み上げた実績を示すとき
価格改定の実現額粗利押し上げ 2,160万円(対象28社・合意24社/85.7%)原材料費や物流費が上がった年度の主成果
前年比売上109.1%・粗利112.9%売上より粗利の伸びが大きい年は両方を並べる
数量年3,060トン(前年比102.0%)単価が市況で動く素材・部材。金額と対で置く
原価・値引き率・仕切価格(書かない)製品原価が逆算できる。面接でも触れない

売上と粗利を並べると、同じ年度でも見え方が変わります。記入例の年度は売上が前年比109.1%、粗利が前年比112.9%で、粗利の伸びが売上の伸びを上回っています(記入例)。粗利が売上より速く伸びた年度は、値引きを抑えたか、粗利率の高い交換部品の構成が上がったか、価格改定が通ったかのいずれかが起きています。売上だけを書くと「市況が良かった年」に見え、粗利だけを書くと規模が伝わりません。1行に両方を置くのが、メーカー営業の実績で最も情報量が多い書き方です。

原価・粗利率・値引き率は、職務経歴書では原則として書かない側の情報です。粗利率の絶対値から製品原価と仕切価格が逆算できるためで、粗利額と粗利率を書けるのは、粗利が本人の評価指標として目標・実績とも開示されていて、就業規則や秘密保持誓約書に売上・取引条件を伏せる定めがない会社に限られます。その条件を満たさないときは、粗利率と粗利額を外し、粗利目標に対する達成率(106.7%)と前年差(+1.0ポイント)だけを書きます(記入例)。製品別の原価、値引き率、取引先別の仕切価格は、粗利を書ける会社であっても職務経歴書に書きません。伏せる対象と置き換えの型は守秘義務で社名・数値が書けないときの職務経歴書にまとめています。

担当エリアの売上目標を毎年達成し、粗利改善にも取り組みました。値引き要請にも柔軟に対応し、顧客との関係を維持しました。(記入例)

金額も率も無いため、規模が読めません。「粗利改善に取り組んだ」は結果が無く、「値引き要請に柔軟に対応」は粗利を落としたと読まれかねません。同じ会社の営業なら全員が書ける文になっています。

担当売上 4億8,000万円(目標4億5,000万円・達成率106.7%)/担当粗利 1億4,400万円(粗利率30.0%・前年29.0%)。粗利率の改善は、交換部品・消耗品の構成比を前年の20.0%から25.0%へ上げたことと、対象28社のうち24社と価格改定に合意したこと(粗利押し上げ2,160万円)によるものです(記入例)

売上と粗利が同じ行にそろい、粗利率が上がった理由が2つの行為に分解されています。読み手は「値引きに逃げずに売った人」だと判断でき、応募先で同じ動き方ができるかも想像できます(いずれも記入例)。

「仕切価格」「建値」「掛率」「リベート」「スポット」「定番」といった商流の言葉は、業界内では通じますが、人事や他業界の読み手には伝わりません。初出で「仕切価格(代理店に卸すときの価格)」のように一般語を添えます(記入例)。社内KPIや業界語を一般語へ直す手順そのものは社内用語・社内KPIを翻訳する職務経歴書で扱っています。

新規開拓の数字がない既存深耕型は、何を実績にするか

担当売上の前年比に加えて、採用品目数・顧客内シェア・取引の継続・供給対応の4つを並べます。メーカー営業の求人には新規開拓を求めるものもありますが、実際の仕事は既存の代理店と工場を回り、次の設備投資や次のモデルに自社製品を残すことが中心という会社が多くあります。新規口座が年に数社しか無い状態で「新規開拓○社」だけを探しても、書ける行は出てきません。既存深耕型の実力は、売上を守った過程に現れます。

既存深耕型のメーカー営業の実績指標(記入例)
指標書き方(記入例)押さえどころ
担当売上の前年比4億8,000万円(前年4億4,000万円・前年比109.1%)担当替えがあった年は、基準にした年を書く
採用品目数顧客の仕様書・購買図面への型式採用 年14件、うち定期発注 9件(64.3%)採用から売上までは年単位でずれる。両方を書く
顧客内シェア主要5社での自社品の採用比率 38%→45%(顧客の購買報告による)測り方を必ず括弧で添える
取引の継続担当24社のうち前年から継続 22社(継続率91.7%)分母は担当社数。減った2社の理由を1行添えると強い
新規口座2社(初年度売上 1,200万円・1社平均600万円)件数が少なくても書く。1社あたりの金額を添える
価格改定対象28社 → 合意24社(85.7%)、粗利押し上げ 2,160万円交渉相手が代理店かエンドユーザーかを分ける
供給・納期対応欠品回避 年12件(代替品への切替提案と自社工場との調整)メーカー固有の成果。売上の裏側にある働き
品質不具合の一次対応年18件、是正報告書の提出まで平均5営業日件数だけでなく所要日数を添える

8つのうち、メーカー営業でしか書けないのが採用品目数と供給対応です。採用品目数は、顧客の設備仕様書や購買図面に自社の型式が載った件数で、載った時点では売上が立ちません。記入例では年14件の採用のうち9件が定期発注に至っています(採用の64.3%、記入例)。在籍中に売上化しなかった5件も、応募先から見れば次の担当者が刈り取る資産なので、「採用14件(うち在籍中に定期発注化9件)」と両方を書きます。数字を1つに丸めると、種をまいた事実が消えます。

供給対応は、営業の実績として書き慣れない人が多い項目です。納期が読めない時期に代替品を提案して生産を止めなかった、自社工場と交渉して割り当てを確保した、品質不具合の一報を受けて是正報告書までまとめた。いずれも顧客の生産計画を守った成果で、件数と所要日数で書けます。「顧客に寄り添った対応」と書くと消えてしまうので、「欠品回避 年12件」「是正報告書の提出まで平均5営業日」(記入例)のように、数えられる形に直します。

引き継いだ顧客の売上をどの年を基準に前年比とするか、売上が横ばいだった年に何を成果として書くかは、既存顧客を担当する営業に共通する論点です。基準年の決め方はルート営業・既存深耕の職務経歴書にまとめています。分母と期間をそろえる一般的な考え方は営業職の職務経歴書(営業実績を数字でどう書くか)にまとまっています。

既存顧客を担当し、定期的に訪問して信頼関係を構築しました。新規開拓の経験はありません。(記入例)

担当した規模も、取引を守った結果も書かれていません。最後の一文が無くても伝わる情報は同じで、書き手が自分を値引きしているだけの行になっています。

・担当代理店・商社24社のうち前年から継続22社(継続率91.7%)。離脱2社は自社の取扱終了に伴うもので、担当売上は4億8,000万円(前年比109.1%)を維持(記入例)
・顧客の設備仕様書・購買図面への自社型式の採用 年14件、うち在籍中に定期発注へ移行 9件(64.3%)(記入例)
・欠品が見込まれた12件で代替品への切替を提案し、顧客の生産計画への影響なし(記入例)

新規開拓の件数が無くても、守った規模・次につながる採用・止めなかった生産という3種類の成果が読めます。離脱した2社の理由まで書いてあるため、都合の良い数字だけを見せていないと判断されます(いずれも記入例)。

素材・化学のように市況で売上が動く年度は、どう書くか

金額の前年比だけでなく、数量と平均単価を同じ行に並べ、価格改定の成果を別の行に置きます。化学品・樹脂・鋼材・非鉄などの素材を扱うメーカー営業では、担当売上が原料市況と為替で上下します。市況が上がった年は何もしなくても売上が伸び、下がった年は数量を守っても売上が落ちます。金額だけを書くと、良い年は実力より大きく、悪い年は実力より小さく読まれます。

分解の型は単純です。担当数量 年3,060トン(前年3,000トン・前年比102.0%)、担当売上 3億3,000万円(前年3億円・前年比110.0%)、平均単価 10.78万円/トン(前年10.0万円/トン・前年比107.8%)と3行を置きます(いずれも記入例)。数量の102.0%と単価の107.8%を掛け合わせるとおおむね売上の110.0%になり、伸びのうち自分が積んだ数量の分と、市況・価格改定による単価の分が分けて読めます。単位はトン・キロリットル・平米など、社内で使っていたものをそのまま使い、初出で製品の種別を添えます。

スペック品と汎用品の書き分け(記入例)
項目スペック品(顧客仕様に合わせた製品)汎用品(市況で価格が決まる製品)
主指標採用品目数・採用までの期間・粗利率数量・平均単価・価格改定の合意率
書き方(記入例)顧客の処方・グレード指定に採用 年6件、採用までの平均11か月、粗利率38.0%年3,060トン(前年比102.0%)、平均単価 前年比107.8%、粗利率22.0%
競合との勝ち方試作・評価の同席、技術部門との条件詰め数量の確保、納期と在庫、価格改定の通し方
売上が動く理由顧客の製品が売れたかどうか原料市況・為替・需給
添える1行採用から量産までの期間(年単位のずれ)市況の方向(値上がり局面か値下がり局面か)

スペック品と汎用品の両方を担当していた場合は、売上を2本に分けます。同じ担当売上でも、スペック品は顧客の設計に入り込んだ結果、汎用品は数量と価格を守った結果で、示している能力が違うためです。粗利率も通常は差が出るので、記入例のようにスペック品38.0%・汎用品22.0%と並べると、どちらで会社の利益をつくっていたかまで伝わります(記入例)。

価格改定は、素材・化学の営業でこの数年の主成果になりやすい行です。原材料費や物流費の上昇分を販売価格へ反映する交渉は、相手の購買部門にとっては費用の増加なので、根拠の資料づくりと社内の承認取りが仕事の中身になります。「対象28社に申し入れ、24社と合意(合意率85.7%)、通期の粗利押し上げ2,160万円」(記入例)のように、対象・合意・金額の3点で書きます。合意に至らなかった社の扱い(数量の見直し、代替グレードの提案)を1行添えると、通した数だけを見せていないことが伝わります。

市況の下振れで目標に届かなかった年度は、金額の未達を隠さずに書き、数量と粗利率で守った部分を並べます。未達だった年度の書き方は目標未達・成績が悪いときの職務経歴書にまとめています。

食品・自動車部品・半導体・産業機械・OEMは、何を足すか

本記事の型(商流の1行・売上と粗利・既存深耕の指標)に、業界固有の指標を1つ足します。メーカー営業は扱う製品で仕事の形が変わりますが、変わるのは主に「何を成果と呼ぶか」の1点で、商流と粗利の書き方は共通です。足す1指標を決めてから、記入例の【実績・成果】の2行目に差し込むのが早い手順です。

業界ごとに足す1指標(記入例)
業界・商材足す1指標書き方(記入例)
食品・日用品などの消費財配荷率(担当チェーンの店舗数が分母)新商品の導入店舗 720店/担当1,200店(配荷率60.0%)
自動車部品・建設機械次期モデルの受注と量産立ち上げ次期モデル2車種で採用、量産立ち上げ3ライン、原価低減の達成額
半導体・電子部品設計採用から量産売上までのずれ設計採用 年14件(在籍中の量産化9件、採用から量産まで平均18か月)
産業機械・工作機械・装置案件単価と見積からの受注率見積48件 → 受注12件(受注率25.0%)、案件単価 平均1,800万円
OEM・受託製造案件フェーズ別の件数と量産化率引合24件 → 試作12件 → 量産化6件(引合の25.0%)
化学・素材数量と価格改定の合意率年3,060トン(前年比102.0%)、価格改定の合意率85.7%

足す指標を1つに絞るのは、読み手が業界の内部指標をいくつも読み解けないからです。配荷率も設計採用も量産化率も、業界の外から見れば意味の分からない言葉なので、初出に括弧で定義を添えたうえで、1つだけを主役に置きます。定義を添えた指標が1つあれば、その業界の物差しで働いてきた人だと伝わります。2つ、3つと重ねると、どれも定義の説明で終わり、成果が読めなくなります。

採用や設計採用から売上が立つまでに年単位のずれがある業界では、在籍期間と数字の関係も1行で示します。「採用14件のうち、在籍中に量産へ移行したのは9件、残る5件は退職後に量産開始の予定」(記入例)と書けば、担当した年度の売上が小さくても、仕込んだ量が読み手に伝わります。逆に、前任者が採用まで運んだ品目の量産売上を自分の実績として書くと、面接で採用時期を聞かれたときに説明がつきません。採用した人と売上を受け取った人が違うのは、この型の業界では普通のことなので、どちらの立場だったかを書けば十分です。

よくある質問

担当製品や担当エリアが途中で変わり、前年比が比べられません。

担当が変わった時点で期間を区切り、それぞれの期間の売上と粗利を並べます。「〇〇エリア(○○○○年○月〜)担当売上3億2,000万円」「△△エリア(○○○○年○月〜)担当売上4億8,000万円」(記入例)のように書き、前年比は担当が続いた期間だけに付けます。担当替えの直後の年は「引き継ぎ後1年目のため前年比は付けていません」と1行添えると、都合の悪い数字を隠したとは読まれません。エリアや製品が変わっても成果を出せたことを示したい場合は、規模の違う担当を続けて任された事実そのものが材料になります。

自社の製品力で売れている面が大きく、自分の成果だと言いにくいです。

製品力で決まる部分と、自分が動かした部分を分けて書きます。売上の絶対額は製品と工場の力に支えられているので、そこは「担当売上4億8,000万円」と規模の情報として置き、自分の行は採用品目数、価格改定の合意率、欠品回避の件数、継続率のように、担当者が替われば変わる数字にします(いずれも記入例)。読み手も、メーカーの売上が営業だけで決まらないことは知っています。分けて書くこと自体が、自社の強みと自分の仕事を切り分けられる人という評価につながります。

代理店の担当者としか会わず、エンドユーザーの顔が見えません。

会っていない相手を会ったように書かず、代理店の先の市場を「用途と業種の内訳」で書きます。「担当24社の販売先は、食品工場が約4割、自動車部品が約3割、電子部品が約2割(代理店からの報告による)」(記入例)のように、把握の仕方を括弧で添えれば、事実の粒度を保ったまま商流の全体が伝わります。同行訪問や現地立会いの経験があるなら件数を書き、無い場合は無理に足さず、代理店の在庫・納期・与信の管理で担った範囲を書くほうが正確です。

メーカー営業から商社や販売会社へ応募するとき、何を前に出しますか。

粗利をつくった実績と、販売経路を広げた実績を前に出します。商社は取扱高が大きく粗利率が低い構造なので、「粗利率30.0%」「価格改定で粗利押し上げ2,160万円」(記入例)のように、利益に手を入れた行が読まれます。加えて、新たに取扱いを始めた口座2社、担当24社の継続率91.7%、顧客の仕様書への型式採用14件(記入例)は、仕入先と販売先の両面を持つ商社でもそのまま評価される数字です。製品の技術知識は「自社1社の製品知識」ではなく、「その製品が使われる工程と業界の知識」として書き直すと、扱う商材が変わっても再現できる経験として読まれます。

売上や粗利の数字が手元に残っていません。

メーカー営業は担当社数と1社あたりの年間取引額が記憶に残りやすいので、その2つから規模を戻します。「担当24社、1社あたり年間およそ2,000万円、担当売上はおよそ4億8,000万円(概算)」(記入例)のように、復元した数字だと分かる形で書きます。金額そのものが出てこない場合は、採用品目数・同行訪問件数・欠品回避件数のように件数で数えられる行から先に埋めると、書ける実績が残ります。復元の算式と「約」をどこまで付けるかの線引きは実績が数字にできない職務経歴書にまとめています。

商流と粗利まで整理できたら、あとは入力するだけです

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