融資実行額は自分の実績?銀行渉外の職務経歴書は担当先と純増で示す
この記事の結論
銀行法人営業(渉外)の職務経歴書は、融資実行額の総額だけでなく、担当先数と規模帯・貸出金残高の純増・役務収益を組にして書きます。実行額は銀行の資金で出した数字なので、担当先40社(年商5〜50億円)・貸出金残高 純増8億円・役務収益2,400万円(記入例)のように、自分が動かした範囲を分母付きで示します。稟議・格付・平残といった行内用語は、初出で一般語を添えて言い換えます。
この記事は銀行渉外の実績を、担当先の分母・貸出金残高の純増・役務収益で書き切ることを決めきるためのものです。職務要約から自己PRまでの全体の型、実績指標の対応表、数字で示せる実績がない場合の書き方、社名や売上を書いてよいかの判断は、営業職の職務経歴書にまとめています。様式そのものを探している方は、そちらの入力フォームからそのまま作れます。
入力フォームへ銀行法人営業(渉外)とは(職務経歴書での扱い)
銀行法人営業(渉外)とは、支店に所属して法人・個人事業主を訪問し、融資・預金・為替・各種手数料商品を扱いながら、取引先の資金繰りと経営課題に対応する営業です。売っているのは自社が作った商品ではなく、銀行の資金と信用と情報で、収益は貸出金の利息と役務収益(融資利息以外の手数料収入)に分かれます。職務経歴書で手が止まるのは、成績の中心にある融資実行額や貸出金残高が「銀行の数字」に見え、自分の実績としてどこまで書いてよいか判断できないところです。
本記事は、銀行・信用金庫・信用組合の支店に所属して法人・個人事業主を担当する渉外を対象にし、リース・クレジット・信販といったノンバンクの法人営業も、指標の作り方が近いため節で扱います。個人のお客様に投資信託・保険・住宅ローンを提案するリテールは証券・リテール営業の職務経歴書、銀行そのものを顧客としてシステムやサービスを売る営業はエンタープライズ営業・アカウントマネージャーの職務経歴書で扱います。
求人票で「法人渉外」「融資営業」「事業性融資」「地域金融のソリューション営業」と書かれている仕事は、本記事の範囲です。渉外と窓口(テラー)を兼務していた期間や、本部の審査・融資部門に在籍した期間がある場合も、渉外として動いた分を本記事の型で書き、審査側の経験は担当した案件数と役割で別に書きます。
職務経歴書の完成記入例(銀行法人営業・渉外)
先に完成形を示します。地方銀行で8年、3か店を経験した渉外担当が、現在の支店の直近1年を中心にまとめた例です。数値はすべて記入例で、社数・金額・件数・率が割り切れるようにそろえています。
記入例
職務要約
地方銀行に8年在籍し、3か店で中小企業の融資と経営課題の解決を担当してきました。初任店の個人渉外・窓口2年を経て、直近6年は法人営業(渉外)です(記入例)。現在は県庁所在地の支店で年商5〜50億円の法人40社を受け持ち、直近1年は貸出金残高の純増8億円、役務収益2,400万円(目標2,000万円に対し達成率120%)、新規取引先6社です(記入例)。支店の法人渉外6名中、役務収益は1位、貸出金純増は2位でした(記入例)。決算書と資金繰り表から資金需要を組み立て、与信申請(稟議)を年50件起案して44件を承認・実行まで運ぶ動き方を、担当先が入れ替わる異動をはさみながら続けてきました(記入例)。
職務経歴
株式会社〇〇銀行(地方銀行・従業員約2,000名・店舗80か店) ○○○○年○月〜現在 〇〇支店 法人営業課 主任(記入例)
- 【所属】行内人事異動により3か店。〇〇支店 個人渉外・窓口(2年)→ 〇〇支店 渉外課(3年)→ 〇〇支店 法人営業課 主任(○○○○年○月〜現在・3年、法人渉外6名)(記入例)
- 【営業対象】年商5〜50億円・従業員20〜300名の中小企業40社の経営者・後継者・経理責任者(製造業16社・建設業9社・卸売業8社・サービス業7社)(記入例)
- 【商材】事業性融資(運転資金・設備資金、1件500万〜3億円)、当座貸越、信用保証協会の保証付き融資、私募債、外国為替、事業承継・M&A、取引先同士の商談紹介(ビジネスマッチング)(記入例)
- 【営業手法】担当先への定期訪問(月60件・年720件)を軸に、決算書と資金繰り表から資金需要を組み立て、与信申請の起案から本部協議・実行・期中管理まで一貫担当。新規は取引先・税理士からの紹介と、商圏内の企業への自己開拓を併走(記入例)
- 【実績・成果】(直近1年・すべて記入例)
- 担当先 40社(年商5〜50億円)。1社あたりの貸出金残高は平均1.75億円(記入例)
- 貸出金残高(担当先合計) 期首62億円 → 期末70億円、純増8億円(前年純増5億円)。期中平均残高(平残)65億円(記入例)
- 融資実行 年間28億円(新規取引先6社へ5億円/既存先の新規案件7億円/継続・借換16億円)(記入例)
- 役務収益 年間2,400万円(目標2,000万円に対し達成率120%)。内訳は事業承継・M&A 2件900万円、私募債3件540万円、商談紹介の成約9件600万円、外国為替・その他360万円(記入例)
- 新規取引先 年間6社(取引先・税理士からの紹介4社、自己開拓2社)(記入例)
- 与信申請(稟議)年間50件、承認44件(承認率88%)。うち本部審査部門との事前協議12件(記入例)
- 担当先の経営者個人の預かり資産 純増1.8億円(記入例)
- 担当40社で延滞0件。返済条件の変更の申出2社に対し、資金繰り表の作り直しと返済計画の見直しを立案し合意(記入例)
- 支店の法人渉外6名中、役務収益1位・貸出金純増2位(○○○○年度)(記入例)
- その他の推進項目12項目(法人インターネットバンキング、給与振込指定、外国為替取扱高ほか)は全項目で目標達成(記入例)
- 〇〇支店 渉外課(3年)では法人32社(年商1〜10億円)を担当し、最終年度の貸出金純増3億円、新規取引先8社、役務収益1,100万円(記入例)
- 〇〇支店(初任店)では個人渉外・窓口として約200世帯を担当し、預かり資産 純増1.2億円、住宅ローン実行12件・3.6億円(記入例)
- ※取引先名・個別の融資条件・支店および銀行全体の経営数値は、守秘義務のため、業種・年商帯と自分の担当分の増減で記載しています
活かせる経験・知識・スキル
- 中小企業の決算書・資金繰り表の読み込みと資金需要の組み立て(担当40社・年50件の与信申請)(記入例)
- 与信申請書(稟議書)の起案と、本部審査部門との事前協議(年50件・承認44件)(記入例)
- 信用保証協会の保証付き融資と自行単独(プロパー)融資の使い分け、担保・保証による保全の設計
- 経営者・後継者への事業承継とM&Aの提案(成約2件)、私募債の引き受け(3件)(記入例)
- 取引先同士の商談紹介による販路開拓の支援(成約9件)(記入例)
- 経営者・後継者・経理責任者の三者に対する提案の調整と、税理士・会計事務所との連携
資格
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(○○○○年○月 合格)
- 日商簿記検定2級(○○○○年○月 合格)
- 証券外務員一種(○○○○年○月 登録)
- 普通自動車第一種運転免許(○○○○年○月 取得)
記入例の数字は、行の中で検算できるように置いています。期首62億円+純増8億円=期末70億円、70億円÷40社=1社平均1.75億円、5億円+7億円+16億円=実行28億円、900万円+540万円+600万円+360万円=役務収益2,400万円、44件÷50件=承認率88%という関係です(いずれも記入例)。面接で最初に確かめられるのは金額の大きさではなく、社数・金額・期間の整合です。
職務経歴書は、履歴書では書ききれない具体的な職務内容と実績を伝える書類だと、ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」でも位置づけられています。銀行渉外でいう「具体的」とは、担当先の業種と年商帯を書き、読み手が金額を正しい分母で読めるようにすることです。入力フォームの「業務内容と実績・成果」は【所属】【営業対象】【商材】【営業手法】【実績・成果】の5ブロックを1つの欄に続けて書く形なので、渉外の情報は次のように振り分けます。
- 【所属】銀行名と支店の履歴、役職と就任時期。銀行は転職ではなく行内の異動なので、職歴欄は1社にまとめ、支店は【所属】の中で時系列に並べます。順位の分母になる法人渉外の人数まで書きます。
- 【営業対象】担当先の業種内訳・年商帯・従業員規模、会うのが経営者か経理責任者か。金額の重さを決める情報です。
- 【商材】事業性融資の使途と1件あたりの金額帯、保証付きと自行単独の別、私募債・外国為替・事業承継といった手数料商品。役務収益の根拠になります。
- 【営業手法】訪問件数、資金需要の見つけ方、与信申請から実行までのどこを担当したか、新規の入り口。受け身に見せないための欄です。
- 【実績・成果】担当先数から書き始め、貸出金残高の純増、融資実行の内訳、役務収益、新規取引先、与信申請の順に並べます。各行に分母と期間を添えます。
職務要約の組み立て方そのものは営業職の職務経歴書の書き方、数字にできる実績が手元にない期間の扱いは数字で示せる実績がない場合にまとめています。
融資実行額は銀行の数字ではないか?自分の実績として何を書くか
融資実行額の総額だけを書かず、担当先数という分母、貸出金残高の純増、役務収益の3つを同じブロックに並べます。実行額が「銀行の数字」に見えるのは事実で、資金を出すのは銀行、可否を決めるのは支店長と本部審査部門、信用格付を出すのはシステムです。それでも案件そのものは、渉外が資金需要を見つけ、事業の中身を確かめ、与信申請を組み立てなければ生まれません。書くべきは金額の総額ではなく、自分が動かした範囲と、その範囲の中で起きた増減です。
とくに実行額と純増は別物です。記入例では年間28億円を実行していますが、約定返済と期日返済で減った分を差し引くと、担当先の貸出金残高は8億円しか増えていません(記入例)。実行額だけを書くと、借換で数字を作った人と、残高を積み上げた人が同じに見えます。逆に純増だけを書くと、返済が重なった年に動いた量が消えます。両方を並べると、どれだけ動いて、いくら残ったかが1組で伝わります。
| 指標 | 書き方(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 担当先数 | 40社(年商5〜50億円、製造16・建設9・卸売8・サービス7) | すべての金額の分母。業種内訳と規模帯を必ず添える |
| 貸出金残高(末残) | 期首62億円 → 期末70億円(担当先合計) | 銀行の資産なので「担当先合計」と明記する |
| 残高純増 | 純増8億円(前年純増5億円) | 返済を差し引いた後の実力。実行額より優先して書く |
| 期中平均残高(平残) | 65億円(期首62億円・期末70億円) | 行内の主要評価。初出で一般語を添える |
| 融資実行額 | 年28億円(新規先5億/既存先の新規案件7億/継続・借換16億) | 総額だけだと借換が混ざる。内訳で分ける |
| 役務収益 | 年2,400万円(目標2,000万円・達成率120%) | 他業界に「手数料売上」として最も伝わる行 |
| 新規取引先 | 年6社(紹介4社・自己開拓2社) | 社数と経路を組にする。金額は別行に置く |
| 与信申請(稟議) | 年50件・承認44件(88%)、本部協議12件 | 案件を作った量の証拠。分母を必ず書く |
| 資産の質 | 担当40社で延滞0件、条件変更2社に対応 | 「出して終わりでない」ことを示す銀行固有の行 |
| 支店内順位 | 法人渉外6名中1位(役務収益)・2位(貸出金純増) | 分母(渉外人数)と項目名と年度が必須 |
金額をどこまで書けるかは、勤務先の就業規則と秘密保持誓約書で決まります。担当先の名前と個別の融資条件は伏せる前提で、自分の担当分の増減までなら書ける会社が多い一方、支店や銀行全体の経営数値は決算で公表されている範囲を超えて書きません。伏せた項目を業種・年商帯・比率へ置き換える型と、伏せたつもりでも特定されてしまう組み合わせは守秘義務で社名・数値が書けないときの職務経歴書にまとめています。
制度の話は、実績とは別に扱います。銀行が営むことのできる業務の範囲はe-Gov法令検索の銀行法に定めがあり(2026年9月時点)、固有業務・付随業務などの区分があるとされています。取り扱えた商品の幅は在籍した銀行の業務範囲や登録の状況によって変わるため、書類には制度の説明ではなく、自分が実際に扱った商品と件数だけを書きます。
法人渉外として、年間28億円の融資を実行しました。(記入例)
何社を担当した中での28億円かが分からず、借換で積み上げた額との区別もつきません。銀行の資金量に乗っただけの数字とも読まれ、他業界の読み手には「28億円」が大きいのか小さいのかも判断できません(記入例)。
担当先40社(年商5〜50億円)に対し、貸出金残高は期首62億円→期末70億円で純増8億円(前年純増5億円)。融資実行は年28億円で、うち新規取引先6社へ5億円、既存先の新規案件7億円、継続・借換16億円。役務収益は年2,400万円(目標2,000万円に対し120%)(記入例)
分母(40社)、増えた量(純増8億円)、動かした量(実行28億円)、手数料としての収益(2,400万円)が1か所にそろい、62億円+8億円=70億円、5億円+7億円+16億円=28億円と行の中で検算できます。前年純増5億円があるため、8億円が伸びであることも読めます(いずれも記入例)。
支店やチームの合計しか手元になく、自分の担当分が切り出せない場合の分け方はチーム実績しかない営業の職務経歴書にまとめています。新規取引先をどの経路から取ったかを工程に分けて示す方法は新規開拓営業の職務経歴書で扱っているため、渉外の書類では社数と経路の内訳までにとどめます。
目標項目が20近くある評価を、職務経歴書ではどうまとめるか
目標項目は3系統に整理し、残高から1本・収益から1本・件数から1本を主指標として前に出し、残りは「その他の推進項目○項目」と1行にまとめます。銀行の評価表には、貸出金の平残と末残、役務収益、預かり資産、外国為替取扱高、法人インターネットバンキング、給与振込指定、法人カード、事業承継、商談紹介といった項目が並び、店格や期によって重みも変わります。全部を並べると読み手は優先順位を読み取れず、行数だけが増えます。
整理の軸は「読み手が採用後に再現してほしい動き」です。残高はストック(積み上げた取引の量)、役務収益はフロー(その期に生んだ手数料)、新規取引先とソリューションの成約は活動の広がりを表します。3系統から1本ずつ選べば、量・収益・広がりの3面が1行ずつで示せます。応募先が事業会社の法人営業なら役務収益を、金融機関の同職種なら貸出金純増を先頭に置くと、読み手の見たい順に並びます。
| 行内の目標項目 | 系統 | 職務経歴書での扱い(記入例) |
|---|---|---|
| 貸出金 平残・末残 | 残高(ストック) | 主指標。純増8億円と平残65億円を1行にまとめる |
| 役務収益 | 収益(フロー) | 主指標。年2,400万円と達成率120%、内訳4項目 |
| 新規取引先 | 件数(広がり) | 主指標。年6社と経路(紹介4・自己開拓2) |
| 事業承継・M&A、商談紹介、私募債 | 収益(フロー) | 役務収益の内訳に含める。件数と金額を並記 |
| 預かり資産(経営者個人分) | 残高(ストック) | 副指標。純増1.8億円を1行 |
| 外国為替取扱高 | 収益(フロー) | 応募先が商社・メーカーなら主指標へ繰り上げる |
| 法人ネットバンキング・給与振込・法人カード | 件数(広がり) | 個別に書かず「その他の推進項目12項目は全項目達成」 |
| 投資信託・保険の窓口販売 | 収益(フロー) | リテール寄り。応募先がリテール職なら別ブロックへ |
「達成率」という言葉の中身も、行内と行外でずれます。銀行では期の途中で目標が上積みされたり、項目ごとに達成率が別々に付いたりしますが、書類の読み手は「1つの目標に対する1つの結果」を期待します。項目名・目標値・実績・達成率・期間を1行に収め、上積み後の目標で計算したなら「期中改定後の目標2,000万円に対し」と括弧で添えます(記入例)。達成できなかった項目を隠す必要はありませんが、未達の年度の書き方には型があるため、目標未達・成績が悪いときの職務経歴書にまとめた手順を使います。
表彰や順位が項目ごとに出るのも、目標が細かく分かれている銀行の特徴です。「本部長表彰」「四半期MVP」だけでは、貸出金なのか役務収益なのか、店内の順位なのか同規模店どうしの順位なのかが読めません。銀行では「支店の法人渉外6名中」という店内の分母と、「同規模店18か店中3位」という店単位の分母が併存するので、順位を書くときはどちらの集団かまで書き分けます(記入例)。分母と期間の一般的な付け方は表彰歴・社内順位の職務経歴書での書き方にまとめています。
貸出金平残・末残、役務収益、新規取引先、事業承継、ビジネスマッチング、私募債、預かり資産、外為取扱高、法人IB、給振指定、法人カード、確定拠出年金、電子記録債権、経営者保険、投信・一時払保険、口座振替・収納、手形割引、住宅ローン紹介、事業性評価シートの各目標を達成しました。(記入例)
19項目が同じ重さで並び、どれが主戦場だったのかが読めません。略語と行内語が続くため、他業界の読み手は1行も具体像を持てません。主指標に上げる3項目(貸出金・役務収益・新規取引先)と、役務収益の内訳へ回す3項目(事業承継・ビジネスマッチング・私募債)、副指標の預かり資産を抜くと、残りは12項目になります(いずれも記入例)。
・貸出金残高 純増8億円(期首62億円→期末70億円、期中平均残高65億円)(記入例)
・役務収益 2,400万円(目標2,000万円に対し達成率120%。事業承継・M&A 2件900万円、私募債3件540万円、商談紹介の成約9件600万円、外国為替・その他360万円)(記入例)
・新規取引先 6社(紹介4社・自己開拓2社)(記入例)
・その他の推進項目12項目(法人インターネットバンキング、給与振込指定、外国為替取扱高ほか)は全項目で目標達成(記入例)
主指標が3行に絞られ、残りは1行にまとまっています。役務収益の内訳は足すと2,400万円になり、金額の出どころが確かめられます。項目数の多さは「12項目」という数で伝わるため、羅列する必要がなくなります(いずれも記入例)。
稟議・格付・平残といった行内用語は、どこまで言い換えるか
職名・工程・指標の3種類はすべて一般語に言い換え、業界内で意味の定まった用語だけを括弧付きで残します。銀行の言葉は行内で完結していて、同じ金融でもリース・証券・保険では通じない語が多く、事業会社の人事にはほとんど届きません。「渉外として稟議を上げ、格付の維持に努めた」という一文は、行内では具体的でも、書類の読み手には職種も工程も伝わりません。
| 行内用語 | 職務経歴書での書き方 | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 渉外 | 法人向けの外訪営業(担当先を訪問し、融資と経営課題の解決を提案) | 職種名なので冒頭で1度だけ言い換える |
| 稟議・稟議を上げる | 与信申請書の起案と社内審査の通過(年50件・承認44件) | 「上げた」で止めず、起案から実行までを工程で書く |
| 格付・債務者区分 | 信用格付(決算書に基づく取引先の信用力の区分) | 区分名や実際の格付は書かない。関与した工程まで |
| 平残・末残 | 期中平均残高(平残)/期末残高(末残) | 2つの違いが分かる形で並べる |
| メイン・メイン化 | 取引シェア(取引先の借入に占める自行の割合)を引き上げる | 「メイン化3社」→「取引シェアを30%から60%へ引き上げ 3社」 |
| プロパー融資 | 信用保証協会の保証を付けない自行単独の融資 | 保証付きとの比率が案件の組み立て力を示す |
| 保全 | 担保・保証によるリスクの手当て | 担保の種類や評価額は書かない |
| 役務収益 | 手数料収入(融資利息以外の収益) | 事業会社では「手数料売上」に最も近い |
| 当貸・期日物 | 当座貸越(あらかじめ枠を設ける融資)/一括返済の短期融資 | 商品名の羅列でなく、資金使途と一緒に書く |
| 事業性評価 | 決算と担保だけでなく事業の中身から将来性を評価する取り組み | 取り組み名でなく、自分が何を調べたかを書く |
| 本部協議 | 本部審査部門との事前協議 | 件数を添えると案件の重さが伝わる |
| 自己査定 | 資産の健全性についての行内の自己点検 | 関与した事実まで。区分や金額は書かない |
| 地公体 | 地方公共団体 | 略語のまま書かない |
言い換えの粒度は、応募先で変えます。金融機関や金融向けサービスの会社に出すなら「与信申請(稟議)」のように括弧で行内語を残すと、経験の実物が伝わります。事業会社の法人営業に出すなら、行内語を括弧の中にも残さず、「社内審査を通すための申請書を年50件起案」(記入例)と工程だけで書きます。同じ書類で両方に出す場合は、一般語を本文に置き、行内語を括弧に入れる形が読み手を選びません。
用語を一般語へ直す手順そのもの(言い換えの探し方、社内KPIの定義の添え方)は社内用語・社内KPIを翻訳する職務経歴書で扱っています。本記事では、銀行に固有で他業界に持ち出しにくい語だけを表にしました。
渉外として担当先の稟議を年間50件上げ、格付の維持とメイン化に取り組みました。(記入例)
職種名も工程も行内語のままで、何をどこまでやった人なのかが読めません。「上げた」だけでは、通ったのか、実行まで運んだのかも分かりません。
担当先40社を訪問(月60件)し、決算書と資金繰り表から資金需要を組み立てて、与信申請書(稟議書)を年50件起案。社内審査で44件が承認され(承認率88%)、うち12件は本部審査部門との事前協議を経て実行。取引先の借入に占める自行のシェアを引き上げた先は3社(30%→60%)(記入例)
職種・工程・件数・率がすべて一般語で並び、行内語は括弧の中だけに残っています。44件÷50件=88%と検算でき、本部協議12件が案件の重さを示します(いずれも記入例)。
2〜3年ごとの異動で担当先が変わる経歴は、どう並べるか
職歴欄は銀行1社にまとめ、支店ごとにブロックを作って「期間・支店の性格・担当先の分母・その店の主な実績」の4点を並べます。銀行の異動は本人の意思ではなく行内の人事なので、会社を移った経歴とは意味がまったく違います。ところが職歴欄に支店名を並べると、見た目は転職を繰り返した経歴と似てしまいます。1社の中の配置換えだと分かる書き方に整えるのが先です。
入力フォームの職務経歴は1社につき1ブロックなので、銀行は1ブロックで作り、支店の履歴は【所属】の中に矢印でつなげて時系列に並べます(記入例)。冒頭に「行内人事異動により3か店」と添えると、支店名が増えても転職回数として数えられません。転職回数そのものの見せ方は転職回数が多い営業の職務経歴書で扱っています。
| 期間 | 支店・職務 | 担当先(分母) | 主な実績(記入例) |
|---|---|---|---|
| 直近3年 | 〇〇支店 法人営業課 主任(県庁所在地・法人渉外6名) | 法人40社(年商5〜50億円) | 貸出金純増8億円、役務収益2,400万円、新規6社 |
| その前の3年 | 〇〇支店 渉外課(地方都市・法人渉外4名) | 法人32社(年商1〜10億円) | 貸出金純増3億円、役務収益1,100万円、新規8社 |
| 最初の2年 | 〇〇支店 個人渉外・窓口(初任店) | 個人 約200世帯 | 預かり資産 純増1.2億円、住宅ローン実行12件・3.6億円 |
支店ごとに数字が違う理由も、1行で添えます。記入例では、現在の支店で新規取引先が6社、前の支店では8社と、新規の社数は前の支店のほうが多くなっています。年商1〜10億円の先が多い店と、年商5〜50億円の先が多い店では、1社あたりの重さも訪問の頻度も違うためです(記入例)。支店の性格(商圏・法人渉外の人数・担当先の規模帯)を書いておけば、社数の増減が実力の増減ではないことが読み手に伝わります。
初任店の期間は圧縮します。個人渉外や窓口だった期間は、法人営業への応募では主戦場ではないため、担当した世帯数と主要な数字を2行にとどめ、現在の支店に行数を集めます。逆に、リテール職や資産運用の職種に応募するなら、預かり資産と住宅ローンの行を前に出し、法人の行を圧縮します。同じ経歴でも、応募先によって行数の配分を変えるのが実務的です。
異動の直前に着任した支店で、まだ通期の実績が出ていない場合は、期間を明記したうえで確定した部分だけを書きます。「〇〇支店(着任8か月):引き継いだ法人28社のうち24社を訪問完了、うち9社で新規の資金需要を把握し、与信申請6件・実行4件(記入例)」のように、着任からの月数を分母にして書けば、短い期間でも動いた量が伝わります。前任者から引き継いだ残高を自分の実績として書かないことが、着任直後の期間を数字で語るときの前提になります。
〇〇支店(2年)/〇〇支店(3年)/〇〇支店(3年) 法人・個人の渉外業務に従事。(記入例)
支店名と年数だけが並び、1社の中の異動なのか転職なのかが読めません。各店で何社を担当し、何を残したのかも分からないため、8年ぶんの経験が1行で消えています(記入例)。
株式会社〇〇銀行(地方銀行・従業員約2,000名・店舗80か店) ○○○○年○月〜現在
【所属】行内人事異動により3か店。〇〇支店 個人渉外・窓口(2年・個人約200世帯)→ 〇〇支店 渉外課(3年・法人32社/年商1〜10億円・法人渉外4名)→ 〇〇支店 法人営業課 主任(3年・法人40社/年商5〜50億円・法人渉外6名)(記入例)
1社の中の配置換えであることが冒頭で分かり、各店の分母と規模帯が並ぶため、担当先の重さが上がってきた経歴として読めます。渉外の人数があるので、順位を書いたときの分母とも整合します(いずれも記入例)。
リース・クレジット・信販の営業は、銀行の書き方とどこが違うか
残高ではなく契約高(取扱高)で書き、間接販売の比率と与信の通過率を必ず添えます。リース・クレジット・信販は、扱うのが資金と信用である点は銀行と同じですが、成績の数え方が違います。銀行が期末の貸出金残高と純増で見るのに対し、リースは契約を締結した時点の契約高(リース料の総額)で数え、クレジット・信販は取扱高と加盟店数・会員数で数えます。銀行の型のまま「残高」と書くと、指標の名前と中身が食い違います。
| 仕事の区分 | 主指標と書き方(記入例) | 銀行との違い |
|---|---|---|
| リース(直販) | 年間契約高6.4億円(契約160件・1件平均400万円) | 残高でなく契約高。物件の種類とリース期間を添える |
| リース(提携販売店経由) | 提携販売店24社中20社が稼働(稼働率83%)、経由契約128件(全体の80%) | 売るのは販売店。自分の動きは開拓数と勉強会・同行の回数で示す |
| 割賦・信販(加盟店側) | 新規加盟店96店、加盟店経由の取扱高12億円 | 顧客は加盟店であって利用者ではない |
| カード(会員獲得側) | 新規会員3,200件(6か月後の稼働率72%) | 加盟店開拓とは別の仕事。混ぜて書かない |
| 与信 | 申込320件 → 承認250件(通過率78%) | 通過率は案件の組み立ての質。銀行の承認率に当たる行 |
| 資産の質 | 担当ポートフォリオの延滞率0.3% | 銀行の「延滞0件・条件変更2社」に当たる行 |
| 新規取引先 | 年間18社(うちメーカー・販売店からの紹介12社) | 紹介元が銀行と違う。経路の内訳を書く |
いちばん迷いやすいのは、提携販売店(ベンダー)経由の契約を自分の実績と書けるかどうかです。記入例では契約160件のうち128件(80%)が販売店経由で、実際に商談を進めたのは販売店の営業担当です。リース側の作法は、契約高の総額を1行で終わらせず、経由128件と直販32件を分けて置き、128件+直販32件=160件と足し算が合う形にしておくことです(いずれも記入例)。直販の比率が2割しかないことを隠さずに書いても、稼働している提携販売店の数(記入例では24社中20社)が並んでいれば、販売網を維持した仕事として読まれます。販売店を動かした量そのもの(稼働率・新規開拓数・勉強会や同行の回数)で貢献を示す型は代理店営業・パートナーセールスの職務経歴書で扱っているため、リース・信販の書類では金融側の指標(契約高・与信通過率・延滞率)に絞ります。
クレジット・信販は、加盟店を開拓する仕事と、カード会員を獲得する仕事が別です。求人票では「クレジットカード営業」とまとめて書かれることがありますが、前者の顧客は店舗や事業者、後者の顧客は個人で、指標も商談相手も違います。職務経歴書では、どちらを担当したかを職務の冒頭で1文にし、両方を経験したなら期間を分けて別のブロックに置きます。混ぜて書くと、加盟店数と会員数が同じ表に並び、どちらの分母で読めばよいか分からなくなります。
与信の通過率は、リース・信販に固有の見せ場です。通過率が高いのは審査が甘いからではなく、資金使途と物件、事業の状況に合った案件だけを申請に上げているからだと読まれます。「申込320件のうち承認250件(通過率78%)。物件と資金使途の確認を申込前に行う運用に変え、前年の70%から改善(記入例)」のように、率と改善の理由を組にすると、案件の組み立て力として伝わります。
よくある質問
支店の貸出金残高や融資実行額は、そもそも書いてよい数字ですか?
自分の担当先の合計と、その増減までなら書ける会社が多く、支店や銀行全体の経営数値は、決算で公表されている範囲を超えて書きません。担当分であることが分かるよう「担当先40社の貸出金残高 期末70億円」(記入例)のように分母を添えます。就業規則や秘密保持誓約書に「取引条件」「営業数値」の文言があるなら、絶対額を避けて純増額と達成率、支店内順位で書きます。絶対額を落としても、担当先の社数と業種内訳、増減の幅は残せるので、実績の行が空になることはありません。
稟議が通らず実行できなかった案件は、実績として書けますか?
工程で書けます。与信申請の起案件数と承認件数を分母付きで並べれば、通らなかった案件も「案件を作った量」として数に入ります。「年50件起案・44件承認(88%)」(記入例)のように書けば、6件が通らなかったことも同時に開示できます。条件を組み替えて再申請し実行に至った案件があるなら、件数と何を変えたか(保証の追加、資金使途の分割、返済期間の見直し)を1行添えると、審査を通す力として読まれます。
個人の目標がなく、支店の目標しかありませんでした。
支店目標の達成率を書いたうえで、自分の担当分と構成比を添えます。「支店の貸出金純増 目標30億円に対し実績32億円(達成率107%)、うち自分の担当先40社で8億円(構成比25%)」(記入例)のように書くと、支店の成果と自分の貢献が分かれます。8億円÷32億円=25%、32億円÷30億円=約107%という関係です(いずれも記入例)。構成比を出すときは、支店の目標額と実績の両方を書き、どの母数で割ったのかが読み手に分かるようにします。
銀行から事業会社の法人営業へ応募するとき、何を前に出しますか?
役務収益(手数料収入)と新規取引先の社数を前に、貸出金残高を後ろに置きます。事業会社の読み手にとって、利息収入は自社に置き換えられませんが、手数料収入は売上に、社数は顧客数に読み替えられるためです。加えて、決算書を読んで経営者と資金繰りの話ができること、社内審査を通すために申請書を年50件起案したこと(記入例)は、稟議文化のある会社では社内調整の経験としてそのまま評価されます。
担当先の名前は伏せますが、業種と年商を書くと特定されませんか?
商圏が限られる地域金融では、業種・年商・所在地がそろうと1社に絞られやすく、地元の取引銀行が数行しかない地域ではなおさらです。「県内の食品製造業(年商20億円規模)」(記入例)までにとどめ、市町村名や創業年、工場数、主要販売先は書きません。担当先を業種内訳と社数で示す(製造業16社・建設業9社ほか、記入例)形なら、個社に触れずに担当の幅が伝わります。実数をいくつまで並べてよいかという線引きは守秘義務で社名・数値が書けないときの職務経歴書にまとめています。
数字を覚えておらず、純増額も役務収益も思い出せません。
覚えている単位から復元し、復元した数字だと分かる形で書きます。担当先の社数と規模帯は記憶に残りやすく、そこから「年商10億円前後の先を40社前後」(記入例)と幅で書けます。月次の推進資料や表彰の記録、期末の面談メモが手元にあれば、達成率と順位は再現できます。金額がどうしても出ない場合は、訪問件数・与信申請の件数・新規取引先の社数といった行動量に置き換えます。復元の手順は実績が数字にできない職務経歴書にまとめています。
参照した情報
- ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」 — 確認日 2026年9月6日
運営 オルグロー株式会社(運営会社)。この記事は、当社が運営する履歴書・職務経歴書作成ツール「営業の履歴書作成ツール」の編集部が制作し、当社が編集責任を負います。外部ライターへの委託や、他社記事の転載はしていません。
記事内の数値について 売上・件数・達成率・順位などの数値はすべて記入例です。当社サービスの実績や、特定の個人の経歴ではありません。
制作方法 構成と下書きに生成AIを使い、当社の担当者が数値の検算、入力フォームの欄名・並びとの整合、参照情報との照合を行っています。詳しくは編集方針に記載しています。
更新 公開 /最終更新 。記入例・表・結論を変えたときだけ最終更新日を上げています。募集要項に指定がある場合は、そちらが優先されます。