産休・育休のある営業の職務経歴書は実績が抜ける?時短の按分目標で埋める
この記事の結論
産休・育休のある営業の職務経歴書は、在籍が続くため職歴の空白にはならず、会社の欄に「○○○○年○月〜○○○○年○月 産前産後休業・育児休業、○○○○年○月復職」と1行置けば足ります。実績が抜けるのは休業をまたいだ年度だけなので、在籍月数を分母にした月平均に直し、時短勤務で目標が按分されている場合は按分後の目標と所定労働時間を併記します。子どもの人数や保育の事情は書きません。
この記事は在籍中の休業と短時間勤務をはさんだ営業実績を、按分目標と復職後の数字で書き切ることを決めきるためのものです。職務要約から自己PRまでの全体の型、実績指標の対応表、数字で示せる実績がない場合の書き方、社名や売上を書いてよいかの判断は、営業職の職務経歴書にまとめています。様式そのものを探している方は、そちらの入力フォームからそのまま作れます。
入力フォームへ産休・育休・時短勤務のある営業とは(職務経歴書での扱い)
産休・育休・時短勤務のある営業とは、同じ会社に在籍したまま産前産後休業・育児休業を取り、復職後に短時間勤務などの制度を使いながら営業を続けている、または続けていた人を指します。産前産後休業は出産する本人が取る休業、育児休業は性別を問わず取得できる休業で、どちらも在籍したまま取る制度です。在籍が途切れていないため、職歴そのものに空白は生まれません。
それでも書類で手が止まるのは、営業の実績が年度単位で積み上がるからです。在籍6年6か月のうち、12か月をとおして稼働した期間は5年ぶんで、残りは休業1年2か月と、休業に入った年度の4か月に分かれます(記入例)。休業に入った年度は期の途中で数字が止まり、復職後は所定労働時間が短いぶん、フルタイムの目標と並べると達成率が低く出ます。空白ではなく「実績の欠け」として表面化するのが、この区分の詰まりどころです。
本記事は、在籍したまま休業を取り、復職済みか休業中に転職活動をしている営業職を対象にします。私傷病による休職も、在籍が続いたままの休業として同じ置き方で扱います。いったん退職して離職期間があった場合の書き方は離職ブランクからの再就職の職務経歴書、休業をきっかけに部署が変わった場合の異動そのものの書き方は部署異動・昇進・降格・兼務の職務経歴書で扱います。履歴書と職務経歴書の役割の違いは営業職の履歴書と職務経歴書の違いにまとめています。
記入例は、業務用システムを扱う法人営業として在籍6年6か月、うち産前産後休業・育児休業1年2か月、復職後の短時間勤務2年0か月という想定で置いています(記入例)。新規開拓と既存顧客の更新を両方担当し、休業前はフルタイムで1日8時間、復職後は1日6時間という条件です(記入例)。
職務経歴書の完成記入例(育休1年2か月・時短復職の法人営業)
先に完成形を示します。1社に在籍したまま休業をはさみ、復職後は短時間勤務で新規開拓と既存更新を続けている例です。数値はすべて記入例で、期間の足し算、売上の掛け算、按分目標の割り算が、いずれも行の中で確かめられるようにそろえています。
記入例
職務要約
業務用システムの法人営業として6年6か月、新規開拓と既存顧客の更新を担当してきました(記入例)。うち産前産後休業・育児休業が1年2か月、復職後の短時間勤務(1日6時間・通常8時間)が2年0か月です(記入例)。直近12か月は、短時間勤務の按分目標4,500万円に対し売上5,400万円で達成率120.0%、課内9名中3位、フルタイム時の年間目標6,000万円に対しても90.0%に届いています(記入例)。休業前の通年実績は6,720万円(目標6,000万円・達成率112.0%)で、所定労働時間あたりの売上は休業前3.5万円から直近3.75万円へ上がりました(記入例)。復職時に引き受け直した既存28社は、直近12か月で30社まで戻し、継続率93.3%を維持しています(記入例)。
職務経歴
株式会社〇〇〇〇(業務用システムの開発・販売/従業員約240名) ○○○○年○月〜現在(6年6か月) 営業部 法人営業課(記入例)
- 【所属】営業部 法人営業課(課員9名)(記入例)
- ○○○○年○月〜○○○○年○月 法人営業課(フルタイム・1日8時間)3年4か月(記入例)
- ○○○○年○月〜○○○○年○月 産前産後休業・育児休業 1年2か月(記入例)
- ○○○○年○月〜現在 法人営業課に復職(短時間勤務・1日6時間)2年0か月(記入例)
- 【営業対象】従業員100〜1,000名規模の企業(製造・卸売・サービス)の総務部長・情報システム担当(記入例)
- 【商材】業務用システムの新規導入(1社あたり平均260万円)と、年間保守・追加ライセンスの更新(1社あたり平均100万円)(記入例)
- 【営業手法】新規は問い合わせ対応と既存顧客からの紹介、既存は年次更新時の提案。復職後はオンライン商談を主にし、訪問は導入時と更新面談に絞る(記入例)
- 【実績・成果】(すべて記入例。休業をまたぐ期間は稼働月数で按分した目標を併記)
- 直近12か月(短時間勤務):売上5,400万円/按分目標4,500万円・達成率120.0%、課内9名中3位。フルタイム時の年間目標6,000万円に対して90.0%(記入例)
- 直近12か月の内訳:新規受注10社×平均260万円=2,600万円、既存更新28社×平均100万円=2,800万円(記入例)
- 復職後1年目(短時間勤務):売上4,680万円/按分目標4,500万円・達成率104.0%。新規受注8社、既存更新26社(記入例)
- 休業に入った年度(在籍4か月):売上2,240万円/按分目標2,000万円(年間目標6,000万円×4か月÷12か月)・達成率112.0%、月平均560万円。新規受注4社、既存更新12社(記入例)
- 休業前の通年(フルタイム):売上6,720万円/目標6,000万円・達成率112.0%、課内9名中2位、月平均560万円。新規受注12社、既存更新36社(記入例)
- 所定労働時間あたりの売上:休業前3.5万円(年1,920時間)→直近3.75万円(年1,440時間)で107.1%(記入例)
- 既存顧客の継続:休業前 担当40社→更新36社(継続率90.0%)/復職後1年目 担当28社→更新26社(92.9%)/直近12か月 担当30社→更新28社(93.3%)(記入例)
- 商談の進め方:休業前 年240件(訪問216件・90.0%/オンライン24件・10.0%)→直近12か月 年216件(訪問54件・25.0%/オンライン162件・75.0%)(記入例)
- 新規受注 通算58社(休業前の稼働3年4か月で40社/復職後2年で18社)(記入例)
活かせる経験・知識・スキル
- 法人向けの新規開拓(稼働通算5年4か月):新規受注 通算58社、1社あたり平均260万円(記入例)
- 既存顧客の更新提案:担当28〜40社、継続率90.0〜93.3%(記入例)
- 短時間勤務での案件運営:オンライン商談75.0%、所定労働時間あたりの売上3.75万円(記入例)
- 担当の引き継ぎと引き受け直し:休業前に担当40社を課内3名へ引き継ぎ、復職時に28社を引き受け直し、直近12か月で30社(記入例)
- 見積・稟議資料の作成、SFAでの案件管理と月次の受注予測、更新時期の管理
資格
- 普通自動車第一種運転免許(○○○○年○月 取得)
記入例の在籍6年6か月は、フルタイム3年4か月+産前産後休業・育児休業1年2か月+復職後2年0か月を足した数字です(記入例)。直近12か月の5,400万円は、新規10社×260万円=2,600万円と既存更新28社×100万円=2,800万円の合計で、按分目標4,500万円は年間目標6,000万円に所定労働時間の比率75.0%(1日6時間÷8時間)を掛けた額です(いずれも記入例)。休業に入った年度の按分目標2,000万円も6,000万円×4か月÷12か月で出しており、新規受注の通算58社は休業前40社(通年12社×3年+休業に入った年度4社)と復職後18社(8社+10社)の合計です(いずれも記入例)。休業をはさんだ書類でまず疑われるのは休業の有無ではなく、期間と数字の辻褄が合っているかどうかです。
職務経歴書は、履歴書では書ききれない職務内容と実績を具体的に伝える書類だと、ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」でも位置づけられています。休業をはさんだ人にとっての「具体的」は、休業の説明を長くすることではなく、稼働していた期間の数字を、その期間の条件つきで読める形に整えることです。職務要約そのものの組み立て方は営業職の職務経歴書の書き方にまとめています。
記入例を入力フォームに落とすときの対応は次のとおりです。休業をはさんでも会社は1社なので、職歴は1つだけ追加し、入社年月と「現在も在籍している」のチェックで期間を示します。休業と復職の期間は、会社の枠を分けるのではなく「業務内容と実績・成果」の欄の中で表します。
- 【所属】の中に、稼働期間・休業期間・復職後の3行を時系列で並べ、復職後の行に所定労働時間を添えます。
- 【実績・成果】は新しい期間から順に並べ、休業をまたぐ期間の行には必ず稼働月数と按分目標を同じ行に置きます。
- 会社をまたがない実績なので、「活かせる経験・知識・スキル」には稼働通算の年数と累計社数を1行1項目で立てます。
在籍中の産休・育休は、職務経歴書に書く義務があるか?
書く義務はありませんが、実績の年度が飛ぶ理由が書類の中で説明されないため、会社の欄に1行置くほうが読みやすくなります。在籍が続いている以上、休業は職歴の中断ではないので、隠すか明かすかという問題ではありません。判断すべきなのは、実績欄に空いた期間の理由を書類の側で示すか、面接まで持ち越すかです。
営業職の場合、持ち越しは不利に働きやすくなります。年度ごとの売上と達成率が並ぶ書類で、1つの年度だけ数字が3分の1になっていれば、読み手は理由を推測します。推測の候補は、成績の急落、担当替え、体調、休業のどれかで、書類の中に手がかりがなければ、いちばん厳しい解釈が残ります。1行あれば推測が止まり、残りの年度の数字がそのまま読まれます。
| 状況 | 職務経歴書での置き方 | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 休業をまたいで同じ会社に在籍し、復職済み | 会社の欄の【所属】を稼働・休業・復職の3行に分け、休業は1行 | 会社の枠は1つのまま。職歴を2社に分けない |
| 休業中に転職活動をしている | 【所属】の最後に休業中である旨と復職予定・就業可能時期を1行 | 応募先が着任時期を判断できる情報になる |
| 休業から復職せずに退職した | 在籍期間の中に休業の行を置き、退職年月はそのまま書く | 在籍期間は休業を含む。履歴書の職歴欄と一致する |
| 復職後に部署・担当が変わった | 復職の前後で期間を分け、それぞれに営業対象と実績を置く | 会社は分けない。指標が変わる点は節で扱う |
| 短時間勤務だけで休業がない | 休業の行は不要。所定労働時間の変更を1行 | 実績の按分の考え方は休業がある場合と同じ |
| 私傷病により休職した期間がある | 在籍期間の中に「私傷病により休職」と期間を1行 | 診断名・症状は書かない。稼働月数での按分は同じ |
| 退職して育児に専念した期間がある | 在籍期間の外=離職期間として扱う | 在籍中の休業とは扱いが別になる |
履歴書の職歴欄には、休業の行を入れないのが通例です。職歴欄は入社と退社を書く欄で、在籍が続いている休業は記載の対象にならないためです。職歴欄そのものの組み立て方は営業職の履歴書の書き方(職歴欄)にまとめています。書く場所を職務経歴書の1か所に絞ることで、同じ説明が2枚に重複せず、履歴書の職歴欄も在籍期間だけで読める状態になります。
休業の名称は、勤務先の呼び名ではなく一般的な名称にそろえます。社内で「〇〇休暇」「育児サポート制度」と呼ばれていても、書類では「産前産後休業」「育児休業」と書きます。制度の呼び名は会社ごとに違い、読み手が期間の性質を判断できなくなるためです。
○○○○年度 売上2,240万円(達成率37.3%)/○○○○年度 実績なし/○○○○年度 売上4,680万円(達成率78.0%)(すべて記入例)
3年度にわたって成績が落ち込んだように見え、理由が書類のどこにもありません。読み手は書いてある数字だけで判断するため、成績不振の期間として処理されます。
【所属】営業部 法人営業課(課員9名)/○○○○年○月〜○○○○年○月 法人営業課(フルタイム・1日8時間)/○○○○年○月〜○○○○年○月 産前産後休業・育児休業/○○○○年○月〜現在 法人営業課に復職(短時間勤務・1日6時間)(すべて記入例)
実績の数字が動いた理由が3行で示され、以降の売上と達成率は按分目標つきで読まれます。休業の行は制度の名称と期間だけで、私生活の事情には触れていません。
休業をまたいだ年度の実績は、どう書けば抜けて見えないか?
年度の目標を稼働月数で按分し、按分目標・実績・月平均の3つを同じ行に並べます。年度の途中で休業に入ると、実額は当然に小さくなります。小さくなった実額をそのまま年間目標と比べる書き方だけが、実態と違う結論を生みます。
| 期間 | 稼働月数 | 按分目標 | 売上 | 達成率 | 月平均 |
|---|---|---|---|---|---|
| 休業前の通年(フルタイム) | 12か月 | 6,000万円 | 6,720万円 | 112.0% | 560万円 |
| 休業に入った年度 | 4か月 | 2,000万円 | 2,240万円 | 112.0% | 560万円 |
| 休業中の年度 | 0か月 | — | — | — | — |
| 復職後1年目(1日6時間) | 12か月 | 4,500万円 | 4,680万円 | 104.0% | 390万円 |
| 直近12か月(1日6時間) | 12か月 | 4,500万円 | 5,400万円 | 120.0% | 450万円 |
按分目標の出し方は割り算1つです。年度の目標6,000万円に、稼働月数4か月を12か月で割った比率を掛けて2,000万円とします(記入例)。売上2,240万円をこの2,000万円と比べると達成率112.0%になり、フルタイムで通年働いた前年度の112.0%と同じ水準だったと分かります(記入例)。年間目標6,000万円をそのまま分母にすると37.3%となり、同じペースで走っていた事実が消えます(記入例)。
月平均は、按分目標を置いていない会社の人でも書ける代替です。売上2,240万円を稼働4か月で割ると月平均560万円で、前年度の6,720万円を12か月で割った560万円と一致します(記入例)。年度をまたぐ比較を月の単位に落とすだけで、休業前後の働き方が同じだったかどうかが1行で読めるようになります。
会社が按分目標を置いていない場合は、自分で計算したことを1語で示します。「按分目標2,000万円(年間目標6,000万円×4か月÷12か月・自己算出)」と書けば、社内の正式な評価数値と区別がつきます(記入例)。「按分」「期割り」「N分の1目標」といった呼び名は会社ごとに違うため、書類では計算式を添えて一般語で書きます。社内でしか通じない指標名の言い換えは社内用語・社内KPIを翻訳する職務経歴書にまとめています。
休業中にあたる年度は、実績の行を作らずに期間だけを残します。「実績なし」「0円」と書くと、稼働していないことではなく成果が出なかったことを表す行になってしまうためです。【所属】の休業行と、実績欄が休業前の期間から復職後の期間へ飛んでいる並びで、期間は説明済みになります。数字そのものが手元に残っていない期間の埋め方は実績が数字にできない職務経歴書、按分しても目標に届かなかった年度の書き方は目標未達・成績が悪いときの職務経歴書で扱います。
年度の区切りと復職の時期がずれる場合は、年度ではなく12か月区切りに切り替えます。期の途中で復職すると、復職後の最初の年度は稼働月数が半端になり、稼働月数の違う按分目標の行が2つ続いて読みにくくなります。「復職後1年目(○○○○年○月〜の12か月)」「直近12か月」という見出しにして、期間の始点を明記すれば、稼働月数がそろった行が2本並びます。年度でそろえるか12か月でそろえるかは書類の中で統一し、混在させないことが条件です。
制度の期間は、記入例の数値とは別に扱う
産前産後休業の期間は労働基準法に定めがあり、2026年9月時点では産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間が基準とされています(e-Gov法令検索の労働基準法)。育児休業の期間や延長の要件は育児・介護休業法に定めがあり、改正も重ねられています。書類に書くのは制度上の期間ではなく、自分が実際に休業していた期間です。制度の一般的な説明を書類に入れると、実績の行が押し出されます。
○○○○年度 売上2,240万円(年間目標6,000万円・達成率37.3%)(記入例)
同じ月平均で走っていた年度が、期の途中で休業に入っただけで3分の1の成績に見えます。分母が12か月ぶんのままで、分子だけが4か月ぶんという比較になっています。
○○○○年度(在籍4か月・○月より産前産後休業)売上2,240万円/按分目標2,000万円(年間目標6,000万円×4か月÷12か月)・達成率112.0%、月平均560万円(前年度の月平均560万円と同水準)(すべて記入例)
稼働月数・按分目標・月平均の3つがそろい、休業前と同じペースだったことが1行で読めます。計算式が入っているため、按分が自己申告でも検算できます。
時短勤務の達成率は、フルタイムの人とどう比べてもらうか?
所定労働時間の比率で按分した目標を分母に置いたうえで、フルタイム基準の達成率と、所定労働時間あたりの数字を同じ行に並べます。分母を1つに絞らないことが、この期間の書き方の要点です。
短時間勤務は、1日の所定労働時間を短くする制度です。営業の目標が時間に比例して置き直されているかは会社によって違い、フルタイムと同じ目標のまま据え置かれている職場もあります。どちらの場合でも、書類には3つの数字を並べます。1つ目は所定労働時間の比率、2つ目はその比率で按分した目標に対する達成率、3つ目はフルタイム基準の目標に対する達成率です。
| 書き方 | 数値と計算 | 読み手が判断できること |
|---|---|---|
| 所定労働時間の比率 | 1日6時間÷8時間=75.0%(年1,440時間) | 按分の根拠。目標を割り引く割合が検算できる |
| 按分目標に対する達成率 | 5,400万円÷4,500万円=120.0% | 与えられた条件のもとでどこまで届いたか |
| フルタイム基準の達成率 | 5,400万円÷6,000万円=90.0% | フルタイムの営業と同じものさしでの位置 |
| 所定労働時間あたりの売上 | 5,400万円÷1,440時間=3.75万円 | 時間あたりの成果 |
| 休業前との時間あたり比較 | 3.75万円÷3.5万円=107.1% | 条件をそろえると休業前を上回っている |
| 部門内順位 | 課内9名中3位(実額での順位) | 按分前の実額でも上位にいるかどうか |
3つの分母を並べる順番には理由があります。按分目標に対する達成率だけを書くと、分母を自分で決めた数字に見えます。フルタイム基準の達成率だけを書くと、90.0%という未達の数字だけが残ります(記入例)。所定労働時間の比率を先に置き、按分後の120.0%とフルタイム基準の90.0%を続けて書くと、条件と結果が対応した1組の情報になります(いずれも記入例)。
所定労働時間あたりの売上は、短時間勤務の期間にしか作れない指標です。年間所定労働日数を240日とすると、フルタイムは240日×8時間=1,920時間、短時間勤務は240日×6時間=1,440時間になります(記入例)。休業前の6,720万円を1,920時間で割ると3.5万円、直近の5,400万円を1,440時間で割ると3.75万円で、時間あたりでは107.1%です(すべて記入例)。実額では休業前に届いていない期間でも、時間あたりでは上回っていることが示せます。
計算に使うのは所定労働時間で、実際の労働時間ではありません。実労働時間で割ると、残業の多寡が数字に混ざり、条件をそろえる目的から外れます。書類には「所定労働時間あたり」と明記し、年間所定労働日数を併記します。日数の前提が書いていない時間あたりの数字は、読み手が検算できません。
時間あたりの数字だけを前面に出すことは勧めません。営業の採用で先に見られるのは実額の規模と、その条件でどこまで届いたかです。時間あたりは、実額と達成率を書いたあとに置く補助の1行にとどめ、職務要約では実額・按分後の達成率・順位の3点を先に書きます。
短時間勤務の制度は勤務先ごとに違う
2026年9月時点の育児・介護休業法では、3歳に満たない子を養育する労働者について、1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務の措置を講じることが事業主に求められています(e-Gov法令検索の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)。対象となる子の年齢や時間の設定は、勤務先の制度や法改正によって変わります。書類に書くのは制度の説明ではなく、自分が実際に働いていた所定労働時間です。
時短勤務のため目標には届きませんでしたが、限られた時間で効率よく働くことを心がけ、生産性を高めてきました(記入例)。
未達という結論だけが数字なしで残ります。「効率」「生産性」は条件を問わず誰でも書ける語で、どの程度だったのかを読み手が判断できません。
短時間勤務(1日6時間・所定の75.0%)。直近12か月 売上5,400万円、按分目標4,500万円に対し達成率120.0%、フルタイム基準の年間目標6,000万円に対して90.0%、課内9名中3位。所定労働時間あたりの売上3.75万円(年1,440時間・所定労働日数240日)で、フルタイム時の3.5万円の107.1%(すべて記入例)。
条件、按分後の達成率、フルタイム基準の位置、実額での順位、時間あたりの5つが並び、読み手はどのものさしを使っても判断できます。計算の前提が書かれているため、数字が検算できます。
復職後に担当が変わったとき、休業前の実績とどう並べるか?
休業前と復職後で共通して測れる指標を1つ選んで縦に並べ、変わった部分は「担当範囲が変わった」という事実の行として別に置きます。休業をはさんだ営業で実績が比べにくくなるのは、時間が短くなったからだけではなく、担当そのものが入れ替わるからです。
担当が変わる形は、社数の縮小、顧客層の変更、役割の変更、商談形式の変更の4つに分かれます。どの形でも、休業前の指標をそのまま並べると劣化したように見えます。前後で意味が変わらない指標を選び直すことが、比較を成立させる条件になります。
| 担当の変わり方 | 前後で使える指標 | 使えなくなる指標 | 書き方(記入例) |
|---|---|---|---|
| 担当社数を減らして復職 | 継続率、1社あたり売上、時間あたり売上 | 担当売上の総額 | 担当40社→28社(12社は引き継ぎ先が継続担当)、継続率90.0%→92.9% |
| 大型顧客から中小顧客へ | 受注件数、受注率、更新率 | 平均単価、年間売上 | 受注件数と更新率でそろえ、単価帯は営業対象の行に移す |
| 新規開拓から既存深耕へ | 商談件数、受注率 | 新規受注社数 | 新規開拓は休業前の稼働通算で1行、復職後は更新率と単価の伸びで書く |
| 外勤から内勤・アシスタント業務へ | 対応社数、処理件数 | 売上、達成率 | 期間を分け、内勤期間は担当した案件数と範囲で書く |
| 訪問中心からオンライン中心へ | 商談件数、受注率、売上 | 訪問件数 | 商談240件(訪問90.0%)→216件(訪問25.0%)と併記 |
継続率は、担当社数が減っても意味が変わらない代表的な指標です。担当40社のうち36社が更新すれば90.0%、担当28社のうち26社なら92.9%で、母数が違っても同じ質を測っています(いずれも記入例)。逆に担当売上の総額は、担当社数が3割減れば当然に減るため、前後を並べても働き方の情報になりません。既存顧客の継続率や更新率で実績を書く型はルート営業・既存深耕の職務経歴書にまとめています。
引き継ぎと引き受け直しは、それ自体が書ける実績です。休業に入るときに担当40社を課内3名へ引き継ぎ、復職時に28社を引き受け直し、直近12か月で30社まで戻したという並びは、案件を渡す側と受ける側の両方を経験した記録になります(記入例)。引き継いだ社数、引き継ぎ先の人数、引き受け直した社数の3つを数字で書けば、配慮を受けた期間ではなく運用した期間として読まれます。
営業から内勤・アシスタント業務へ配置が変わった期間がある場合は、売上と達成率を無理に作らず、対応社数と担当範囲で書きます。書き方の型は営業事務・営業アシスタントの職務経歴書で扱います。会社をまたいで評価指標が違うときにそろえる手順は転職回数が多い営業の職務経歴書にまとめており、本記事が扱うのは同じ会社の中で休業をはさんで担当が変わった場合です。
商談形式の変更は、実績の減少ではなく運用の変更として書きます。休業前は年240件の商談のうち訪問が216件で90.0%、直近12か月は年216件のうち訪問が54件で25.0%というように、件数と比率を並べます(いずれも記入例)。商談件数そのものは216件で休業前の90.0%を保っており、訪問からオンラインへ置き換えた結果として時間あたりの売上が上がった、という並びになります(記入例)。
復職後は担当顧客を減らしてもらい、無理のない範囲で営業を続けています(記入例)。
「減らしてもらった」「無理のない範囲」は配慮を受けた事実だけを伝え、その条件で何をどこまでやったかが残りません。読み手が採用の判断に使える情報が1つも入っていません。
復職時に既存28社を引き受け直し(休業前の担当40社を課内3名へ引き継ぎ、うち12社は引き継ぎ先が継続担当)。直近12か月は30社まで戻し、継続率93.3%(休業前90.0%)、新規受注10社(休業前の通年12社)(すべて記入例)。
減った社数、引き継ぎ先、戻した社数に加え、前後で意味が変わらない継続率と新規受注社数が並びます。担当の縮小が一時的な運用だったことが、数字の推移から読めます。
子どもや家庭の事情は、どこまで書かないでよいか?
書かなくて構いません。職務経歴書に必要なのは、実績を読むために要る労働条件の事実だけで、家族の構成や生活の事情は含まれません。休業をはさんだ書類でいちばん多い書きすぎは、休業の説明ではなく、休業に付随する私生活の説明です。
厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、採用選考は応募者の適性と能力に基づいて行うこととし、家族の状況や生活環境といった本人に責任のない事項を採用基準としないよう求めています。採用する側が採否の判断に用いない事項は、応募する側も書類に書く必要がありません。自分から差し出せば、判断に使ってはならない情報が判断の場に置かれることになります。
| 区分 | 具体例 | 職務経歴書での扱い |
|---|---|---|
| 実績を読むために要る労働条件 | 休業の期間、所定労働時間、稼働月数、担当社数、勤務地 | 書く |
| 利用した制度の名称 | 産前産後休業、育児休業、短時間勤務の別 | 一般的な名称だけ書く |
| 家族の構成・状況 | 子どもの人数と年齢、配偶者の職業、親との同居 | 書かない |
| 生活環境 | 保育の利用状況、送迎の分担、通勤にかかわる家庭の事情 | 書かない |
| 今後の予定 | 追加の出産予定、休業を再び取る予定 | 書かない |
| 就業条件の希望 | 短時間勤務の継続希望、フルタイムへ戻す時期 | 応募先が設けた欄・面接で扱う |
打ち消しの表現も置きません。「周囲に迷惑をかけないよう」「残業も可能です」「急な休みは最小限にしています」といった一文は、支障があることを前提にした説明として読まれます。書類の中で否定すべき事実がそもそも書かれていないのに、否定だけが残る形になります。復職後の実績が並んでいれば、その条件で成果が出ていたことは数字が示します。
就業条件の希望は、職務経歴書の実績欄とは別に扱います。応募先が就業条件の記入欄や備考欄を設けている場合はそこに書き、設けていない場合は面接で伝えます。実績欄に希望を混ぜると、読み手の関心が実績から条件交渉へ移り、数字が後回しになります。職務経歴書は成果の記録で、条件のすり合わせは別の場です。
休業の理由を細かく書く必要もありません。産前産後休業と育児休業は制度の名称そのものが期間の性質を示しているため、名称と期間の2点で足ります。制度名を書けない事情がある場合や、休業の種類を明かさずに期間だけを示したい場合は「○○○○年○月〜○○○○年○月 休業(在籍)」とだけ書く選択もあります。どちらで書くかは応募者が決めてよく、制度名を書かない場合は、稼働月数と按分目標を実績欄に添えて、数字の側で期間を説明します。
1歳の子どもを保育園に預けながら時短勤務をしています。急な発熱で早退することもありますが、家族の協力を得ており、業務に支障が出ないよう努めています(記入例)。
家族の状況と生活環境という、採用の判断に用いるべきでない情報を応募者の側から差し出しています。「支障が出ないよう努めている」という書き方は、支障が起きる前提の説明として読まれます。
○○○○年○月〜現在 法人営業課に復職(短時間勤務・1日6時間)。直近12か月 売上5,400万円、按分目標4,500万円に対し達成率120.0%、課内9名中3位(すべて記入例)。
労働条件は所定労働時間の1点だけで、残りはすべて実績です。読み手が採否の判断に使ってよい情報だけが並び、条件と成果が1組で読めます。
よくある質問
休業中に転職活動をしています。現在の状況はどこに書きますか?
会社の欄の【所属】の最後に「○○○○年○月〜現在 育児休業中(○○○○年○月復職予定)」と1行置きます(記入例)。応募先が知りたいのは就業できる時期なので、復職予定や就業可能時期が決まっていれば同じ行に添えます。実績は休業前の稼働期間で書き、直近の年度が数年前になる場合は、その年度が何か月稼働の数字なのかを併記して、古さと欠けを区別できるようにします。
育児休業を2回取っていて、休業期間が合計で3年を超えます。まとめて書けますか?
まとめず、回ごとに期間を分けます。1回目と2回目の間に稼働した期間があり、まとめるとその期間の実績が読めなくなるためです。【所属】の並びを稼働・休業・復職・休業・復職の順に置き、実績欄はそれぞれの稼働期間に対応する按分目標つきの行にします。休業月数の合計を自分で計算して書く必要はありません。読み手は期間の並びから在籍と稼働を追えます。
休業中に取った資格や学習は書いてよいですか?
資格は「資格」欄に取得年月とともに書けます。学習や研修は、応募先の職務に直接つながるものに絞って「活かせる経験・知識・スキル」に1行入れます。休業期間を埋める目的で並べると、実績欄の密度が下がり、かえって稼働期間の数字が薄く見えます。休業中の活動を書く義務はなく、書かないことが不利に働くわけでもありません。数字にしにくい経験の扱いは数字がない営業実績の書き方にまとめています。
復職後にフルタイムへ戻す予定です。書類に書くべきですか?
職務経歴書の実績欄には書きません。勤務条件は応募先が用意する欄や面接で扱う内容で、実績を読む妨げになります。実績欄に書くのは、その成果を出した期間の所定労働時間という事実だけです。応募先が就業条件の記入欄を設けている場合は、その欄に希望を書きます。欄がない場合は書類では触れず、選考の中で確認される場面まで持ちます。
病気やけがによる休職も、同じ書き方でよいですか?
期間を1行置く点は同じですが、書く内容が違います。傷病に関する情報は、応募者の側から診断名や症状まで書く必要はありません。「○○○○年○月〜○○○○年○月 私傷病により休職、○○○○年○月復職」までにとどめ、復職後の稼働期間の実績で現在の状況を示します(記入例)。実績の按分と月平均の考え方は、休業の種類が変わっても同じように使えます。
参照した情報
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」 — 確認日 2026年9月6日
- ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」 — 確認日 2026年9月6日
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