インセンティブ込み年収の職務経歴書は総額だけ?内訳と変動幅で示す
この記事の結論
インセンティブ込み年収の職務経歴書は、総額ではなく「基本給+固定残業代+インセンティブ+賞与」の内訳と、直近3年の変動幅をあわせて書きます。年収780万円(基本給420万円・固定残業代60万円・インセンティブ240万円・賞与60万円)(記入例)のように分けると、額面の大きさではなく成果の再現性が読まれます。目標達成時の理論年収は実績年収と行を分け、履歴書の本人希望欄には希望年収を原則書きません。
この記事はインセンティブ・歩合込みの年収を、内訳と変動幅つきで書き、実績の数字と混ぜずに示すことを決めきるためのものです。職務要約から自己PRまでの全体の型、実績指標の対応表、数字で示せる実績がない場合の書き方、社名や売上を書いてよいかの判断は、営業職の職務経歴書にまとめています。様式そのものを探している方は、そちらの入力フォームからそのまま作れます。
入力フォームへインセンティブ・歩合込み年収とは(職務経歴書での扱い)
インセンティブ・歩合込み年収とは、毎月ほぼ同じ額が支払われる固定給に、売った成果に応じて上下する変動給を足した年間の総支給額です。営業職では、変動給が年収の一部にとどまらず主要な部分を占める制度もあり、同じ人でも年によって支給額が大きく動きます。手が止まるのは、応募フォームの「現年収」欄や書類に総額を1つだけ書いたとき、その額が実力なのか当たり年の数字なのかを読み手が判断できないところです。
本記事では、雇用されている営業が、内訳をどこまで開示するか、年で大きく変動する年収をどう並べるか、目標達成時の見込み額と実際に支給された額をどう書き分けるか、履歴書の本人希望欄に希望年収を書くべき場合とそうでない場合の4つを扱います。順位や表彰の分母のそろえ方は表彰歴・社内順位の職務経歴書、目標を下回った年度そのものの説明は目標未達・成績が悪い営業の職務経歴書で扱います。
年収は、実績そのものではありません。会社が置いた制度の結果であり、同じ受注額でも支給率が違えば額が変わります。読み手が実力として読むのは受注額・件数・達成率のほうで、年収はその裏づけか、応募先が条件をすり合わせるための情報です。両者を1つの行に混ぜないことが、この書類での出発点になります。
職務経歴書の完成記入例(インセンティブ比率の高い法人営業)
先に完成形を示します。応募先から現年収の記載を求められた場合を想定し、実績の行と年収の行を分けて置いた例です。数値はすべて記入例で、内訳の合計と3年の平均が割り切れるようにそろえています。
記入例
職務要約
法人向け業務支援サービスの営業として8年間、中小企業の経営者・管理部門に向けた新規開拓と既存深耕を担当してきました。報酬は基本給に月次のインセンティブが加わる制度で、直近3年の年収は600万〜780万円、3年平均700万円です(記入例)。直近年度は年間目標1億円に対して受注額1億2,000万円(達成率120%)、年収780万円のうちインセンティブは240万円(総支給額の30.8%)でした(記入例)。前年度は担当エリアの新設で受注額が4,200万円まで下がりましたが、その年に開拓した顧客からの継続受注で、翌年度は過去最高の受注額に戻しています(記入例)。
職務経歴
株式会社〇〇〇〇(法人向け業務支援サービス・従業員約300名) ○○○○年○月〜現在 営業部 〇〇支店 主任(記入例)
- 【所属】営業部 〇〇支店(営業10名・支店長1名) 主任(○○○○年○月〜)(記入例)
- 【営業対象】従業員30〜300名規模の中小企業の経営者・管理部門の責任者(記入例)
- 【商材】法人向けの業務支援サービス(無形・年間契約60万〜300万円)(記入例)
- 【営業手法】Web反響と紹介からの新規開拓が7割、既存顧客への追加提案が3割。直販(記入例)
- 【実績・成果】(すべて記入例)
- 直近年度 受注額 1億2,000万円(年間目標1億円、達成率120%)。内訳は新規24社4,800万円(1社平均200万円)・既存7,200万円(記入例)
- 直近3年の受注額 9,000万円 → 4,200万円 → 1億2,000万円(記入例)
- 前年度の減少は担当エリアの新設によるもの(既存顧客の引き継ぎなし、目標6,000万円に対し達成率70%)(記入例)
- 支店内順位(営業10名中)直近3年 3位→8位→1位(対象指標は年間受注額、通期)(記入例)
- 年収(総支給額)直近年度780万円/前年度600万円/3年前720万円、3年平均700万円(記入例)
- 直近年度の内訳 基本給420万円・固定残業代60万円(時間外30時間分)・インセンティブ240万円(月次支給)・賞与60万円(年2回)。インセンティブは総支給額の30.8%(記入例)
- ※インセンティブの支給率と算定基準は社外秘のため、金額と構成比のみ記載しています
株式会社〇〇〇(事務機器の販売会社・従業員約80名) ○○○○年○月〜○○○○年○月 営業部(記入例)
- 【所属】営業部(営業6名)(記入例)
- 【営業対象】首都圏の中小企業の総務・管理部門(記入例)
- 【商材】事務機器・消耗品(有形・1件5万〜80万円)(記入例)
- 【営業手法】電話と訪問による新規開拓、契約後は定期訪問での消耗品の受注
- 【実績・成果】最終年度 受注額3,600万円(年間目標3,000万円、達成率120%)。年収(総支給額)480万円、内訳は基本給396万円・賞与84万円で、個人インセンティブの制度はありませんでした(すべて記入例)
活かせる経験・知識・スキル
- 中小企業の経営者への直接提案(決裁者との商談、年間アプローチ120社)(記入例)
- 新設エリアの立ち上げ(顧客の引き継ぎがない状態からの開拓。初年度4,200万円から翌年度1億2,000万円へ)(記入例)
- 既存顧客への追加提案と更新時の単価引き上げ(既存受注額7,200万円)(記入例)
- 月次のインセンティブ実績と受注見込みの自己管理(SFA〈営業支援システム〉での案件管理と週次の見込み更新)
資格
- 普通自動車第一種運転免許(○○○○年○月 取得)
記入例の数字は、内訳の合計が総支給額と一致するように置いています。420万円+60万円+240万円+60万円=780万円、3年の年収720万円・600万円・780万円の平均は700万円という関係です(いずれも記入例)。固定部分にあたる基本給420万円と固定残業代60万円の計480万円は3年間変わらず、動いているのはインセンティブ(180万円→84万円→240万円)と賞与(60万円→36万円→60万円)だけです(いずれも記入例)。自分の数字に置き換えるときも、内訳の足し算と3年の平均を先に確かめてください。
職務経歴書は、履歴書では書ききれない具体的な職務内容と実績を伝える書類だと、ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」でも位置づけられています。年収でいう「具体的」とは、額を大きく見せることではなく、その額がどの制度からどう出てきたかを読み手が追える形にすることです。入力フォームの「業務内容と実績・成果」は【所属】【営業対象】【商材】【営業手法】【実績・成果】の5ブロックを1つの欄に続けて書く形なので、年収の情報は【実績・成果】の中に入れ子で置きます。
- 【所属】支店の営業人数を書きます。インセンティブ制度は拠点や職位で条件が違うことがあるため、順位の分母と制度の適用範囲を兼ねます。
- 【商材】単価帯(年間契約60万〜300万円、記入例)を書きます。同じ受注額でも単価が違えば商談の本数が変わり、インセンティブの積み上がり方も変わります。
- 【実績・成果】受注額・達成率・順位を先に置き、年収と内訳は最後に1〜2行で添えます。実績の行に年収を混ぜると、成果の大きさが待遇の話に読み替えられます。
職務要約の組み立て方そのものは営業職の職務経歴書の書き方、数字にできる実績が手元にない期間の扱いは数字で示せる実績がない場合にまとめています。
年収は職務経歴書に書くべきか、どこに書くか
職務経歴書に年収の欄は標準では置かれていないため、書くかどうかは任意で、応募先が求めた場合に会社ごとの【実績・成果】の末尾へ1行で置きます。応募フォームに「現年収」の入力欄があるときは、そちらが正式な回答場所になり、書類側に重ねて書く必要はありません。指定がないのに書類の目立つ位置へ年収を置くと、成果ではなく待遇の交渉を先に持ち出した書類として読まれます。
| 状況 | 書く場所 | 書き方(記入例) |
|---|---|---|
| 応募フォームに「現年収」欄がある | フォームの欄(必須項目のことが多い) | 780万円(総支給額。うちインセンティブ240万円) |
| 募集要項で現年収の記載を指定された | 職務経歴書の会社ごとの【実績・成果】の末尾 | 年収(総支給額)直近年度780万円(内訳は基本給420万円・固定残業代60万円・インセンティブ240万円・賞与60万円) |
| 転職エージェント経由で応募する | エージェントの登録情報に記載 | 書類には重ねて書かない |
| 指定がない | 書かない | 受注額・達成率・順位の行を厚くする |
| 履歴書の本人希望記入欄 | 希望年収は原則書かない | 貴社の規定に従います |
| 面接・条件面談 | 口頭。書類の数字とそろえる | 直近年度780万円、直近3年平均700万円 |
どこに書く場合でも、金額は手取りではなく総支給額(額面)でそろえます。手取りは社会保険料や税で毎年変わるうえ、扶養家族の人数でも動くため、人の間で比べられません。総支給額は、源泉徴収票の「支払金額」欄で確認できます。給与明細の総支給額を12か月分足した額と支払金額が合わないことがありますが、通勤手当のような非課税の手当が支払金額には含まれないためで、書類には支払金額のほうを使います(2026年9月時点)。
年収は、書けば書くほど有利になる情報ではありません。読み手が採用の可否を決めるのは受注額・達成率・継続率であって、前職がいくら払っていたかではないからです。年収の行が果たすのは、実績の裏づけと、条件のすり合わせを早める役割の2つだけです。役割が2つしかないので、行も1〜2行で足ります。
【実績・成果】年収780万円を達成しました。(記入例)
年収は自分が達成した成果ではなく、会社の制度が返した結果です。「達成」という語が付くと、実績の行のように見えて中身がありません。総支給額なのか手取りなのかも読めません。
・直近年度 受注額 1億2,000万円(年間目標1億円、達成率120%)(記入例)
・年収(総支給額)780万円(基本給420万円・固定残業代60万円・インセンティブ240万円・賞与60万円)(記入例)
実績の行と年収の行が分かれ、受注額が先に来ています。年収は内訳つきなので、780万円という額がどの制度から出た数字かを読み手が追えます(いずれも記入例)。
分母と期間をそろえて実績を書く一般的な考え方は営業実績を数字でどう書くかにまとめています。年収の行は、その実績の行が整ってから足すものだと考えると、置き場所を迷いません。
基本給・固定残業代・インセンティブの内訳は、どこまで開示するか
総額の1行だけで止めず、固定部分と変動部分に割った内訳までは書き、支給率や算定式は書きません。総額だけでは、毎月確実に入る額がいくらなのかが分からず、応募先は提示額を決められません。逆に「受注額の何%」という支給率まで書くと、勤務先の報酬制度そのものを外へ出すことになり、社名を伏せていても業界内では会社が絞り込まれることがあります。
| 項目 | 直近年度の額 | 書き方と押さえどころ |
|---|---|---|
| 基本給 | 420万円 | 月額×12で計算する。固定部分の中心になる額 |
| 固定残業代(みなし残業) | 60万円 | 「時間外30時間分」と時間数を添える。基本給と足して1つに見せない |
| インセンティブ(歩合) | 240万円 | 支給の単位(月次・四半期・受注時)を1語添える |
| 賞与 | 60万円 | 年何回か、会社業績と個人評価のどちらで動くかを添える |
| 総支給額(年収) | 780万円 | 4項目の合計。源泉徴収票の「支払金額」と照合する |
| 固定部分 | 480万円 | 基本給+固定残業代。成績が落ちた年でも下がらない水準 |
| インセンティブ比率 | 30.8% | 240万円÷780万円。変動部分の大きさを1行で示す |
| 通勤手当などの非課税の手当 | 内訳に入れない | 源泉徴収票の「支払金額」に含まれないため、足すとずれる |
| インセンティブの支給率・算定式 | 書かない | 制度が特定される。金額と比率までにとどめる |
内訳のうち、読み手がいちばん見ているのは固定部分です。480万円の固定部分に300万円の変動給(インセンティブと賞与)が乗って780万円になった人と、固定部分700万円に80万円が乗って780万円になった人では、応募先が提示すべき条件がまったく違います(いずれも記入例)。固定部分を書かずに総額だけを出すと、後者だと想定されて提示額が低く出ることも、前者だと想定されて話が進まないこともあります。
固定残業代は、あらかじめ定めた時間分の時間外手当を毎月定額で支払う仕組みです。年収の一部ではありますが、基本給と性質が違うため、括弧の中で時間数まで書きます。「固定残業代60万円(時間外30時間分)」(記入例)と書けば、月5万円が何の対価かが読めます。時間外・休日労働に対する割増賃金の定めは労働基準法にあり(2026年9月時点)、条文はe-Gov法令検索の労働基準法で確認できます。制度側の規定は記入例の数字とは別のものとして扱い、書類には自分に支給された額だけを書きます。
年収780万円(インセンティブは受注額の2.0%が月次で支給される制度で、直近年度は1億2,000万円の受注に対して240万円が支給されました)。(記入例)
支給率と算定の分母まで書いているため、勤務先の報酬制度を外へ出していることになります。業界内では制度の形から会社が絞り込めるうえ、率まで示しても読み手の判断は変わりません。
年収(総支給額)780万円。内訳は基本給420万円・固定残業代60万円(時間外30時間分)・インセンティブ240万円(月次支給)・賞与60万円(年2回)。インセンティブは総支給額の30.8%(記入例)
※インセンティブの支給率と算定基準は社外秘のため、金額と構成比のみ記載しています
固定部分480万円と変動部分240万円が読み取れ、合計も総支給額と一致します。伏せた理由が1行あるため、情報を出し惜しみしたのではなく守秘のためだと伝わります(いずれも記入例)。
金額そのものが社外秘にあたる場合や、伏せたつもりでも特定されてしまう組み合わせは守秘義務で社名・数値が書けないときの職務経歴書にまとめています。社内で「〇〇手当」「〇〇ポイント」「達成報奨」などと呼ばれている制度名は、そのまま書いても社外では意味が取れません。制度名は残さず「インセンティブ(月次支給)」「賞与(年2回)」という一般語に置き換えます。社内の呼び名を一般語へ直す手順は社内用語・社内KPIを翻訳する職務経歴書で扱っています。
年収が年で大きく変動する場合、どう書くか
直近3年を並べ、最小と最大の幅、3年平均、下がった年の理由の3つを添えます。1年分だけを書くと、当たり年を切り出したのか、悪い年を正直に出したのかが読み手には判断できません。3年並べると、変動の幅そのものが情報になり、固定部分がいくらで、成績で何万円動く仕事だったのかが1つの表で伝わります。
| 年度 | 受注額 | 目標達成率 | インセンティブ | 賞与 | 年収(総支給額) | インセンティブ比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3年前 | 9,000万円 | 100% | 180万円 | 60万円 | 720万円 | 25.0% |
| 前年度 | 4,200万円 | 70% | 84万円 | 36万円 | 600万円 | 14.0% |
| 直近年度 | 1億2,000万円 | 120% | 240万円 | 60万円 | 780万円 | 30.8% |
| 3年平均 | 8,400万円 | — | 168万円 | 52万円 | 700万円 | 24.0% |
表にすると、固定部分480万円が3年とも動いていないことが分かります(記入例)。動いたのはインセンティブ84万〜240万円と賞与36万〜60万円で、年収の幅180万円はすべて変動給から出ています(いずれも記入例)。読み手にとっては、毎年確実に入っていた固定部分が480万円で、成果が出た年はそこに変動給が300万円まで乗る制度にいた人だ、という読み方ができます(いずれも記入例)。総額を1行で「780万円」と書いた場合、その読み方は生まれません。
下がった年度には、理由を1行だけ添えます。長い説明は要りません。担当エリアや商材の変更、産休・育休や休職、制度そのものの改定、市況の変化といった外形的な事実を短く書けば足ります。記入例では「担当エリアの新設によるもの(既存顧客の引き継ぎなし、目標6,000万円に対し達成率70%)」と1行置いています。目標そのものが下げられていた事実まで書くと、会社も立ち上げ期だと認識していたことが伝わります(いずれも記入例)。
理由を書かずに下がった年度を省くと、残った2年の間に空白ができます。省いた1年について面接で聞かれた時点で、答えの中身より「なぜ書かなかったのか」のほうが印象に残ります。未達の年度を実績としてどう位置づけるかは目標未達・成績が悪い営業の職務経歴書、異動や昇格で担当と制度が変わった場合の期間の区切り方は部署異動・昇進・降格・兼務の職務経歴書で扱っています。
年収780万円(前職・営業職)。成果に応じたインセンティブがあり、成績次第で大きく変わります。(記入例)
最も高かった年の額だけが残り、「大きく変わります」の幅が示されていません。読み手は780万円を平均値だと受け取るため、面接で3年分を確認された時点で説明が食い違います。
年収(総支給額)直近年度780万円/前年度600万円/3年前720万円、3年平均700万円。固定部分は3年とも480万円で、変動しているのはインセンティブ(84万〜240万円)と賞与(36万〜60万円)です。前年度の減少は担当エリアの新設によるもの(既存顧客の引き継ぎなし、目標6,000万円に対し達成率70%)(すべて記入例)
3年の幅と平均、固定部分、下がった理由が1つのブロックにそろっています。600万〜780万円という幅を先に出したことで、780万円が上限だと分かり、後から訂正が必要になりません(いずれも記入例)。
理論年収・見込み年収は、実績年収とどう書き分けるか
理論年収は「目標を100%達成した場合の見込み額」なので、実績年収とは行を分け、前提(どの年度の目標か、何を含むか)を括弧で添えます。理論年収は、求人票の「年収例」として使われる考え方で、基本給・手当・賞与などから会社が算出した想定額です。法令上の定義がある語ではなく、何を含めるかは会社ごとに違うため、自分の書類では実績年収を主に置き、理論年収は補足として1行に収めます。
| 種類 | 何を指すか | 書き方(記入例) | 押さえどころ |
|---|---|---|---|
| 実績年収 | 実際に支給された1年分の総支給額 | 直近年度780万円(総支給額) | 源泉徴収票の「支払金額」と一致させる |
| 3年平均の実績年収 | 変動をならした額 | 直近3年平均700万円(600万〜780万円) | 変動が大きい人は平均を主に置き、幅を括弧で添える |
| 理論年収(目標達成時の見込み) | 現在の制度で年間目標を100%達成した場合 | 740万円(年間目標1億円を達成した場合の見込み。固定480万円+インセンティブ200万円+賞与60万円) | 「見込み」と前提を必ず添える。単独では書かない |
| 求人票の年収例 | 応募先や前職の求人が示す想定額 | 自分の書類には書かない | 何を含むかが会社ごとに違い、自分の実績と混ざる |
| 支給時期がずれる分 | 年度末の受注が翌年度に支給される分 | 3月受注分1,800万円に対応するインセンティブ36万円は翌年度5月の支給 | 受注額の年度と年収の年度がずれる理由を1行で書く |
| 在籍が12か月に満たない年 | 入社年度・退職年度 | 在籍7か月で420万円(12か月換算 720万円) | 換算値には「12か月換算」と必ず明記する |
理論年収を単独で書くと、実績と受け取られます。記入例では、実績780万円に対して理論年収は740万円で、実績のほうが40万円高くなっています(記入例)。目標を120%達成した年なので当然ですが、逆に未達の年に理論年収740万円だけを書けば、実際に支給された600万円との差140万円は書類のどこにも現れません(いずれも記入例)。応募先が条件を決めたあとで源泉徴収票の提出を求められると、その差が最後に出てきます。
営業に固有なのが、受注の年度と支給の年度がずれる点です。月次でインセンティブが出る制度でも、集計の締めから支給までには時間差があり、支給月は会社の規定によって違います。締めが年度末にかかる受注の分は、翌年度の年収に入ることがあります。受注額は最高だったのに年収は前年並みという年は、このずれで説明がつきます。「3月受注分1,800万円に対応するインセンティブ36万円は翌年度5月の支給」(記入例)と1行添えれば、受注額と年収がそろわない理由が伝わり、数字の食い違いを疑われずに済みます。
入社年度や退職年度のように在籍が12か月に満たない年は、実額をそのまま書いたうえで、必要なら12か月換算を括弧で添えます。在籍7か月で420万円なら12か月換算は720万円ですが(記入例)、換算値だけを書くと支給されていない額を書いたことになります。実額を先、換算値を括弧という順序を崩さないことが要点です。
年収 740万円(インセンティブ含む)(記入例)
740万円が実際に支給された額なのか、目標を達成した場合の見込みなのかが読めません。前提のない見込み額は、条件面談で源泉徴収票と照らした時点で説明が必要になります。
年収(総支給額)直近年度780万円、直近3年平均700万円(記入例)。参考として、年間目標1億円を達成した場合の見込み年収は740万円です(固定480万円+インセンティブ200万円+賞与60万円)(記入例)
実績が先、見込みが後という順序になっています。見込み額には「年間目標1億円を達成した場合」という前提と内訳があるため、実績と取り違えられません(いずれも記入例)。
履歴書の本人希望欄に、希望年収を書くべきか
応募先から希望年収の記載を求められていなければ書かず、「貴社の規定に従います」と書きます。書くのは、記載を指定された場合、譲れない下限がある場合、年収が下がる前提を先に共有したい場合の3つに限られます。金額を先に置くと、その額が選考の前提条件として扱われ、経験を評価する前に条件で外れる可能性が残るためです。
厚生労働省が示している履歴書様式例(A4版)の本人希望記入欄には、「特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他についての希望などがあれば記入」という注記が置かれています(2026年9月時点)。欄そのものは給料の希望を書くことを想定していますが、注記は「希望などがあれば」という条件付きです。希望を持たないという意味ではなく、選考のこの段階で書面に固定する必要があるかどうかで判断します。給与以外も含めた本人希望記入欄そのものの書き方は営業職の履歴書にまとめているので、本記事は変動給が大きい人の希望年収だけを扱います。
| 状況 | 書くか | 書き方(記入例) |
|---|---|---|
| 応募先からの指定がない | 書かない | 貴社の規定に従います |
| 応募フォーム・募集要項で希望年収を求められた | 書く | 700万円以上を希望します(直近3年の平均年収700万円) |
| 生活の事情で譲れない下限がある | 下限だけ書く | 600万円以上を希望します |
| 固定給中心の制度へ移るため年収が下がってもよい | 幅と理由を1行で書く | 600万円以上を希望します(現年収780万円。固定給の比率が高い制度を希望するため) |
| インセンティブ込みの現年収が応募先の提示額を上回る | 書かない | 面接で内訳と固定部分を説明する |
| 勤務地・入社可能日など給与以外の希望がある | 給与とは別の行に書く | ○○○○年○月以降の入社が可能です |
インセンティブ比率が高い人ほど、希望年収を1点の数字で書く不利が大きくなります。現年収780万円のうち300万円が変動給だった人が「780万円以上を希望」と書けば、応募先は固定給780万円を求められていると読みます(いずれも記入例)。額が同じでも中身が違うため、伝えるべきは総額ではなく「固定部分をいくらにしたいか」です。下限を書くときも、固定部分の希望なのか総額の希望なのかを1語で区別します。
年収が下がることを受け入れて応募する場合は、理由を1行添えると、後から条件で折り合わなくなる場面が減ります。固定給中心の制度へ移りたい、成果が景気に左右されにくい商材を扱いたい、といった理由は、待遇への不満ではなく働き方の選択として読まれます。理由のない「600万円以上」だけでは、現年収780万円との差180万円が何なのかが分からず、面接で必ず確認されます(いずれも記入例)。
希望年収:780万円(現年収と同額を希望します)(記入例)
780万円のうちインセンティブが240万円だった事実が伝わらないため、固定給780万円の要求として読まれます。応募先の給与テーブルの上限を超えていれば、経験を評価される前に見送られます(いずれも記入例)。
貴社の規定に従います。(応募フォームで希望年収の記載を求められた場合)600万円以上を希望します。現年収は780万円ですが、うち240万円は月次のインセンティブ、60万円は賞与で、固定部分(基本給と固定残業代)は480万円です(記入例)
指定がなければ規定に従う姿勢を示し、求められたときだけ下限と内訳を出しています。固定部分480万円を明かし、残りの300万円が変動給だと分かる形なので、応募先は自社のテーブルで提示額を組み立てられます(いずれも記入例)。
よくある質問
インセンティブの支給率(受注額の何%か)は書いてよいですか?
書かないほうが安全です。支給率と算定の分母がそろうと、報酬制度の形から勤務先が絞り込まれることがあります。読み手が判断に使うのは金額と構成比までなので、「インセンティブ240万円(総支給額の30.8%・月次支給)」(記入例)で足ります。制度の詳細を伏せたときは、伏せた理由を1行添えます。伏せ方の型と、伏せたつもりで特定される組み合わせは守秘義務で社名・数値が書けないときの職務経歴書にまとめています。
個人のインセンティブがなく、チームの成績で分配される制度でした。どう書きますか?
制度が団体単位であることを先に書き、そのうえで自分の受注額とチーム内の位置を別の行に置きます。「チームの達成率に応じた分配型のインセンティブ(チーム6名)。直近年度の支給額96万円、担当受注額はチーム合計3億円のうち7,200万円(24%)」(記入例)のように書くと、分配額の大きさがチームの成績によることと、その中での自分の比率が同時に伝わります。チームの数字から自分の貢献を切り出す手順はチーム実績しかない営業の職務経歴書で扱っています。
給与明細の総支給額を12か月分足した額と、源泉徴収票の支払金額が合いません。
源泉徴収票の「支払金額」を使います。通勤手当のような非課税の手当は支払金額に含まれないため、給与明細の総支給額を単純に足した額とはずれます(2026年9月時点)。ほかにも、賞与の支給月、インセンティブの締めと支給月のずれ、年をまたぐ精算が原因になります。応募先が確認するのは源泉徴収票のほうなので、書類とフォームの数字は支払金額に統一しておくと、条件面談で説明が要りません。
過去の年収を思い出せません。概算で書いてもよいですか?
復元できるものは復元し、できないものは書きません。源泉徴収票が手元にあれば「支払金額」で確定します。無い場合は、住民税の課税証明書(市区町村で取得)や、確定申告をしていれば申告書の控えから確認できます。どうしても分からない年は、年収の行を省いて受注額・達成率だけを書いても不足になりません。数字が手元にないときの復元と行動量への置き換えは実績が数字にできない・覚えていない職務経歴書、実績を数字で示せない場合の考え方は数字で示せる実績がない場合にまとめています。
年収が下がった年度は隠したほうが有利ではありませんか?
隠すと、残った年度の間に説明のつかない空白ができます。3年を並べて幅を示すほうが、下限がいくらの人なのかが伝わるぶん、条件のすり合わせが早く終わります。下がった年度には理由を1行だけ添えれば足り、長い弁明は不要です。担当エリアの変更、育休や休職、制度改定といった外形的な事実で説明できます。隠した年があると、条件面談で源泉徴収票を出す段になって差が表に出ます。自分から3年を並べておけば、その場で書類を説明し直す必要がありません。
面接で「現年収はいくらですか」と聞かれたら、どう答えますか?
書類に書いた数字をそのまま口頭で繰り返し、内訳を続けます。「直近年度は総支給額780万円、うち基本給420万円・固定残業代60万円・インセンティブ240万円・賞与60万円です。直近3年の平均は700万円で、固定部分は3年とも480万円でした」(記入例)という答え方です。総支給額で答えること、内訳の固定部分まで出すこと、平均と幅を添えることの3つがそろえば、追加の質問はほとんど出ません。
参照した情報
- ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」 — 確認日 2026年9月6日
- 厚生労働省 履歴書様式例(A4版・PDF) — 確認日 2026年9月6日
運営 オルグロー株式会社(運営会社)。この記事は、当社が運営する履歴書・職務経歴書作成ツール「営業の履歴書作成ツール」の編集部が制作し、当社が編集責任を負います。外部ライターへの委託や、他社記事の転載はしていません。
記事内の数値について 売上・件数・達成率・順位などの数値はすべて記入例です。当社サービスの実績や、特定の個人の経歴ではありません。
制作方法 構成と下書きに生成AIを使い、当社の担当者が数値の検算、入力フォームの欄名・並びとの整合、参照情報との照合を行っています。詳しくは編集方針に記載しています。
更新 公開 /最終更新 。記入例・表・結論を変えたときだけ最終更新日を上げています。募集要項に指定がある場合は、そちらが優先されます。